王都への帰り道その一
私達は結局フェアリスを連れずにイダリヤの街を去った。
「イーヤさん、本当に良かったんですか。」
正面を向いて馬車を操るイーヤさんに私は聞いた
「いいの、あの子が今の状態が良いって言ってるんだから。ちゃんとあの子の意見を尊重しないと。」
イーヤさんは前を向いたまま馬車を進めた。
私達は一月後に控える十二怪選抜大会に参加する為に王都に向かっていた。
「フェアリスさんの代わりにセイナちゃんなんてどうですか。」
私はイーヤさんにセイナを推薦した。
「セイナは轢獣の娘だし、あの親ならそんな事許さないと思うわ。」
私達は移動しながら推薦者について話し合っていた。
すると、道端で倒れている人影を見つけた。私達は駆けつけてその赤髪の少女を拾った。
私はその顔を見て思い出した、彼女はイダリヤの街で踊っていた踊り子だった。
少女は唸っていた。
「ううう、お肉、スイーツ、お腹空いた、喉が渇いた。」
彼女は沙漠渡りを舐めていたらしい。来る時どうやって渡って来たのか不思議ではあるが兎にも角にも彼女に水を口に流し込んだ。すると少女は飛び起きて私が持っていたナツメヤシの実を乾かして作ったデーツを受け取り直ぐに食べ始めた。デーツを飲み込んだ彼女にイーヤさんは事情を聞いた。
「いやー、いけると思ったんですよね。沙漠渡り。」
そうヘラヘラしながら私より歳のいってそうな少女は答えた。そんな少女を見たイーヤさんは呆れていた。
「じゃあどうやって沙漠を渡ってきたんですか。」
私は呆れながら聞いた。
「えっとね、キャラバンの人達に連れてってもらったの。」
だからか、、、と私とイーヤさんは思っただろ
う。
とりあえず次の街まで連れて行きそこで隊商でも捕まえて王都に行けばと言った。
「そんな、こんなか弱い乙女を沙漠の街に置き去りにして自分で王都に行けなんて、そんな薄情な!」
少女は身体をくねくねと撫でながら過激なリアクションを取った。
「私達だって慈善活動をしてる余裕無いんですよ。」
少女は泣きながら言ってきた。
「腕にも自信はあるしお金も払うんで。王都まで送って下さいよ。」
そうするとイーヤさんはため息をつきながら言った。
「じゃあ、王都までは送ってあげるけど食費は自分で払ってね。」
少女の顔はぱあっと明るくなった。
「紹介が遅れました。私はルーシア。神舞の継承者で、一応神舞の為に剣舞も出来ます。」
そう言うと彼女と一緒に拾った袋から二振りの煌びやかな剣を取り出した。
「これは神舞の継承者に伝わる宝剣です。凄いでしょ、これ持ってみて下さい。」
そう言うと少女は鞘に収まった剣を差し出してきた。
私がその剣を受け取るとさっきまで彼女が片手で持っていたとは思えないほど重かった。
「重いでしょ、さあ岩肌に落とす前に返して。」
私が彼女に剣を返すと、彼女は剣を袋にしまった。
「よくその剣を持って舞えますね。」
「まあ鍛えていますから。」
そう言うと彼女は袖を捲り細い腕を見せつけ、腕にムッと力を入れると筋肉と血管が浮き出てきた。
「フッフッフ、恐れ入ったか。」
そう、自慢げに言う彼女に私は首を縦に振るしか無かった。
そして、私達は次の街に着いた。
そこで彼女は食品を買い揃えていた。
彼女は沙漠渡りをあまりした事ないのか新鮮な果物や、生肉などを買おうとしていたので止めるのが大変だった。
「いやー、助かりました。生モノはあまり旅に向かないんですね。旅の先輩方ありがとうございます。」
なんて調子の良いことを言っていた。
私達は相変わらず行き急いでいたので直ぐに街を出ようとした、そこでルーシアに止められた。
「何でそんなに急いで旅をしてるんですか。もっと旅なんだしのんびり楽しみましょうよ。」
私も一人の時は確かにのんびりと生活していた、そしてそっちの方が確かに楽しかった。
「何でイーヤさんはそんなに急いでるんですか。」
そう言うとイーヤさんは少し言いづらそうに言った。
「ちょっと急ぎの用事あってね、今は大会の為に急いでいるのもあるけど、、、」
「大会!大会って何ですか!」
イーヤさんが大会と言ったところでルーシアは食い付いてきた。するとイーヤさんはルーシアに説明した、するとルーシアは残念がる様に言った。
「なぁんだじゃあ私関係ないですね。私戦いの方は点で駄目で。」
いやいや、そんな腕してんだし絶対素手で魔物絞めた事あるでしょ。と私は心の中でツッコんでしまった。
そして私はイーヤさんに続きを聞こうとしたら雨がポツポツと降ってきて少ししたら会話が聞きづらくなる程の雨になった。私達は近くの食事屋に入って少し時間を潰した。その時に質問の続きをした。
「で、続きなんですけど、なんでそんなに急いで旅をしているんですか。」
そうすると観念したようにイーヤさんは答えた。
「あ〜もう、仕方ない。白ちゃんなんで私がこんなに急いでいるかというとね、、、」
私は固唾を飲んだ。
「ただのせっかちなだけあんまり気にしないで。」
さっきまでの緊張感はどこへ行ったのやら。
そんなこんなで過ごしていると雨が落ち着いてきたので私達はまた王都へと目指した。
「そう言えば思い出したんだけどもイダリヤの街を越えてずっと向こうには巨大な渓谷があるんだって、今度落ち着いたら一緒に行きましょう。」
私達は枯れた川に沿って行こうとしたがそこには川が出来ていた。イーヤさんが面倒くさそうに言った。
「沙漠って雨があまり降らないけど雨が降ったあとは直ぐに枯れた川に水が溜まって大変な事になるのよ。だから、道なき道を辿って行くしか無いわね。」
そう言って私達は行きで通った道ではない道を辿って行った。
途中でバザールが見えた。高台にあった為に洪水から逃れるのにちょうど良かったのだろう。
イーヤさんの方を見ると、イーヤさんは思い出した様な顔をしていた。
「イーヤさん、どうしたんですか。」
「ちょうどここだったわ。様子を見るために少し寄って行きましょう。」
そう言うとイーヤさんはその行列に向かって馬車を進めた。
私達は馬車をそのバザールの近くに馬車を停めて。辺りを見渡した。建物は無かったがその代わりにテントが何棟か建っていた。その中に沢山の人が集まっているテントがあった。私達はそこに行くと後ろから声をかけられた。
身だしなみは普通の人よりかはしっかりとしてガタイのしっかりとした三人の男達だった。
「姐さん。どうですか俺達のバザールは。」
2025年最後の作品です。良かったら感想批判でも良いので下さい。お願いします。この作品の改善点をもっと見つけたい。




