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私的自由な珍道中  作者: パラトリウム
十二怪選抜大会編
27/29

挑戦への壁

「どうしたんですか。ルーシアさん。」


その声に気が付いたルーシアは私達の方を向いてイーヤさんに向かって駆け寄って行った。


「イーヤさん、私が大会に出ても歯が立つか見て下さい。」


と勢いよく言った。


「貴方と一対一の決闘をして確かめて下さい。」


そうルーシアが言うとイーヤさんはルーシアの頭を撫でながら言った。


「じゃあ、まず私じゃなくて、白ちゃんを倒してみなさいそれが私との決闘の条件です。」


「はい!」


ルーシアがハツラツと自信を持って返事をしたのに対して、私は私がルーシアにとって弱い存在ではないかと少し不安になった。

私達は部屋を分けて決闘の準備をしていた。するとそこにイーヤさんが入って来た。


「白ちゃんにしては珍しいわね。こんな面倒くさそうな事に対してまず断らないなんて。」


と私の横に座りながら言ってきた。


「ルーシアさんが、出たいと思っている大会に出るためには十二怪の誰かから推薦されないと出ることは出来ない。そして、何よりも私は彼女の夢を応援したい。神舞の継承者としての道もあるのにそれを投げ出してでも十二怪になりたいんだから。」


その言葉を聞くとイーヤさんは満足そうに部屋を出て行った。

イーヤさんの家には家の大きさには似合わないくらい広い、それこそイーヤさんの家がもう一軒半建てれそうな庭があった。

私が家の庭に出た時にはすでにルーシアは出てきていた。


「お待たせしました。」


私はのんびりしていたことが申し訳ないと思い自然と口から出てきた。


「大丈夫、全然待ってないし私は準備がとても早い人だから。気にしないで」


そうニコニコしながら遅れた私に気を使ってくれた。


「じゃあ、準備はいい。」


さっきまでの雰囲気とは打って変わり本気の顔になってルーシアさんは聞いてきた。


「はい、できてます。」


そういうと審判役のイーヤさんがルールの確認をして、確認を終えた後試合の開始が宣言された。

ルールはイーヤさんとファシウスさんの決闘、大会のルールと同じである。

私は一週間ほど前だが舞を舞うように剣を扱う相手と一度やりあったことがあったのでその対策の構えを取った。

そして、ルーシアは攻めの姿勢で私に迫ってきた。

これが神舞かと思うほど圧倒された。

ルーシアの話によればこれは救世の女神に捧げるための舞であり、本来は戦うのに適していない。しかし、ルーシアが独自にアレンジしていったことによってその舞はこのような戦いにも使えるようになったのだという。

剣の一撃一撃はフェアリスの一撃とは比にならないほど重く剣で受けても体の芯まで伝わるような一撃であった。


「ほらほら、それでも十二怪の一人である魔獣のイーヤと共に旅をしてきたのかしら。」


ルーシアは煽るような口調で性格が変わったようになってしまった。

私は防戦一方の戦いで私の体力が尽きてそのまま終わると言った終わり方は目に見えていた。私はそんな終わり方は死んでも嫌だったので。ルーシアの剣をタイミングよくはじき返した。ルーシアは姿勢を崩し掛けながらもはじかれた方とは反対側の剣で私のわき腹を狙ってきた。

私は危ないと思いルーシアとの距離を詰めた私のわき腹にはルーシアの腕があたり、何とか耐えることはできた。


「さすが二刀流そんなこともできるんですね。」


そう私が煽ると彼女も言い返してきた。


「いやいや、一刀流のあなたにも神舞の真似事ができるんですね。まあただそれは廉価版ということでこの戦いを閉めましょう。」


そういうと彼女は少し下がり二本の剣を重ねるように構えた。そして彼女は二本同時に剣を打ち付けてきた。私は相手のタイミングに合わせて剣を打ちつけ吹き飛ばした。そして、地面をえぐる勢いで、走り出し間合いを詰めた。既に体勢を立て直していた少女の頭を狙う様に振り降ろしながら剣を彼女の脇に流して剣の峰で腹を打ちつけた。

彼女は唸りながら立ち上がった。

私が近づくと左手の剣を振って私を攻撃しようとしたが私がそれを受け止めた。私が話し始めようとすると、彼女は私が止めてる剣とは逆側の剣を伸ばしてきた。私は間一髪のところで避けて、顔への直撃は避けられた。


「もう、神舞の型なんてなんにもないですね。その柔軟さが強さにもなる。」


なんて私は言ってみた。それにルーシアは言い返す様に言った。


「きっちりとした形こそが真なる強み。」


私はルーシアにはわからないくらい、ニヤリと顔を歪ませた。


「その頑固さには呆れました、では。」


そう言って私は地面に剣を突き刺し、刺した場所を中心として魔法陣を展開した。円の外側にスラスラと文字が浮き上がっていき、完成した魔法陣の効果は地面を緩くする魔法である。

ルーシアの足は踝ぐらいまで地面に埋もれた。


「なにこれなに気持ち悪い。助けて助けて、降参降参します。」


混乱して出ようと必死にもがく度、彼女の体は沈んで行った。

私は彼女の言葉に耳を貸さず、自分の足に強化魔法をかけて脚力を上げ、足もとの固い地面を蹴った。


「おりゃーーーー!」


私はルーシアの首を狙って剣を振った。

しかし、すんでのところでイーヤさんに剣を止められた。


「白ちゃん、やり過ぎ、もう決着はついてるわ。」


その言葉で私は我に返った。目の前でルーシアはバタバタと手を動かしていた。

それに気が付いた私は「ごめんなさい。」と言いながら手を取り、地面から引き抜いた。

地面をもとに戻してイーヤさんに結果を聞いた。

イーヤさんは悩みながら結果を告げた。


「うーん、合格。私の推薦で大会に出してあげる。」


私とルーシアはお互いの手を握り、あまりの嬉しさに飛び跳ねた。


「じゃあ、出場の手続きが後であるからその時はよろしく。後、ルーシアちゃん、大会でそんな状況になったら、直ぐに立ち直せる様に心を鍛えて置きなさい。」


そう言うとイーヤさんは家の中に戻って行った。

そして私達も後を追うように家の中に入って行った。


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