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33 試験―8

近いうちに新しい作品を書こうと思っています。せっかくなので最近流行っている、悪役令嬢ものを書きたいです。話がたまったら書きますね (^▽^)



ーーー


静まり返った部屋で、僕はゆっくりと口を開いた。




「……どういうことですか?」


僕は首を傾げて彪雅さんに聞く。すると彪雅さんは顔を顰めた。




「お前みたいな部外者に説明なんてするわけがないだろう?」


彪雅さんは底冷えするような目で睨んできた。


(うわぁ。…怖い)


するとリアムさんは寂しそうに彪雅さんを見た。


「どうしてもダメ? ふるとは僕の大切な友達だよ?」


その顔を見て、彼は顔をしかめる。



「まったく、仕方がない。俺が特別に説明してやろう。」




「わーい。ありがとう、彪雅」


リアムさんのいうことは案外素直に聞くところに少し違和感を覚える。


(まさか…この彪雅って本当はリアムさんのこと、好きだったりして…)


よく考えてれば、この2人は幼馴染だと言っていた。2人はなんやかんや言って仲が良さそうだから、意外と付き合っているという可能性も……


そこまで考えて、僕はハッとした。


(まさかこれ、彪雅さんと流人さんで戦うことになったりしませんよね!?)


彪雅さんは悪江家の人間だけあって強そうだ。もちろん、流人さんも強いのだろう。だがこの2人が本気で戦った場合、その規模はどれぐらいになるのだろう。


おそらく建物が一つや二つ崩壊するぐらいではすまないだろう。2人の戦いに巻き込まれて多くの人が犠牲になってしまうかもしれない。




僕は恐ろしい想像に鳥肌がたった。


「ま、まさか。さすがににそれはないですよね……」


「ん? どうかしたのか?」


「いえ、なんでもないです。」流石に聞けるわけもなく、僕は視線を逸らす。少し胡散臭い目ものを見る目で見られたが、まあこの際それは気にしないことにした。


「それで、聞きたいのはなぜこの悪江家の地下が奈落の底と言われているか、だったな。」


「はい。そうですね。」


「まず、悪江家の従事試験の合格者の基準については知っているか?」


 合格基準?リアムさんのルールでは地下から出られたものが勝利だといっていたが、リアムさんが勝手に言っていたことだ。当てにしない方がいいだろう。


「いえ、わからないです。」


僕は素直にそう答えた。


「悪江家の従事試験は基本的に、悪江家に最も寄付を多くした者が選ばれる」


「寄付って……お金を払えばってことですか?裏口合格じゃないですか」


「ああ。そうだ。受かる奴は最初から決まっている。だが悪江家の試験の合格基準がそんなものだと広まれば、悪江家の評判は地に落ちる。だから、試験をしっかりと行っている『ふり』をする。」


「ふり、ですか? じゃあなんでわざわざあんな人数を集めているんですか?あんなに大規模な試験を行う必要もないですよね」


「いや、試験の目的は別にある。地上に住む強い能力者の、血液の採集だ」


「えっ? 血液? そんなもの採取してどうするんですか?」


それに、採取と言うより採血ではないだろうか。

首をひねらせていると、リアムさんはうっかりしていたように手を打った。


「あっ。もしかして古都は知らないの? 力の濃い血液はエネルギーが豊富だからね。強い能力者の血液を採集して注入すれば、上手くいけば能力すらをも取り込める。だからこそ、強い異能力者は狙われてやすく、その血は恐ろしいほどの高額で取引されるんだよ」


「なるほど。そのために、なぜわざわざ回りくどいことをするのですか?」

悪江家ならばその気になれば、わざわざこんなことをしなくても血液の採取ぐらいならできそうだ。わざわざこんな巨大な地下室まで作った理由はなんなのだろうか。


「それは、能力者の不当な血液の採取は国際的に禁止されているからだ。それを悪江家ほどの巨大な組織が破ったとなると絶対に問題になる。だからこそ、こうして人目のつかないところでやっている。……だというのに、リアムは勝手に、その地下室の情報を動画にして、世界中に拡散しようなどということを言いだした。そのようなことをしたら、悪江家が戦争に巻き込まれることは目に見えているだろうに。」


彪雅さんはリアムさんを睨む。だが、リアムさんはむしろ楽しそうに笑っていた。


「僕は悪江家に滅んでほしいんだよ。それ以上のことは望んでいない」

それを聞いて、彪雅さんの視線がさらに強くなる。

二人の視線が拮抗し、部屋の温度がさらに低くなっていく。


「それほど、俺たちを恨んでいるのか? リアム。あの二人が死んだことはお前のために仕方のなかったことだと言っているだろ?」


「それ、本気で言っているの?そうだったら許さないけど。」



しばらく、誰も何も言わなかった。

だが、数十秒すると、彪雅さんが諦めたようにため息をついた。

「わかった。この話はもうやめよう。……当主様にも今回のことは許してもらえるよう、頼んでおく。だからもう余計なことはしないでくれ」


「うーん。それはわかんないかな。僕が素直に言うこと聞くと思う?」


それを聞いて、彪雅さんがあきれたような視線を向ける。

「……思わないな。」


「じゃあ黙って僕がすることを見ていたら? 彪雅が頑張って僕を止めようとしても止められるわけがないからね」


「なんだ、それは。ひどいな。」


「ふふふ。僕がひどい人間だということはもう十年も前から知ってるんじゃない? 今更すぎるよ」


「それは確かに、その通りだな」

彪雅さんはあきらめたように笑った。その顔は、少し寂しそうに見えた。


「僕は十年前からずっと変わらないからね。最悪でしょ?」

リアムさんはいたずらを考えている子供のように、にこっと笑った。

まるで小さな子供のようだった。


「……いや、違うな」


「えっ?」

リアムさんは不思議そうに首を傾けた。


「お前はずいぶん変わってゆく。俺と会った時から、ずっとな。」


「どういうこと?」


「さあな。なんでもない。」


そう言った彪雅さんは、置いて行かれて一人で泣いている、子供のようにも見えた。

次の投稿は木曜か金曜です。間に合わなかったらすみません……

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