共存と模擬戦
イーヤさんはそうあっさりとすごい事を言った。私はさっきまでとても眠かった事を忘れてしまった。
「よ、妖精族ってあの伝説の、大陸南部に生息するという亜人族ですよね。」
私は驚きと興奮を隠せなかった。
「まあまあ、落ち着いて白ちゃん。他の人にバレたら大変な事になっちゃうから。」
妖精の羽は装飾品として人気で高価であるのと見た目が美しく奴隷としても人気であるから妖精族はよく狙われている為に森に潜んで滅多に人前に姿を現さない。
「じゃあ、イーヤさんって妖精の羽生えてるんですか!見てみたいです。」
イーヤさんは困った顔をしながら言った。
「ごめんね、実は妖精と言っても混血で妖精の羽は生えてないのよ。ただし、無詠唱魔術は使えるのよ。」
だから、イーヤさんは不意をついて魔法を使えたのか、と納得しながらも妖精の羽が見れなかったのは残念だった。
日が昇り私達はドランさんの妹に起こされた。
「起きて、朝ご飯が始まっちゃうよ。」
そう言いながら幼いリザードマンは私達の服を引っ張った。
私達は朝食を済ませて、私達も食料調達の手伝いをした。基本的に魚は洞窟の奥にある池で飼っており。採って来るものと言えば、野菜や果物などで、これらは近くのオアシスの一画を借りて作っているらしい。私達は徒歩で一時間掛けてオアシスへと向かった。
オアシスに行くと沢山の人々が食べ物や装飾品、香辛料の値切り交渉をしている声が聞こえた。そして、水が溜まっている所の隣に畑があった。そこには、真っ赤に実ったトマトや金色の実を付けた小麦などが植えてあった。私達はそれを収穫して余った物は市場で物々交換をして別の物に変えた。今回得たものは、いくつかの野菜と小麦、ナツメヤシ、葡萄酒で、いつもよりも良いものが沢山買えたとみんな喜んでいた。オアシスの人々はリザードマン達の事を差別せずに普通の人として接していたのに私は驚かされた。私だったら恐怖で無駄だろう。そこで私は街の人にこっそり聞いた。すると、気軽に答えてくれた。
「彼らを怖がるって、もう慣れたし、ここらへんには王国の駐屯兵が少ないから魔獣が来た時に一緒に撃退の手伝いをしてもらっているから、いつも助かってるんだよ。」
私は、ここまで人と亜人が共生できている状況を初めて目にした。
私は一緒に来ていた女性のリザードマンのルーネルに今度リザードマンの訓練の様子を見せて欲しいと言った。するとルーネルは、
「ちょうど、家に帰る頃に始まるだろうから観ていってもいいと思うよ。隊長には、私から言っておこう。」
私は内心飛び跳ねそうだった。
私達はやっとあの洞窟に着いた頃には、日は真上まで昇っていて暑さは最高潮になっていた。今から訓練を始めるのが私にとってはとても不思議で仕方が無かった。そう思っていると訓練を受けている戦闘員のリザードマン達が見えた。その中にはドランさんの姿もあり、あの発言通り片手斧と盾を持っていた。今は模擬戦をやっているらしく、皆で円状に並び、その円の中に二人のリザードマンが立っていた。片方は青く、もう片方は緑色の鱗を持っていて、二人とも槍を構えていた。私が見始めたタイミングでちょうど試合が始まった。
まず先に青いリザードマン(ここからは青と呼ぶ)が緑色のリザードマン(ここからは緑と呼ぶ)に穂先を立てて突進した。緑は槍を地面に突き立ててそれを支柱にして、青の脇腹に思いっきりの蹴りをかました。突進に夢中で防げなかった青の脇腹に深く入り込んで青を大きく飛ばした。しかし、青は空中で体勢を持ち直して、円の縁に当たる、ギリギリに槍の穂先を差し込みうまく止まった。そして、青は穂先を相手に向けて静止した、それに気がついた緑も静止た。すると、二人の槍の穂先には水の粒が現れて、ある程度の大きさになった所で二人は同時に穂先を前に突き出した。人の顔程の大きさの水から出たとは思えない程の水の線がお互いに向かって伸び、二人の中心でぶつかり合い大きな水しぶきを上げた。二人徐々に近づき一度槍を上に上げたのちまた振り下ろした二人の姿は水しぶきに消えた。そして、再び二人が現れた頃には二人は地面の上に倒れていた。その二人を隊長であろう人物に引っ張られて場外へと引っ張られて行った。
隊長が次は誰だと周りを見回した。するとドランさんが私を指名してきた。隊長は渋い顔をしながらも許可を出した。私は木の剣を借りて、輪の中に入った。
「どうなっても知りませんよ。」
と私はドランさんに向かって言った。
ドランさんは
「構わないよ。」
と言った。
お互いに準備を終えて、隊長の合図をまった。そして、始めの合図が出た。
開始早々ドランは盾を叩いて挑発してきた。私は挑発に乗らない様にしていたが、心の静止を聞かず体がドランさんに突進していった。そんな私にドランさんは手斧を振って脇腹に叩き込んだ。私はそのまま一、二メートルも飛んだ。そして、またさっきと同じ様に盾を叩き挑発してきた。そして、同じ様なことが三回繰り返されたあと周りに耳をやった。
「圧倒的じゃねえか、やっぱり隊長候補は違うな。」
「可哀想にあんな女の子が、、」
「へっ!やっぱりあんな狡いやり方は気に食わねぇ。あんなんが隊長候補とか呆れるぜ。」
と称賛と同時に彼への罵声、私への心配が聞こえた。私は、また立って構えた。彼も同じ様に盾を叩いた。しかし、挑発は発動しなかった。私は彼に突進した、剣に風のイメージを纏わせながら。そして、彼は同じ様に突進している私に挑発が効いているのか同じ様に斧を横に構えた。私は彼の範囲に入った、彼は変わらず私の脇腹を狙って斧を振った。そして私はすぐさましゃがみ込み斧を避けて剣をジャンプすると同時に振り上げた。それに気がついたドランは盾を構えた。盾と暴風を纏った剣がぶつかり合った。そして次の瞬間剣は真っ二つに折れてしまった。
そこで私の反則負けが決まった。ドランさんは私に近づいて来て苦笑しながらこう言った。
「君の剣が途中で折れて助かったよ。あれがあのまま折れなかったら多分盾が砕けてそのまま僕に当たって打撲どころじゃ済まなかった。」
私は悔しかった、「あれさえ折れなければ。」と強く思った。
私の悔しさは食事の時になっても落ち着かなかった。それを感じ取ったイーヤさんは私に大丈夫?と聞いて来た。そしてイーヤさんは解決策を教えてくれた。
「そうゆう負荷が高く成りやすい技の時は全体に強化を掛けて堅くしないと折れちゃうのよ。」
午後はイーヤさんに教えてもらいながら。武具強化の練習をしていた。いくら表面を堅くしても、内側も堅くないと強化魔法を解いた途端にそれは使い物じゃなくなってしまうので一番難しいかったことと言えばこれだろう。
私はついに強化魔法を使える様になった。そうして私はドランさんに再挑戦を申し込んだ。
「明日また旅に出ます、なので最後にもう一試合お願いします。」
ドランさんはその挑戦を受けてくれた。
隊長が審判をやってくれることになった。
私たちは互いに武器を構えた。そして試合が始まった。私は早く勝負をつけようと背中に私に風を纏わせた、風を圧縮して圧縮して。そして剣に強化魔法を掛けて、一歩目を踏み出したタイミングで圧縮した風を解放して私は前方に吹き飛んだ。ドランさんは盾を構えて衝撃に備えた。私は移動中に剣に暴風を纏わせてその剣を一気に叩き込んだ。彼は盾に強化魔法を掛けたらしく見事に耐えて見せた。そして風によって2人とも吹き飛ばされた。
「今度は成功しましたか、白殿。」
「結局耐えたんですね。ドランさん。」
お互いに相手を一瞬褒めたあとまた戦いが始まった。次にドランさんは盾を叩いた。しかし、私に変化は無かった。ドランさんも一気に終わらせるらしく盾を捨て斧を両手で水平に構えて、斧の刃に沿って水を纏わせた。そして、神速と言うべき速度で肉薄してきた。私は剣の腹で受け止めた。 折れるかと思って私は剣に強化を施した、そして耐えた。ドランさんは刃の反対側に水球を作り出しそして爆破させ推力を得て一段と重くなった。私は両手を使ってやっと耐えれる程余裕はなかった。私は早くこの状態を打開しようと風の球を作り出した。ただ、溜めて溜めて臨界近くになった時に爆発させた。そして隙を作り出しその状態から抜け出し、ドランさんの脇腹に強い一撃を叩き込みドランさんは大きく吹き飛んだ。そして、立ち上がり「降参です。」と言った。
その夜、皆で食事をしていた時に酔ったドランさんにダル絡みされた。
「白殿、なんで人族なのに無詠唱で魔法を連発できたんですか〜↑」
私は疑問に思って聞いた。
「人族は詠唱が必要なんですか?」
「当たり前じゃないですか。人族は体の中に魔法を無詠唱で使う為の器官がないからいちいち詠唱をして魔力を制御しないといけないんですよ。」
「確かに私があった人で魔法使えた人は少ししかしいないのも関係あるんですか。」
「それはわかんないですね。でも、詠唱をする意味はあるんですよ。詠唱すると消費魔力を減らせたり、威力の向上なんかがあるんで詠唱か無詠唱かは場面によって切り替えたほうが良いんすよ。」
「はえ〜」
そんなこんなで食事を終え明日は早いので早く寝た。次の日、日が少し昇って来た頃私はイダリヤに向かった。そして、朝早いのにリザードマンたちいや、ドランさんたちは、私達を見送ってくれた。
「白ちゃん、これよかったら食べて。」
とドランの母親は干し魚を三尾くれた。
長老さんも私達を見送ってくれた。
「また会ってまた昔話でもしましょう。」
とイーヤさんは長老さんに話していた。イーヤさんはこの2日間長老さんの所で話していたらしい。ちょっと気になりこないだ聴こうとしたが教えてくれなかった。ただ、一つだけ分かった事がある。イーヤさんは、あの長老と年齢が近いらしい。
私達はまたビールの引く馬車に乗ってイダリヤに向かった。
分けた方が良かったかな。めちゃくちゃ長くなってしまった。




