表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

592/593

第五百九十五話「真っ白な鳥の群れと、姫殿下の『カラフル・ランチタイム』」

 その日の午後、王城の動物園(メナジェリー)にある水鳥の池は、大混乱に陥っていました。

 南の国から贈られたばかりの、美しい「フラミンゴ」の群れが到着したのですが、檻の前で、第二王子フリードリヒが頭を抱えて叫んでいたのです。


「なんということだ! この鳥たちは、真っ白ではないか! 顔色が悪いぞ! 長旅で貧血を起こしているに違いない!」


 フリードリヒの目の前にいるのは、雪のように真っ白なフラミンゴたちでした。彼は、図鑑で見た「鮮やかなピンク色の鳥」を想像していたため、この白さを「重病のサイン」だと勘違いしたのです。


「衛生兵! いや、コックを呼べ! 精のつくものを食わせるんだ! 赤身のステーキだ! レバーを焼け!」


 フリードリヒは、細い脚の鳥たちに、無理やり肉料理を食べさせようとしていました。鳥たちは「ギュエエ?」と困惑し、逃げ回っています。



 そこへ、シャルロッテがモフモフを連れて通りかかりました。

 彼女は、大騒ぎする兄と、逃げ惑う白い鳥たちを見て、すぐに状況を察しました。


「あーあ。フリードリヒ兄様、鳥さんたちはお肉食べないよ?」


「シャル! だが、見ろ、この顔色の悪さを! 今にも倒れそうだ!」


 シャルロッテは、やれやれと首を振りました。そして、前世の動物園で聞いた豆知識を披露しました。


「兄様。フラミンゴさんはね、病気じゃないよ。()()()()()()()

「な、なんだと? だが、絵本ではピンク色だったぞ?」

「それはね、『赤いご飯』を食べているからなんだよ。赤い藻やエビをたくさん食べるから、その色が羽に出てくるの。『食べたもので体ができる』っていう、一番わかりやすい鳥さんなんだよ」


 フリードリヒは、ポカンと口を開けました。

「食べたものの色になる……? そんな馬鹿な。俺がホウレンソウを食べたら緑色になるか? ならんだろう?」

「人間はならないけど、この子たちはなるの!」


 シャルロッテは、いたずらっぽく笑いました。

 もし、食べたものの色になるのなら、赤以外を食べさせたらどうなるのでしょう?


「よし、実験だよ、モフモフ! 『カラフル・ランチタイム』の始まり!」



 シャルロッテは、マリアンネ王女の研究室から、実験用の「魔力を含んだ特別な餌」を借りてきました(というか、勝手に持ち出しました)。

 それは、青い魔力草、黄色いヒマワリの種、そして紫色のブドウのエキスを染み込ませた団子です。


「さあ、みんな! ご飯だよー!」


 シャルロッテが、色とりどりの団子を池に投げ入れると、お腹を空かせていたフラミンゴたちは、ステーキには見向きもしませんでしたが、この団子には一斉に飛びつきました。


 パクパク、モグモグ。


 すると、どうでしょう。

 食べた端から、魔法の効果も相まって、鳥たちの羽の色がみるみる変わり始めたのです。


 青い団子を食べた鳥は、空のようなスカイブルーに。

 黄色い団子を食べた鳥は、レモンのような鮮やかなイエローに。

 紫の団子を食べた鳥は、高貴なバイオレットに。


 そして、欲張って全部の種類を食べた食いしん坊な一羽は、羽の一枚一枚が違う色に輝く「レインボー・フラミンゴ」になってしまいました。


「うおおおっ!? 鳥が、絵具で塗ったみたいに変わった!」

 フリードリヒが腰を抜かしました。


 池の中は、一瞬にして、白い雪景色から、南国のカーニバルのような極彩色の世界へと変貌しました。

 カラフルになった鳥たちは、お互いの新しい色を見せ合うように、翼を広げて優雅にダンスを始めました。


「わあ、きれい! 動く宝石箱みたいだね!」


 シャルロッテは手を叩いて喜びました。モフモフも、虹色の鳥を追いかけて、水辺を走り回っています。


 フリードリヒは、呆然としながらも、その美しさに目を奪われていました。

「……貧血じゃなかったのか。しかし、こんなに派手になってしまって、父上に怒られないか?」


「大丈夫だよ! だって、こっちのほうが断然、元気そうで可愛いもん!」


 その日の夕方、視察に来たルードヴィヒ国王は、池を見て驚愕しましたが、シャルロッテの「パパのために、世界中の色を集めてきたんだよ!」という言葉に、目尻を下げて喜んだそうです。


 フラミンゴたちは、魔法の効果が切れるまでの数日間、王城の庭をトロピカルな楽園に変え続けました。

 「体は食べたものでできている」。

 その当たり前の事実が、こんなにも目に見えて楽しいことだと、シャルロッテは教えてくれたのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ