1-6 今はもう動き始めていますように
シュウイチさんが居なくなって、三日は勉強が手に付かなかった。机に向かっても何も考えられなくて。母親に又心配され、病気だ病院だとしつこく言われた。
公園にも足を運んだ。
彼と会ったベンチに腰をかけ、日が落ちるまで一人でぼんやりと座っていた。
それでもやはり彼が現れる事はなかった。
無理矢理気持ちを切り替えて、俺は俺の将来の為に勉強をし、母親を喜ばせ大学に合格。
大学四年間で何度か恋をし、社会に出てただの会社員になった。
社内恋愛で結婚し、子供が生まれ父親になり。
鏡を見ては歳を取ったもんだと苦笑するのだ。
そして右の首筋に軽く触れる。いつの間にかクセになったその仕草。
自分は歳を取ってしまったけど、それでも彼の事を忘れた事はない。
交わした言葉、優しい笑顔、その瞳。
不思議な出会い。
たった一週間の出来事を、未だに鮮明に思い出せる。
彼の事を考える度に思うのだ。
絶対アイツを見付けてみせる。
挫折しかけていたという彼が言った言葉。
彼は、探している人と再会出来たのだろうか。
二度と会えない事は解っているけれど、俺は今も彼を想う。
十八で止まってしまった彼の時間。
今はもう動き始めていますように、と。
切に願う。
ここまでが第一章です。
第二章が本編となっており、少なめの第三章をプラスして完結する作品です。
今後ともよろしくお願いします。
お読み頂き有難うございました。




