↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/724

第百四十八話「王子の夜の病室と、小さな光の『自己赦しの力』」

 その日の深夜、第二王子フリードリヒは、極秘裏に王城の医療棟にいた。彼は、訓練で負った小さな怪我が、精神的な過労からくる免疫力の低下により、治癒魔法が効きにくい状態になっていた。彼は、「騎士としての不完全さ」を、誰にも知られたくないと、強く願っていた。


 彼の病室は、薄暗く、彼自身が持つ「自己否定」の重い影に覆われていた。



 シャルロッテは、モフモフを抱き、兄の病室を訪れた。彼女は、フリードリヒの体よりも、彼を覆う「自己否定の影」という、精神的な苦痛が、治癒魔法を拒んでいることを感知していた。


「ねえ、フリードリヒ兄様。その病気はね、体じゃなくて、心が痛いのよ」


 フリードリヒは、妹の鋭い指摘に、驚いた。


「シャル……私は、騎士として、完璧でなければならない。こんな小さな傷すら治せない私は……」


 フリードリヒは、自分の「弱さ」を許すことができないという、最も深刻な病に侵されていた。



 シャルロッテは、兄の隣に座った。彼女は、兄を責めることも、励ますこともしなかった。


 彼女は、兄の病室の、最も暗い隅に、闇属性魔法を応用した。その魔法は、驚くことに闇を払うのではなく、「部屋の闇を、そのままの濃さで、しかし、ごく穏やかに、美しく表現する」ことに使われた。


 薄暗い病室の隅に、「絶望」を象徴するような、深い漆黒の闇の塊が、彫刻のように浮かび上がった。


「ね、兄様。これがね、兄様の悲しい気持ちだよ」



 そして、シャルロッテは、その闇の塊に、光属性の魔法を放った。しかし、光は、闇を打ち消すことはしなかった。代わりに、闇の塊の周囲に、温かく、柔らかい虹色の光の輪を創り出した。


「悲しい気持ちはね、消さなくてもいいのよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 シャルロッテは、フリードリヒの手を握った。


「兄様。不完全でいいんだよ。完璧じゃなくても、あなたは、私の、世界で一番強い兄様なの。だから、()()()()()()()()()



 フリードリヒは、妹の魔法によって、自分の「自己否定の影」を直視し、それが、妹の愛によって、優しく肯定されているのを感じた。彼の心の重みが、一瞬で溶け去った。


 その瞬間、彼の身体の傷は、治癒魔法が効き始めるように、劇的に回復した。病の原因は、魔力的な耐性菌ではなく、自己否定の精神的な呪縛だったのだ。


 フリードリヒは、妹を抱きしめた。


 「シャル……君は、私に、『生きる上での、最も大切な赦し』を与えてくれた」


 シャルロッテの純粋な愛と聡明さは、人間の尊厳を脅かす「自己否定」の病を、優しく、そして根本的に治癒したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。