21 過ち
「七年ぶりだな? 元気にしていたか?」
彼、雲龍琉人は言った。
その目は赤く、静かにリアムを見つめていた。
「お前、七年前に俺と会ったことあるだろ?」
彼は静かにリアムを見つめていた。
「そうだっけ? よく覚えてない。」
「土砂降りの雨の日だった。あの日、母は帰ってこなくなった。」
琉人は過去を思い出すように下を向いた。
「俺は母を探しに出かけた。そしたら、母の姿が見えた。俺は母を追いかけて後ろからついて言った。母は館のような家に、だれか子供と一緒に入って行った。」
リアムは小さく目を伏せた。
「そこで銃声が聞こえた。館の中に入ると、黒い服を着た男達が数十人、銃を持っていた。そしてその奥に子供が見えた。青い髪に虹色の目をした、子供が。……後で俺は母を殺した奴らを防犯カメラの映像で特定した。すると、悪江家の人間だということが分かった。俺はあの時母に銃を向けた奴を全員、暗殺した。だが、最後の青い髪の子供だけはどこを探しても見つからなかった。あれはお前か?」
琉人の目が静かにリアムを見た。
「君はあの時の子供だったんだね。」
彼は後ろを振り返った。彼は肯定も、否定もしなかった。そしてゆっくり、琉人の方を向いた。その目は何かの過去を見つめているようで、ただの虚空を見つめているようにも見えた。
「僕の昔のことを話そうか?」
琉人は何も言わず、彼を見つめていた。
ナイフを持つ手が、カタカタと揺れている。動揺していることは間違いないのだろう。
「ああ。」琉人は言った。
それを聞いて、リアムは小さく微笑んだ。それは自分を嘲笑するような笑みだった。
「僕には昔、友達がいた。名前は〈雲龍 瑠空〉……君の妹。」
リアムは様子を窺うように琉人を見た。
「続けろ。」琉人は言った。
リアムは話し始めた。誰にも聞いてもらえなかった自分の過去を。
あの時自分が犯してしまった、過ちを。




