第二百七十九話「城下町の荒れた道と、変わらない『愛の定規』」
その日の午後、シャルロッテは、モフモフを抱き、城下町の最も古い、舗装の剥がれた石畳の道を歩いていた。その道は、長年の人々の往来と、時代の変遷によって、波打ち、凹凸が目立ち、まるで「人々の人生の苦難の記録」そのもののように見えた。
その道で、シャルロッテは、一人の老いた靴職人に出会った。彼は、かつて城下町で最も成功した職人だったが、新しい技術の波に押され、今は細々と修理業を営んでいた。
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職人は、シャルロッテ姫殿下を見て、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「姫殿下。このような荒れた道で、お目にかかるとは。お恥ずかしゅうございます。まるでこの道は、私の人生の浮き沈みのように、でこぼこでございますゆえ」
彼は、自分の「落ちぶれた現状」と、姫殿下の「変わらぬ輝き」を対比させ、深い虚無感を抱いていた。
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シャルロッテは、その靴職人の隣に、静かに座った。
「ねえ、おじいさん。この道、全然恥ずかしくないよ。とっても可愛いよ」
シャルロッテ姫殿下は、地面の凹凸に、そっと触れた。そして、光属性と時間魔法を融合させた。
彼女の魔法は、荒れた石畳の「凹凸」を消すのではなく、「凹凸」一つ一つが、人生のどの時代の、誰の足跡であった*、という「愛の記憶」を、光の粒子で照らし出した。
「見て、おじいさん。このへこみはね、おじいさんが、初めて孫を抱き上げた、喜びの重みだよ。この出っ張りは、誰かを助けようと、踏ん張った勇気の証拠だよ」
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シャルロッテ姫殿下の魔法は、荒れた道を、「無数の愛と勇気が詰まった、美しい人生の記録」へと変貌させた。
職人は、自分の人生が、「失敗の記録」ではなく、「愛の軌跡」でもあったことを悟り、涙ぐんだ。
「ああ、姫殿下……私は、人生を**『成功と失敗』で測っていましたが、姫殿下は、『愛の深さ』で測ってくださるのですね。なんという慈愛……なんという包容力……」
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シャルロッテは、職人の手に、自分の小さな手のひらを重ねた。
「おじいさん。人生はね、流れていくものだよ。成功も、失敗も、全部流れていく。でもね、愛だけは、流れないで、心の中に残るの。それが、一番強いんだよ」
国王は、その話を聞いて、深く感動した。
「シャルは、時間の流れという、普遍的な法則の中で『変わらない愛の価値』を、証明したのだな」
シャルロッテ姫殿下の純粋な愛の哲学は、「時代の波」に翻弄される人々の心に、「変わらない愛の強さ」という、温かい希望の光をもたらしたのだった。




