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28 試験ー3

モニター室と言われた部屋の中に入ると、リアムさんが人払いをしてくれた。

今部屋にいるのは二人だけだ。

するとリアムさんが、申し訳なさそうな顔でこっちを見た。

「ごめんね、古都。怖かったよね」

きっとさっき睨んできた人のことだろうが、別に大丈夫だ。

確かに怖かったが、リアムさんが謝ることでもない。

「別に大丈夫ですよ」

と笑うと、リアムさんも小さく笑い返してくれた。


「それで、ここはどこですか? モニター室と言っていましたけれど」

「ここは、地上の様子が見れる場所だよ。え~っと。確かこのあたりのボタンを押せばよかったかな」

リアムさんはそう言って机の上に置いてあったリモコンを片手で操作してスイッチを付けた。


「あっ? これ、もしかして琉人さんじゃないですか? 綾さんもいます」

画面に映った映像の端に、琉人さんと綾さんが見えた。

「うん。ここのモニターを使えば試験の様子が見られるよ。」


「なるほど。そうなんですか。……あれ、琉人さん、何か変な人に絡まれてませんか?」

 モニターを見ると琉人さんが見るからにガラの悪そうな厳つい人に話しかけられていた。さすがに音を聞き取ることはできなかったが、琉人さんは何かを言い返しているようにも見える。するとそこに綾さんも参戦した。


(何やってるんですか二人とも……)


試験の最中に受験者と喧嘩するなんていったい何をしているのだろう。

隣を見るとリアムさんもハラハラしているように見えた。

恐らく(うちの琉人が申し訳ない)と思っているのだろう。


するとしばらくして、彼は降参したのか睨みながら去って行った。だが彼は三、四歩歩いたところで急にこけた。

「あれ、今あの人、どうして転んだのでしょうか」

「うーん。多分あの子の能力かな。興味深いね」

 リアムさんは綾さんを指さしながら言った。そういえば綾さんも異能力が使えると言っていた。きっと何かの能力を使ったのだろう。


彼は綾さんがやったことに気づいたのか、立ち上がって二人を睨んだ。


だが、その前に会場にアナウンスのようなものが鳴り響いた。


「従事試験にお集まりいただいた皆様、誠にありがとうございます。それではこれより、試験を開始いたします。」

ついに試験が始まったようだ。全員が静かになり戦々恐々と言った様子で何が起こるのかと不安げな表情を浮かべた。

「お~。ついに始まったね」リアムさんが楽しそうな顔を浮かべた。


「そういえば、この放送はどこから流れているのですか?」


「多分隣の放送室からだと思うよ。見に行ってみる?」

なぜか、リアムさんがいたずらを考えたような表情をしている。


「えっ? いや、別に大丈夫です」

なんだかリアムさんが暴走しそうな嫌な予感がしたので慌てて止めたが、すでに遅かったようだ。リアムさんはすでに僕の腕を引っ張って走り出していた。


廊下に出て隣の部屋に入ると、マイクを持っている人が驚いた顔で僕達を見た。

「リ、リアムお坊ちゃま⁉ なぜここに?」

彼はマイクの音をオフにするのを忘れていたのか、その声はそのまま試験会場に響いていたようだ。モニター越しでも蜂の巣を突いたような大騒ぎになっていることが分かった。


 するとリアムさんは彼の持っていたマイクをその手から分捕った。

そして大きな声で話し始めた。

『こんにちは。悪江家のリアムです。これから従事試験を始めます。え~っと、ルールの内容は……』


「何やってるんですか⁉」僕は慌てて叫んだが、その声はリアムさんには届いていなかった。


『ルールの内容は三十分以内に今から始めるゲームをクリアした人が勝ちです。また、今からこの試験の様子を動画にして公開する予定です。……今から十秒間だけ試験の辞退を認めます』


いーち、にーい、さーん……とリアムさんが秒数を数え始める。その瞬間、ほとんどの試験者が会場から逃げるように去っていくのが見えた。

 それはそうだろう。何が起こるのか全く分からないのだから。僕でも逃げる。


リアムさんが十秒を数え終わるころには受験者は三十人ほどに減っていた。

『じゃあ、ゲームスタート♪』リアムさんはそう言って何か赤いボタンのようなものをポチっと押した。


 その瞬間、会場の地面が二つに割れ、中から巨大な落とし穴のようなものが現れた。受験者たちは悲鳴を上げながら落ちていく。


 最後に琉人さんがこっちを見て睨んでいるのが分かった。

なにしてるんだ馬鹿!とでも言いたそうな表情だった。

(なんか……ごめんなさい)僕は心の中で琉人さんに謝った。


 だが、当の本人であるリアムさんはむしろ楽しそうな表情を浮かべていた。

「やってみたかったんだよね~。こういうゲームみたいなの。ユーチューブとかも作ってみたくてさ~」


 リアムさんはユーチューブというものを作るだけのためにこんな変なことを始めたらしい。僕はリアムさんの肩を握って思いっきり揺さぶった。


「うわぁ。どうしたの? 古都⁉」


「何するんですか! リアムさん!」

僕の魂の叫びだった。

ついにリアムの暴走が始まりましたね……

次は綾視点で書きます。リアムの暴走は綾と琉人にはどのように映っていたのか……

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