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【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


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第二百十八話「朝の雪合戦と、姫殿下の『長靴の奇跡』」

 その日の朝、エルデンベルク王城は、予期せぬ大雪にすっぽりと覆われていた。庭園も、石畳も、すべてが真っ白な雪に埋もれてしまい、王城の活動は一時的に停止した。


 誰もが、この大雪を「厄介な出来事」と捉える中、シャルロッテ姫殿下は、窓の外の銀世界を見て、目を輝かせた。


「わあ! モフモフ! 見て! 一面、雪の綿菓子だよ!」



 シャルロッテ姫殿下は、フリードリヒ王子を巻き込み、庭園での雪合戦を始めた。しかし、フリードリヒ王子の雪玉は、土属性魔法で硬く締められ、まるで岩石のように強固だった。


「兄様! それ全然優しくない雪玉だよ! そんな硬い雪玉は、可愛くないよ!」


 フリードリヒ王子は、「だがな、シャル。雪合戦は、相手を打ち負かすことが正当な勝利だ。勝負をするからにはたとえ妹といえども手加減は失礼にあたる!」と、騎士の論理で反論した。



 シャルロッテ姫殿下は、その雪玉を避けるため、独自の対処法を編み出した。


 彼女は、自分の履いている赤い長靴に、風属性魔法を応用した。


 彼女の魔法は、長靴の周囲に、ごく微細な、温かい空気の層を創り出した。そして、彼女が雪の上を走るたびに、長靴は、雪の表面を滑るように進み、雪がほとんど付着しなくなった。


 それは*「雪を敵と見なさず、友達として一緒に滑って遊ぶ」という、究極の遊び心だった。



 フリードリヒ王子は、妹の滑るような動きと、雪玉が当たらない様子を見て、驚愕した。


「シャル! その動きは、一体どうなっているんだ!」


 シャルロッテは、雪玉を避けるという行為さえも*「優雅な滑り遊び」へと変貌させたのだ。


 シャルロッテ姫殿下は、兄ににっこり微笑んだ。


「ね、兄様。雪はね、戦うものじゃないよ。一緒に遊ぶものなの! 優しく、スイスイって滑ってあげるのが、一番楽しくて可愛いの!」



 フリードリヒ王子は、妹の言葉と、その愛らしい動きに、自分の「勝つこと」への執着が、いかに雪という自然の美しさを見えなくしていたかを悟った。彼は、雪玉を岩石化するのをやめ、雪のフワフワ感を活かした、優しい雪だるまを作り始めた。


 マリアンネ王女は、妹の長靴の動きを解析し、「摩擦という物理法則を、遊び心と優しさで無効化したのね!」と興奮した。


 その日の午後、王城の庭園は、「大雪」という困難を、「遊びと温かい創造性」で乗り越えた、ユーモラスで愛に満ちた場所となったのだった。

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