34 彪雅
ちょっとだけ過去編を……
俺が初めにリアムにあったのは、7歳の時だった。
その頃はまだ悪江家はそれほど大きな組織ではなくて、地下に屋敷を建ててひっそりと暮らしていた。
俺は、外に出たことがほとんどなかった。
悪江家の次期当主は危険を避けるため、極力外に出てはいけない。
それは、昔から決まっている風習だった。
だから、ずっと屋敷の中で暮らしていて、同じ年頃の子にあったことがほとんどなかった。
だからこそ、俺はリアムのことが気になっていた。
俺にはいとこが二人いる。
裏夢と紗燐だ。
リアムは現当主様の息子で、シャリンは当主様の妹であるリードロア様の娘だ。
シャリンとは何度かあったことがあったが、それほど仲は良くない。
母親同士の中が悪いのも原因だろう。
会うたびに、何か文句を言われたり、嫌みを言われたりしていた。
だからあまり会いたくもなかったし、仲良くしたいとも思わなかった。
ちなみに俺は、現当主様の姉のイニシア様の息子だ。
母も悪江家の血を引いているため、当主の継承権はあった。
だが、母ではなく、その弟が当主に選ばれた。
それは、悪江家にあるしきたりが関係していた。
悪江家には一つの決まりがある。
当主の座は、虹色の目を持つ子供にしか継がせることができないというものだ。
目の色は、異能力の強さを表している。
最も強いのは様々な色を持つ虹色や、色が混ざってできた黒色で、悪江家は虹色の目を持つ子供をもっとも優先する。
ちなみにリアムは紺色に近い黒の目を持っていたが、虹色ではなかった。
一方俺は、薄くであるが虹色が入っていた。
だから俺は、次期当主とされていた。
そして、当主として厳しく教育を受けていた。
そのせいだろうか、俺は自由が欲しかった。
いつも自由にしているいとこ達が羨ましかった。
ある夜、俺は自分の部屋を抜け出した。
向かったのは、一度も会ったことのない、リアムの部屋だった。
こっそり廊下から出て、闇に溶け込むように歩く。
裏夢の部屋は、確か屋敷の角にあるはずだ。
足音で気づかれないようにゆっくりと進む。
そこにいたのは、小さな子供だった。
二つ年下なのは知っていたが、これほど小さいとは思わなかった。
俺はベッドではなく地べたで寝ている子供を見て、驚いた。
その手はすごく細く、弱々しい。
心のどこかで、毎日自由に遊んで暴れまわっている子供を想像していた。
よく見ると、裏夢の部屋はどこか変だった。
しばらく掃除はされていないのだろうか、部屋はとても散らかっている。
なぜ地面で寝ているのかと思えば、その小さな部屋にはベッド一つ用意されていなかった。
俺は息を呑む。
まさかこんな扱いを受けているとは知らなかったのだ。
俺は地面で寝ている裏夢の髪に触れる。
その髪は、手入れをされていないのかぼさぼさで、ひどく伸びていた。
伸びた前髪が、目にかかる。
俺はその前髪を払って彼の顔を覗き込んだ。
すると、裏夢の瞼が開いた。
目が合う。
裏夢の黒い目は不安げに揺れていた。
「だれ?」
その目が俺をまっすぐ見つめた。
彼は、裏夢はとても美しかった。
まるで、御伽話の登場人物のようだった。
次の投稿はたぶん来週です。
月曜日には書き終えると思います。




