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25 潜入

「悪江家の屋敷に潜入するんですか?」

「ああ、今のところそういう予定だ。」

綾さんは頷いた。

「私たちは異能を持っているだろう? 悪江家は常に強い能力者を探している。だから潜入できる可能性は高い」

その言葉を聞き、そういえば異能力についてよく知らないことを思い出す。

「そういえば、異能力って何ですか?」

首をかしげると、綾さんはきょとんとした。

「能力について知らないのか? 常識的な記憶は覚えているのかと思っていたが……」

異能力についての知識は常識的なことなのか。僕はまた首を傾げた。


「……まるで、意図的に記憶を消されているようだな」

綾さんが何かを小さな声で呟いた。


「今、何か言いましたか?」

「あ、いや。なんでもない。」綾さんが慌てたように首を振った。


「それで、悪江家の屋敷に侵入するということですが、琉人さんはついて来てくれると思いますか?」

琉人さんとは出会ったばかりだが、今までずっとついて来てくれたのだからこれからも一緒に行動したいとは思っている。だが、悪江家に侵入するという危険なことについて来てくれるかどうかは分からない。

だが、綾は絶対についてくるだろうとでもいうように頷いた。

「恐らく、ついてくると思う。琉人は悪江家に個人的な恨みがあるそうだ。だから可能性としては高いと思う」

「個人的な恨み? どういうことですか?」

「ああ、琉人は悪江家の人間に家族が殺害されたそうだ。詳しくは知らないが」

「そうなんですか。」

「そういえば、さっき悪江家の子供……リアムだったか? 彼と友達になったといっていただろ?」


「彼じゃなくて、彼女ですよ。裏夢さんのことですね」

「彼女? 悪江家に令嬢はいなく、一人息子がいると聞いたことがあるが」

彼女は訝しげな顔を浮かべた。


「そうなんですか? 女性に見えましたけれど」

「女性? どんな見た目だったか?」

「ええっと。藍色の髪に虹色の目でした」


「……そうか。」

綾さんが何か考えるように下を向いた。

しばらくして、考えがまとまったようにこっちを向いた。


「取り敢えず、情報が足りない。うまくその子供に近づいて、情報を聞き出してくれ」

「分かりました。……僕はそれでいいとして、綾さんはどうやって悪江家に侵入するんですか?」


「私は、悪江家の従事試験を受ける。うまくいけば悪江家の側近として潜り込める。」

「なるほど。それはいつ開催するんですか?」


「……明日だ。さっき羅紗の奴に聞いた」

そういうと、綾は通信機のようなものを取り出した。

これで連絡を取っているそうだ。


「明日? ずいぶんと急ですね」

まさかそんなすぐにやるとは思わなかった。


「ああ。というより毎日やっている」

「毎日? そんなに何度もやるものなんですか?」

「ああ。……毎日、それに参加した人間が半分以上行方不明になっているらしい」


「……行方不明⁉ どういうことですか?」

「詳しくは知らない。だが、ここでは人間がいなくなっても誰も気にも留めない。恐らく悪江家が秘密裏に処分しているのだろう」


「ええ⁉ じゃあ、なんでみんなそんな危険な試験に参加するんですか⁉」

「この裏社会は、ほぼ悪江家が牛耳っている。悪江家の評価がそのままここでの階級となるからな。全員、悪江家に取り入るために必死になっている」


「なるほど~。そうなんですか」

「お前は簡単に悪江家の令嬢と知り合えたから知らないのかもしれないが、普通は悪江家の人間に接近するのはほぼ不可能なのだからな」


「ほえ~。じゃあ僕、結構ラッキーだったんですね」

「全く。ラッキーなんてものじゃないからな」

綾はそういうと僕の顔をつねってくる。


「ああちょっと、急に頬をつねんないでください。理不尽ですよ」

何もしていないのに急に頬をつねってくるなんてひどい。

だが、綾は僕の意見なんて聞かずに頬をつねり続ける。


「やめてくださいってば」

そう言って振りほどいてそっぽを向く.

その瞬間、視界の端に何かが写った。


部屋の外に人影が見えたような気がした。

「……あれ? 今、誰かいませんでしたか?」

すると、綾さんは不思議そうな顔で僕を見た。


「いや、誰もいなかったぞ?」

「……え?」

気のせいだったのだろうか。


「……リアムさんにそっくり」

今、確かにリアムさんに似た子供がいた。

でも、リアムさんにしては背が小さくも見えた。

なんというか、リアムさんをそのまま子供にしたような感じだった。


「……何か言ったか?」


「あ、いえ。なんでもないです」

そうは言いつつ、僕は首を傾げた。


ずっと、周りに誰かがいる気がして落ち着かない。

だが、そんな気配は少しずつ強くなり、確信に変わっていくのだった。

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