奪われた人達、奪った人達
レダリアを出てから一日が経った。
馬は時速10キロメートルで三時間位走れ、
三時間走った後は三十分程休ませれば、また同じ様に走れた。なぜ特に荷物が多い訳でもないのに馬車を選んだか私には良く分からなかった。
私達は隣街のワストイールに着いた。
ワストイールには人影がなく。ただ、廃墟が建ち並んでいるようにしか見えなかった。
私達が街を歩いていると廃墟から光が漏れていた。私達はその家にノックをした。が、返事は無かった、中に入って見ると中には若い母親と幼い少年が怯えていた。
「これ以上近づくなこの魔物が!」
母親が近くにあった果物ナイフをこちらに向けながら声を震わせながら言った。
私達は彼女をなだめて事情を聞いた。曰く、最近ワストイールに魔物の大軍が押し寄せて来て。人々を襲って周って気が済むと森の中に消えたらしい。ついさっきまで平和な日常を過ごしていた街は魔物によって、男と老人は何箇所刺され殺され、女は犯され殺され、子供は全員連れ去られたらしい。私がイーヤさんの方を見るとイーヤさんは、難しい顔をしていた。私はイーヤさんに理由を聞いた、しかしイーヤさんは直には答えず家を出てから教えてくれた。
「本来魔物って他の生物を見境無く襲うんだけど。ワストイールを襲った魔物は強姦をして誘拐までしていた。そこがおかしいの、奴らはただ周囲殺し回るだけだから誘拐なんてしない。まず帰る場所がない。」
私達は他にも生き残った人がいないか街の中を周った。道端には人が殺された跡が残っていて家の中には動かなくなった人が何人もあった。その中には近くにいた駐屯兵のものもあった。
全ての家の人を一箇所に集めて私とイーヤさんはあの魔物が消えた方向に向かった。
森の中は暗く木々が生い茂り視界が常に悪かった。森の中を三十分程歩いた後、森の中に小さなキャンプ跡があり焚き火の残り火がまだ赤くさっきまで誰かがいた事をものがたっていた。それに気付いた私とイーヤさんは大急ぎで街に帰った。
街の近くには人形の黒いものがあり多分これがあの魔物の正体だろう。私とイーヤさんは後ろから急襲を仕掛けた。急襲を受けた奴らは、怯えて陣形が崩れた。
「う、うああああ!」
魔物いや、人型だから魔族とでも言おうか。奴らは本来恐怖を知らないだから陣形が崩れないそして言葉を話せない。だから私は察したこいつらは人間だと言うことに。私はイーヤさんにその事を伝えた。イーヤさんもその事には気付いていた。
「あなた達は人間ですね。投降しなさい。そうすればあなた達の命までは奪わない。」
と私は声を張って言った。
「は!お前ら大人とガキの女二人に投降しろと、、、。なめんじゃねーぞ。野郎共そいつの首を持って来い!」
男は投降する気はないらしい。私は腰に掛けた鞘から剣を抜いた。それを見るなり奴らの中の一人が笑い出した。
「ハハハ!そんな剣で俺達を倒せるとでも思ってるのかよ。そんなおもちゃ俺がぶっ壊してやる。」
そう言った男は腰に下げていた山刀を抜いて地面を力強く蹴り一気に距離を詰めた。私は剣先を相手に向けた。相手が間合いまで入ると私は剣を水平にし、体を回転させて相手の脇腹に刃を打ち込んだ。しかし、案の定相手の体は切られずに体が吹き飛んだだけだった。
「へっ。そんな雑魚相手に勝ったからって調子に乗ってんじゃねえぞお嬢さん方。」
と意気揚々と私達を煽って来た野盗達はそのすぐ後誰も動けなくなっていた。
「これでも投降しないのね。」
イーヤさんは恐ろしいほど満面の笑みで聞いた。野盗達は怯えながら首を横に振った。その回答に満足したイーヤさんは。街の生き残りを集めてこう言った。
「コイツらの処遇はあなた達に任せるわ。」
その言葉を聞いた人達は近くにあった石を投げつけたり、道具で叩いたりし始めた。私が止めに入るも。
「うるせえ。こいつらは俺達の街を、家を、家族を奪ったんだぞ。何も奪われてないお前に何がわかる。まず、お前は部外者だろ。」
私はその言葉に反論ができなかった。確かに私はこいつらに何も奪われてない、そして部外者だ。でも、だからといってこの人達を人殺しにしたくない。私は勇気を出してこう言った。
「確かにあなた達の様に何か大切なものを奪われた訳でもないし、なんなら部外者の私だけど。多分、こいつらに殺された人達はあなた達が人殺しになるのは嫌だと思う。」
街の人達は手に持っていた物を地面に置いた、そして人混みの中から一人の男性が出て来た。
「どうも、あいさつが遅れてすみません。町長のダレイオス ノードです。この度は街襲撃の犯人を確保下さりありがとうございます。この者達は私が責任を持って、国に引き渡しましょう。あと、報酬と言ってはなんですがこれを。」
と言い町長は革袋に入った宝石を一つ渡してきた。
「それは私達の一族に伝わる宝の一つですどうぞお受け取りください。いつか役に立つでしょう。」
私はそんな物を貰って良いのか分からずイーヤさんの方を見ると目を輝かせていたので、イーヤさんに渡した。
そして私達はすぐに街を出て王都に向かった。
私はさっきの宝石がどういうものか聞いた。
「さっきの宝石にはね魔力を込めるとその宝石に刻まれた魔法が発動出来るの。だから、魔力の早撃ちでは役に立つの。白ちゃんこれ使う?良いよ、私無詠唱出来るから。」
私はマジかとドン引きしつつも首を横に振った。イーヤさんは少し残念そうだった。
数日後あの野盗達はレダリアの騎士によって投獄された。
多分、今のところ一番長い話になってしまった。でものその分考えたから良し。