遺されたもの
白とイーヤは王都を出て西都イダリヤに向かった。その途中で立ち寄った老人の家での出来事。
西の大門を出るとそこには背の低い草に覆われた大地が広がっていた。私たちは沙漠の移動に適した大型の鳥の様な生き物に乗って道に沿ってイダリヤに向かった。
王都を出て2時間が経ったであろう頃、私達にこの日差しは牙を剥いてきた。風は熱風で癒しで無く試練のようであった。
「暑いですね。」
「大丈夫まだまだ序の口よ。」
「な、なんですと。」
と驚いてしまった。
そうしていると一本だけ孤立した木が生えていた。私達は日陰に入り王都で買った扇を使って顔を仰いでいた。
私は喉が渇きイーヤさんに水を求めた。
イーヤさんは水を差し出し、私はそれを飲んだ。
私達がまた移動していると土で作られた家を見つけた。煙突からは白い煙が上がっていて扉は半分空いていた。
私が中を覗こうとすると扉が突然開いて中から雑に白髭の生えた小柄で腰の曲がった老人が出て来た。
「なんの要だい?」
優しく落ち着く様な声で聞かれた。私は緊張しながら答えた。
「こんな周りに何もない所に家があったので気になって。」
「ホッホッホ、好奇心旺盛ですな、若い子は。中に入りたまえ、少しお茶でもしてかないか。ここらへんはあまり人が通らなくて暇だし、冒険者の体験談などに興味があってな。」
私達はお言葉に甘えて中に入った。
中は涼しくゴチャついていて唯一暖炉の前にのみ座れる様になっていた。
「お茶しかないがいいかい。」
私は彼に質問を投げかけた。
「なんでこんな道から外れた所に家を。」
そう聞いた私の前にお茶が出された。
「いやあ、老いって言うのは恐ろしいね。つい先日まであったと思った事が実は数年前と言うことがあるからね。」
私はそんな事はないと思いながらも老い先短い老人の言葉を遮ると言う様な野暮な事は出来なかった。
老人はお茶を飲みながら一枚の小さな絵を見ていた。その絵には端正な顔立ちの華麗な女性が描かれていた。私は気になりつい聞いてしまった。
「その絵の女性は誰ですか?」
老人は照れくさそうに
「私の妻だ。もうずっと前に病気でなくなってしまってね。まるで自分に自分で掛けた呪いの様なものでねずっとこのあばら屋に住んでいるんだ。ただ、君たちは私の様にはなるんじゃないぞ。人はいつか死ぬそしてその死にいつまでもうなされずにこころの中にいると思い、また前を向くそれが死んだ人への感謝だと今の歳になって思うようになったんじゃ。」
私は申し訳ないと思いながらも今の言葉は私の胸に心に響いた。
私達は老人の家で長い間休ませてもらう事にした。
私達がお茶を飲んで談笑をしている時に突然目の前で老人が倒れた。私達は老人を寝床に持っていき横にして、毛布を掛けた。
少ししてから老人は目を覚ました。私は彼に水を渡した。彼は水を受け取り、険しい顔をしながら言った。
「早く出ていけ!」
多分、自分の死期を悟って私達を死に目に会わせない様にしたいのだろう。私達は一人の男の死に様を尊重して言う通りに家を出て行った。私達は近くにテントを貼った。イーヤさんは物悲しそうな声で
「多分、彼は持って今晩までだから明日の朝彼を埋葬しましょう。」
と言った私も静かに首を振り夜までテントの中で静かに過ごした。
次の日私達は目を覚ました。そして、彼の死も悟った。
私達は彼の遺体を埋める為に家に入った。そして彼が眠っているところをに近づくと一枚の紙と革の袋に入った沢山の硬貨が置かれていた。紙にはこう書かれていた。
”すまないそしてありがとう、自分勝手に家を追い出してしまって。そのお詫びにそこにある硬貨は持って行ってくれ、死人はもう使えないからな。そして、私の体だが家のうらに墓があるそこにいる妻の隣に埋めといてくれ。最後まですまないね。”
私達は彼を妻の真横に埋めた。そしてイーヤさんが一輪の彼岸花を魔法で生み出しその墓地に供えた。その後私達はまたイダリヤに向かった。
「白ちゃん、いそう言えば気になっていたんだけど何を書いているの?」
「イーヤさんとの旅の記録です。こうやって記録に残して置いたらまたどちらかが居なくなっても残せるから。」
私達はいつかは必ず別れる運命だから私はこう言う風に記録に残しているなんて言えない。
「いつかは別れるけどそれは悲しいものとも言えないわ。だからあんまり身構えなくて大丈夫。」
その時私はイーヤさんが本当の親の様に思えた。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
そして。投稿の間隔が空いてしまい申し訳ありません!!
なんかこの話は大切にしたくてめちゃくちゃ悩んでたらこんな事になってしまいました。すみません。ただ、今後はリアルが忙しくなるので投稿頻度はいつもより少し下がります。しかし、その分皆さんに満足していただける様な作品を今後も投稿していけるよう頑張ります。




