隠れた苦労
夕飯を食べ終えた私達はお菓子と薬湯を用意して女子会を始めた。
「イーヤさんって、なんで十二怪に所属しようと思ったんですか。」
私は薬湯をすすりながら聞いた。
「なんでって言われても、ただ十二怪に入ると社会的な地位が約束されるから入っただけだし。特にそれ以外の事は考えて無かったわね。」
と、そっけなく答えたイーヤさんにルーシアが食い付いた。
「十二怪ってどんな仕事があるんですか!?」
イーヤさんは困りながら言った。
「仕事って言っても、兵士の仲間で階級は一般の兵と同じ感じで、でも十二怪は国王からの命令のみで動く自由な感じの集まりね。」
イーヤさんはあっけなく答えた。
十二怪については私もよく知らなかったので勉強には、なったがどうしてもの理由がない限り入らなくて良いやと思った。
突然イーヤさんは思い出した様に言った。
「忘れてた、大会出ると色んな所から目をつけられるから気を付けてね。」
まあ、十二怪、強者に認められたから、そう言う事もあるだろうと思った。
私がお湯を飲もうとするも中身がなくなっていた。大きなポットから注ごうとするもポットの中身も飲み尽くしてしまったらしい。。
「すみません、薬湯がなくなったみたいなので淹れてきます。」
「いえ、大丈夫よ。ちょうど良いしもうお開きにしましょう。夜更かしは良くないからね。」
そう言って女子会はお開きとなった。
私達は手分けして机やキッチン周りを整えて、身体中を濡れた布で洗い、着替え各自の部屋に戻った。
私は今日あった事を日記に記すのが習慣なので日記を書いていると私の部屋の扉を誰かが叩いた。
私が出るとそこには赤髪のルーシアが枕を抱えていた。
「せっかくだし一緒に寝ない?」
と彼女が明るく聞いてきた。
私のベッドは一人用なのでルーシアをベッドに寝かせ、私は寝袋で寝た。
「本当に良いの?」
「良いですよ。ルーシアさんは明日もビシバシ頑張って貰うので。おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
そう言って私達は目を閉じた。
眠っていた私の顔に窓から入って来た日の光が当たった。私が目を覚ますとベッドは誰も使って無いように綺麗だった。
私は眠い顔をこすりながら、一階の居間に降りるもルーシアの姿は見当たらなかった。
「ルーシアさんは?」
と私が聞くとイーヤさんは外を指を指した。
その先には片手剣を両手に持ち、イダリヤで踊っていた舞とは別の舞を踊っていた。
「多分、神舞って何個もあって、それを毎日繰り返しているんじゃない。だって昨日とはまた違った動きだからさ。神舞について聞いてみたら、姉弟子として指導できるでしょ。」
それもそうだと思ったので練習が終わったルーシアに冷えた水を渡しながら言った。
「今日神舞について、貰えませんか。」
そう言うとルーシアの目はパアッと明るくなり喜んで教えてくれた。
「まず、お師匠様に伝わった伝承によるとね、神舞って言うのは女神様の戦う姿を想像して作った舞なんだって。だから、流れるような動きが基本でね、、、、、」
私は一日中神舞について教えてもらった。
内容を要約すると、神舞には二十の型があり。それぞれの型に一つ一つ意味が込められていると言う。
「白ちゃんが神舞に興味を持つって私の弟子になりたくなっちゃった。」
なんて言って来たが私はそんな事願いもしていなかった。ただ、気になったから聞いただけだった。
その日の夜も私とルーシアは一緒に寝た。
「嬉しいな〜、神舞に興味を持って貰えたの後継者にはなってくれなかったけれど。」
そう嬉しそうにルーシアは話して来た。
「悪かったですね。」
「逆逆、とても嬉しかったの。あんまり中身についてはあんまり興味を持たれた事は無かったから嬉しかったの。」
そう言われるのは少しむず痒かった。
「まあ良いです。明日からはビシバシ行きます。」
「はーい。お手柔らかに。」
ルーシアがそういったのを聞いてから私は目を瞑った。
私は少し早く目が覚めた。少し眠い気持ちもあったが朝ご飯を作らなければならないので顔を洗い目を覚まさせた。
倉庫から野菜を取り出し盛り付け、パン生地を焼いていた。するとルーシアさんが降りてきて庭に出て修練を始めた。その後に遅れてイーヤさんが降りてきた。
「今日は朝市に行かないんだ。」
「ええ、こないだ買って置いた野菜を消費して置きたかったのであと、干し魚混ぜるか迷ったんですけど混ぜて良いですか。」
「ええ、いいわよ。」
許可が出たのでイダリアのリザードマンからもらった干し魚を出してきて、軽く火であぶったあと千切って皿に載せて他のものと一緒に並べた、そこでちょうど良く鍛錬を終えて水浴びをしてきたルーシアが戻ってきたので食事を始めようとした。しかし、正面の出入口の扉を叩く音がしたので私が出ると、気品のある衣装に身を包んできれいに髭を伸ばした初老の男立っていた。
「朝早くに失礼します。陛下よりお預かりしたものを届けに参りました。」
彼は丁寧に包まれた手紙を手渡してきた。ひっくり返すと王家の家紋のワックスで封印されていた。
「これは例の謁見に関する手紙ですか。」
「ええ、謁見する際にはご一報よろしく願います。」
そういうと男は男の後ろに控えていた煌びやかな馬車に乗って去ってしまった。
私は中に入って手紙の封印を解き、中に入った手紙を読んだ。
手紙で失礼します。
今回話したいことがあったために謁見の時間を作ってもらいました。
「じゃあ、今日にでも行こうかしら。届けなければいけないものあるし。」
私達は身だしなみを整えて王城まで歩いて行った。
相変わらずの巨大で煌びやかな城門の下をくぐった私達は守衛所に声を掛けて、許可をもらい王城へと入れてもらった。
「一声かけるようにと言っておいたのですが。」
そう言いながら困り顔をした朝の男が正装をして立っていた。
「すみません、どうしても急ぎの用だったので。」
それを聞いた男はため息をついた。
「それはそうと挨拶が遅れました。右大臣のギルベル・ガールートです。以後お見知りおきを。」
と丁寧な挨拶をしてきたので私も答える様に挨拶した。(目上の人が自己紹介をするまで、自分は自己紹介をしない。のが礼儀)
「イーヤ・ソネリラです。」
「白です。名字はありません。」
「ルーシア・ルヴィです。」
と私達は丁寧な挨拶を返した。
「名字はソネリラではないのですか。」
と右大臣は私に言って来たが私は特に必要と感じていなかったから特に決めては無かった。
そして、右大臣は私達を謁見の間ではなく国王の部屋へと案内した。
部屋の守衛が扉を開けると4つの椅子が一つの机を囲む様に置いてありその一番奥の席に国王らしき人物が座って待っていた。
扉が開いたのに気づいたその人は椅子から立ち上がりこちらを向いた。
私達が全員部屋の中に入ったら国王は右大臣を外に置いたまま守衛に扉を閉めるよう指示した。




