17 血痕
私たちは、〈古都の姿をした何か〉を追って歩いていく。
「どこに行く気だ?」琉人が聞く。
「そろそろ着くよ。」
彼はある家の前で足を止めた。
その建物は石膏により重厚な雰囲気を発していて、どこか古いように見えるが驚くほど白く、そして薄暗い。
よく見たら、さっき通りかかった場所だということに気が付く。
「ここは…さっき琉人が睨んでいた建物じゃないのか?」
琉人は何か知っているのだろうか。
私は琉人を見る。琉人は一歩離れた場所で何も言わずに俯いていた。
「懐かしいな~。七年ぶりぐらいかな。」古都の姿をした何かは中に入っていく。
私は慌てて彼を追う。
「ここがさっき言っていた隠れ家か? 誰か侵入してきてもおかしくなさそうだが、本当に安全なのか?」
「うん。安全だよ。すでに結界を張ってもらってあるから。」
「なるほど。」私は彼を追って中に入ろうとした。だが、琉人が私の腕を掴んで止めた。
「中に入るな。何か罠が仕掛けられているかもしれないんだぞ。」
「そんなことしないってば。ひどいよ。もっと僕のことを信用してよ。」
「今日出会ったばかりの人間を信用できるわけないだろ。」
琉人が彼を睨む。
「……そもそもお前、古都をどこにやった?」
「う~んと。古都は僕の家にいるよ。」
「……どういうことだ?」
琉人が訝しげな表情を浮かべた。
「まあ詳しくは後で話すよ。ほら、中に入って。」
琉人が少し警戒しながら中に入った。
私も慌ててそれについていく。
中は妙に薄暗くて、光一つ入ってこない。上の方にあるステンドグラスが、不気味に光っていた。入口は二つ付いている。今入って来た入口と、奥にある入口。
なぜこんな大きな入口を二個もつけたのだろう。
そして、窓が一つもない。ついているのは中央にあるステンドガラスのみ。
これだけ横に長い造りなのに、全く光が行き届かないではないか。
私はいくつも妙な違和感を感じた。
だが、一番気になったことは別にある。
……なんだ、これは?
私は奥の暗闇の中に血痕を見つけた。




