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第七十一話「薔薇色の魔法と、三女殿下の究極アフタヌーンティー」

 その日の午後、シャルロッテは、王城の温室に隣接する、最も日当たりの良いテラスで、特別なパーティーを主催した。名付けて、「究極のアフタヌーンティーパーティー」。


 招待客は、家族全員、そして、エマ、オスカー、ハンス、そしてエリーゼ王女(※アルベルトの婚約者)。シャルロッテの「可愛い」を理解する、最も大切な人々だ。



 パーティーの準備は、シャルロッテの「可愛い」への深いこだわりと、規格外の魔法力によって、極めて繊細に行われた。


 空間と温度の魔法(※前世の知識の応用): シャルロッテは、以前作った「魔法製氷機」の技術と、温室の温度調整魔法を応用し、テラス全体を「春の早朝のような、完璧な湿度と温度」に保った。熱すぎず、寒すぎず、肌の表面が最も心地よく感じる、微細な空気の流れを生み出した。


テーブルの美学(色彩と配置): シャルロッテは、テーブルクロスに、光属性魔法を応用し、テーブルが常に周囲の光を反射して、淡いパステルカラーに変化するようにした。食器の配置も「余白の美学」を意識した、完璧な間隔で並べた。


「お菓子外交」の究極: ケーキスタンドには、シャルロッテの最高のアイデアが結集したお菓子が並んだ。


ピンク色のマカロン: マリアンネと作った、愛情が込められた「最高の甘さの科学」。


勇気の出るパン: ガブリエルの発酵食品を応用した、ナッツ入りの可愛いパン。


カスタードプリン: 表面が極めて繊細に震える、生命の喜びに満ちたプリン。



 招待客が席に着くと、皆、その空間の完璧な美しさと、心地よさに、息を飲んだ。


「まるで、五感のすべてが癒やされるようだわ」と、エレオノーラ王妃は感嘆した。


「この空気は、治癒魔法よりも効果的だ」と、疲れていたアルベルト王子も、顔色を回復させた。


 シャルロッテは、そのパーティーの司会進行役を務めた。


「みんな! 今日はね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」



 パーティーのハイライトは、紅茶だった。


 シャルロッテは、給仕に頼むことなく、自らティーポットを手に取り、紅茶を淹れた。彼女は、水属性魔法で、水の温度を沸点ぎりぎりで完璧に保ち、茶葉の一つ一つが持つ香りを、最大限に引き出した。


 そして、カップに注ぐ際、彼女は、「紅茶の哲学」(★第五十六話を見てね!)を応用した。


 「この紅茶はね、誰かの知識じゃなくて、今、飲んでいる、みんなの幸せな気持ちを写す鏡なんだよ」


 彼女が淹れた紅茶は、誰もが一口飲むと、心が解きほぐされるような、究極の温かさを持っていた。



 ティーパーティーは、終始、温かい笑顔と、深い満足感に包まれた。


 特に感動したのは、エリーゼ王女だった。彼女は、シャルロッテの淹れた紅茶と、心のこもったお菓子を口にし、王室の外交という重圧を忘れ、心からリラックスした。


「シャルロッテ殿下。私は、あなたのこのパーティーで、王女としての重責を負っていても、こんなにも心が満たされる瞬間があることを知りました。あなたの『可愛い』は、本当に、この世界を救う力ですね」


 イザベラは、「あなたの美学は、私のファッションの究極の目標よ」と妹を抱きしめた。


 最後に、ハンス庭師長が立ち上がった。


「殿下。このパーティーは、技術でも、贅沢でもない。ただ、殿下の無条件の愛によって、完璧な空間が生まれたのです」


 シャルロッテは、モフモフを抱き、皆の愛に包まれながら、にっこり微笑んだ。


「えへへ! だってみんなが幸せなのが、一番可愛いんだもん!」


 「究極のアフタヌーンティーパーティー」は、王族と、彼らを支える人々との間に、愛と感謝の、美しい絆を永遠に刻んだのだった。

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