第三百六十八話「噂の毒と、シャルロッテの『愛のデトックス・ティーパーティー』」
その日の午後、王城のサロンは、普段の優雅さとは裏腹に、張り詰めた空気に満ちていた。最近、社交界では、シャルロッテの友人であるエリーゼを中傷する、根も葉もない噂が広まっていた。
噂は、「エリーゼは王族に近づくことで、家門の地位を不当に上げようとしている」という、悪意に満ちたもので、繊細なエリーゼは、その無実の汚名に深く傷つき、そのせいで近頃は王城への訪問をためらっていた。
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シャルロッテは、モフモフを抱き、エリーゼを王城へ招くことを決めた。彼女は、噂という「目に見えない毒」を、「愛のデトックス」という、優雅なティーパーティーで浄化することを計画したのだ。
シャルロッテは、エリーゼに語りかけた。
「ねえ、エリーゼお姉様。噂の毒はね、美味しいお茶で洗い流せるんだよ。みんなに、お姉様の心が、どれだけ優しくて、可愛いか、教えてあげましょう!」
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サロンには、噂を流した張本人である、高位貴族の令嬢たち数名も招待されていた。ティーパーティーは、表面上は優雅に進むが、空気は冷たく、誰も心から笑っていなかった。
シャルロッテは、自ら茶を淹れ始めた。彼女は、茶葉に、光属性と共感魔法を丹念に融合させた。
彼女の魔法は、紅茶の湯気と香りに、「飲んだ人の心に潜む、最も純粋な感情」を、ごく微細に可視化させる力を持たせた。
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令嬢たちが紅茶を一口飲んだ瞬間、サロンの空気が一変した。
紅茶の湯気が、令嬢たちの頭上に、様々な色の微細な光の輪を創り出した。
噂を流した張本人の令嬢の頭上には、「羨望」を意味する、強い緑色の光の輪が浮かんでいた。その令嬢は、エリーゼの純粋な優しさへの嫉妬から、噂を流したのだった。
他の令嬢たちの頭上には、「噂を信じた自己嫌悪」や「エリーゼへの静かな好意」といった、複雑な感情が次々と浮かび上がった。
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シャルロッテは、自らの感情を光として曝け出された令嬢たちを、責めることはしなかった。その代わり、彼女は、エリーゼの頭上に、「すべての人を心から許す愛」を意味する、パステルピンクの光の輪を創り出した。
シャルロッテは、令嬢たちに語りかけた。
「ね、お姉様たち。噂はね、誰かの悲しい気持ち(=羨望の緑)から生まれるけど、エリーゼお姉様の心はね、誰でも優しく許せる(=パステルピンク)、つまりそれは、一番可愛い心だよ。噂よりも、愛の光のほうが、本当の真実なんだよ!」
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令嬢たちは、噂を流した動機……羨望と嫉妬……を可視化され、そして、エリーゼの優しさと許しを目の当たりにし、心から恥じ入った。彼女たちは、自らの過ちを認め、エリーゼに心から謝罪した。
エリーゼは、涙ぐんだ。彼女の無実は、論理的な証拠ではなく、シャルロッテの愛の哲学によって、最高の形で証明されたのだ。
シャルロッテは、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。
「えへへ。だって、噂の毒よりも、愛の光のデトックスのほうが、絶対可愛いもん!」
その日の午後、サロンは、シャルロッテの愛の哲学によって、「愛の光は、噂という名の毒を浄化する」という、温かい真理に満たされたのだった。




