表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

214/339

第二百十三話「居室の回転と、王城全体を揺らす『愛の遠心力』」

 その日の午後、薔薇の塔の居室は、奇妙な静寂に包まれていた。シャルロッテ姫殿下は、お気に入りの円形の居室の中で、モフモフを抱き、ただひたすらに「その場で、可愛らしく、くるくると回転する」という遊びに夢中になっていた。


「ねえ、モフモフ。まわるって、楽しいよ!」


 その単純な回転は、シャルロッテ姫殿下の純粋な幸福感を、遠心力に乗せて、王城全体へと無自覚に放出し始めた。



 アルベルト王子は、執務室で、複雑な貿易協定の書類を前に集中していた。しかし、彼の集中は、突如として破られた。書類上のすべての文字が、まるで小さなコマのように、微細に回転し始めたのだ。


「おかしいぞ! 論理が、論理が定着しない! 世界が、ユーモラスな運動エネルギーで満たされている! これはいったい……!?」


 アルベルト王子は、原因が妹の「純粋な回転」による、魔力的な遠心力であることを察し、頭を抱えた。



 フリードリヒ王子は、訓練場で、真面目に剣の型を練習していた。しかし、彼の体は、突如として、回転の衝動に駆られた。彼は、剣を収め、その場で、力強く、しかし優雅な「バレエのような回転」を始めた。


「うおおお! 体が勝手に回る! これは、純粋な生命の衝動だ! 止まらない! 止まらないぞ!?」


 彼の周りの騎士たちも、連鎖的に回転を始め、訓練場は、巨大な、ユーモラスな集団ダンスの場と化した。



 エレオノーラ王妃は、この騒動を、テラスから優雅に見ていた。彼女の周りでも、空気中の光の粒子が、円を描いて回っていた。


「まあ、シャルロッテ。あなたの遊びの力は、本当に、いつも世界を動かしてしまうのね」


 王妃は、ハーブティーを飲みながら、自らの銀色の巻き髪を、指先で、優雅に、ゆっくりと回転させた。それは、妹の遊びを、最も優雅な形で、受け入れたという、母の愛の表現だった。



 シャルロッテ姫殿下は、回転を止め、満足げな笑顔になった。彼女は、自分の遊びが、王城全体に、「ユーモア」と「生命の躍動」という、新しい法則をもたらしたことを知っていた。


「ねえ、モフモフ。まわるって、みんなを笑顔にする、最高の魔法なんだよ!」


 姫殿下の純粋な遊び心は、王城の規律を破るどころか、「生きる喜び」という、新たな生命の活力を、王族と王城全体に満たしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ