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転生魔王の私はいずれ勇者に殺される  作者: 神星海月
第三章 神獣激突

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其の百三 世界の秘密と私の存在

 

「ゴホッゴホッ!?」


 目が覚める。喉に溜まった血反吐を吐き出して起き上がる。


「ぁ〜、あぁ〜」


 声を出して、体と頭を目覚めさせ、首を回せば。



『起きたか。運がいいな。掃除しようかと思ったところだ』



 そう宣うのは強烈な圧を放つドラゴン様。私の記憶が飛んでいなければ目覚める前にとんでもなくボコされた相手である。


「いやぁ、申し訳ない。目も覚めましたので私はこれで失礼します」



『待て』



「ハイ」


 たった一言、待てと言われただけで動きが止まってしまった。やはり絶対的にレベルが足りない。だから隠しエリアには気をつけろと…。



『お前、名前は何と言う?』



「シオン、シオン・セレスティンです」



『セレスティン?セレスティアではなく、か?』



「セレスティア…というと、『天空の国』の?」



『天空?『龍の国』ではないのか?』



 リュウの国?



「私が精霊から聞いた話では多くの龍が人と共生しているセレスティア龍王国は天空に存在し、故に『天空の国』と呼ばれている。そう聞いています」



『ふむ?時代の流れ、というやつか?』



 時代の流れ…まぁこのドラゴンがどれだけ生きているかはわからないけど、ずっとこの場所にいるならそういうこともあるか。そもそもウードの記憶が違うっていう可能性もあるけど。


「ええと、そちらの…ドラゴンさんの記憶ではどうなっているんですか?」



『む?そう言えば名乗っていなかったか。と言っても、我に特定の名はない。だが、かつては『竜王』、そう呼ばれていたな』



 竜王。ドラゴンの王様。

 ハー、ナルホドネ。そりゃあ強いわけだ。

 てかレベルが足らないのも当然だわ。ただの一般龍が竜の王様に勝てるわけないんだわ。生き残っただけやっぱ軌跡よ。よかったぁ、生き残れて。



『それで、我の記憶、だったか。我の記憶では『龍の国』は東方大陸ミリシアの中央に位置する大国。正式名称はストレリチア龍王国だったか?【龍王】ストレリチアの眷属であるセレスティア一族が王として君臨する大国家だ。ここまでで相違はあるか?』



「ええと…今確認します」



『今、だと?』



 よくわからないことが多すぎる。自分の足で調べられないのは残念ではあるが、今こそ精霊の記憶を解放するときだろう。


 ちなみに精霊の記憶っていうのは所謂アカシックレコードに近い。世界の一部である精霊は世界の記憶の一部を思い出すことができるというすごいヤツ。私は龍だけど精霊でもあるからコレを使える。


 普段は使わないし、使ってもウードが知る範囲で留めてたのだけど…今はそういうわけにもいかないよね、と言ったところ。


「・・・なるほど。色々とわかりました」



『ほう?』



 竜王様の圧が強い。敵意はないからたぶん興味なんだろうけど、それでも私には刺激が強いんですよ。お願いだから感情見せないでほしい。


「今からおよそ三千年前、『龍の国』は消えました」




『なに?』




 ぁ…………




「っぐぅ!! 〈聖域〉!!」



 っはぁ〜!!!


 最初からこうしとくべきだったかもしれない。〈聖域〉を建てるだけで凄い楽になった。強面警官に脅されるくらいにまで落ち着いた感じがする。



『ぬぅ、すまない。あまりに驚いたものでな』



「い、いえ、問題ないです」



『そうか?念の為こちらでも結界を張っておこう』



「えっ?あ、え?」


 めっちゃ楽ぅ。


『どうだ?楽になったか?』


「はい!なりました!」


 ただの警官くらいの圧です。余裕です!すご〜!でももっと早く張ってほしかったかもしれない。


『ならばよし。続きを頼む』


「『龍の国』が消えた件ですが…どうやら【龍王】が引っ越した為らしいです」


『アヤツが引っ越し?』


「はい。その理由としては……なぜか【精霊王】が『龍の国』、より正確に言えば、『龍の国』の隣に建国された『月の国』にやって来たからだとか」


 ・・・月の国ってアレだよね?アイツが王様してるとこ。あ、王様じゃないんだ。セリフォス公国、つまりは公爵?アムル公爵?ビューティー公爵?ビューティー王よりはマシか。というかアイツ長生きだな?


『【精霊王】……アイツか…』


「知っているので?」


『あぁ、まぁ既に代替わりしている可能性もあるがな。まぁそれはいい。引っ越しの理由も分かった。だが何故それで『天空の国』になる?』


 確かに。普通に引っ越したらそうはならないよね。


「【龍王】と【精霊王】がなにやら喧嘩。怒った【龍王】が感情のままに『龍王国』を領土ごと天空に浮かせ引っ越したからだそうです」


『なぬぅ!?』


 ですよねぇー。私も竜王様前にしてなかったらそうなってた。それか一周回って思考停止してた。


「その後、天空に浮かんだ大地とともに運ばれた人間と龍が共生する『天空の国』となり、国号をセレスティア龍王国と変えたそうです」


『な、なるほどな?ちなみに消え去ったミリシア大陸の方はどうなっている?完全に分断されているのか?』


「いえ、それは元通りになっています」


『なぜだ?』


 なぜでしょうね。私も理解が追いついていない。けど記憶が確かならこうらしい。


「失われた大地を【精霊王】が完全に修復。これにより大陸は形を取り戻し、かつて『龍王国』があった場所は『月の国』の領土となり【精霊王】は『月の国』に移住したそうです」


『な、なるほどな?となれば…まぁ良いか』


「いい…とは?」


 大陸が元通りでよかったってこと?それとも何か世界的にいい悪いがある感じ?


『そう、だな……お主ならば…話してもいいだろうか』


 ごくり。こういうのめちゃくちゃ気になる。条件達成して新しい情報が手に入る感じ。すごい好き。


『まず、お主はこの世界について何処まで知っている?』


「何もわかりません!」


『・・・嘘だな?』


「いえ!フツーによくわかりません!十回やったら十回死ぬくらいの強敵ばっか現れて、なんとかなると思ったらクソッタレな神様が干渉してきて、上位層の強さが天井知らずでまるで強くなっても楽にならない世界ってことしかわかりません!」


『・・・お主も苦労しているんだな…』


 えぇ、本当に。この世界に来てから楽だなんて感じたことほとんどないです。それでも来てよかったとは思うけど。


『ま、まぁいい、ならば全てを話すとしよう』


「お願いします!」


 そうして始まった竜王様の講義。それはとてもとても長かった。なにせ、前提知識を補完するために時代を遡り続け、常識を理解させるために寄り道をして、結局この世界の始まりである神代の話をすることになったのだから。



 それはそれは長かった。それはそれは昔のことだった。だから。ダイジェストでまとめるとしよう。



 神代。世界は【創造神】により作られた。世界を創った【創造神】は暫くの休眠に入った。


 新たな世界の誕生を知った神々はそこへ移住し、しばらくがたって神代生物を生み出した。それこそが、龍、精霊、神獣、天使である。

 ちなみに竜は神獣にあたるのだとか。なんでだろうと思ったら知らないらしい。どうせ神の趣味だとか言われた。ちなみに竜王様はこの時代に生まれたとか。


 時は流れ、世界に新たな生命が誕生する。それこそが人間であり、悪魔であり、動植物である。

 悪魔といえば天使と同格、みたいなイメージだが…この世界では天使は神によって創られた、悪魔は人間の感情から生まれた、そんな感じらしい。


 さらに時は流れ、世界が魔で満ち始めた。魔とは人間から生まれる欲望であり、悪しきとされる感情から発生するらしく、これにより魔物が発生した。

 次第に魔は神をも蝕み始め、神は魔を閉じ込めるための牢獄とも言えるダンジョンを作った。これが今の世界のダンジョンとは少し違い、ただのダムのようなものらしい。


 そんなふうにして対策をした神々だが、それでも魔の侵攻を止めることはできず、一部の神が元の世界、神域に帰り始めた。これにより世界に満ちていた神力は霧散し、魔の侵攻速度は早まった。


 結果として一部の神、天使が魔に堕ち、堕神、堕天使となった。


 これを受けてさらに多くの神が神域へと撤退していき、それでも残ると意志を固めた神はさらなる対策を講じた。それこそがダンジョンの変革である。

 これにより、ダンジョンは魔を集め閉じ込めるだけでなく、集めた魔を用いてダンジョン内部に魔物を生み出し、それを倒すことで魔を減らすという、今の大罪ダンジョンの原型が出来上がったそうだ。


 これにより、明らかに魔の侵攻は遅くなった…のだが。


 憤怒を冠した大罪ダンジョンにて、とある天使がダンジョンボスの討伐を成し遂げた。


 その天使は自身の使える神のため、魔に飲まれ、堕天寸前でありながらも抗い続け、ついにダンジョン攻略を成し遂げた。


 しかし、意気揚々と地上へと帰還した時、既に彼の使えた神はいなかった。日々迫る魔の侵攻を受け、その神は神界へと帰っていたのだ。


 彼は神の不在を嘆き、その心は折れ、ついに魔に飲まれた。


 そうして生まれたのが、初代。


 最古にして始まりの【魔王】である。


 彼はすぐにダンジョンへと戻り、永遠に出てくることはなかった。


 しかし、【魔王】の誕生。これにより魔の侵攻はさらに加速し、神力は失われ、地上に取り残された神は神域に帰ることもできなくなった。


 それでも、少しでも魔の侵攻を抑えるためと、神々は大罪ダンジョンの周辺に神殿を建てて暮らし、人に信仰されることでその存在を維持した。零落神と呼ばれる神の誕生である。


 それから少したち、始まりの【勇者】が誕生した。彼は本気で大罪ダンジョンの攻略に乗り出し…神ですら成し得なかった奇跡を起こした。

 それこそが、怠惰・強欲・傲慢・色欲・憂鬱・嫉妬・虚飾を冠する七つの大罪ダンジョンの攻略である。


 これにより、かつて攻略された憤怒と合わせ、残る大罪は暴食を冠するただ一つとなった。残るそれを攻略すれば、今度こそ魔の侵攻を抑えられる。


 そう、誰もが信じていた。


 龍も、精霊も、神獣も、人も、種族関係なく、強者たちは協力して攻略に乗り出した。あと暫くもすれば攻略できるかもしれない。そう希望が見えてきた時。

 誰もが今すぐには無理だろう、と思っていたタイミングで攻略は成された。


 それを成したのはただ一体の獣だった。


 それが地上に出てきた時、それは既に魔に飲まれていた。


 異なる世界の気配を持つ、神の力を感じさせるその生物は、新たな【魔王】として最大の脅威となった。


 この【魔王】は全てを喰らった。


 魔に、大罪である【暴食】に飲まれた【魔王】は、周囲のモノを喰らいつくし、終には世界すら喰らい始めた。


 この【暴食の獣】を斃すため、強者は集い、抵抗した。しかしいくら攻撃を与えども、その全てを喰らって成長し、僅かに与えた傷は即座に再生した。


 世界に生きる全ての者たちは、かつて奇跡を起こした【勇者】に期待し、彼に全てを捧げていった。

 強きも、弱きも、その全てがその存在を、魂を捧げた。


 しかしそれでも敵わず、【勇者】が喰らわれそうになった時、【勇者】と同等以上の力を持つものが現れた。


 異なる世界の気配を持った彼女は自分を『魔王』と名乗り、【勇者】と共に戦い、終に、【暴食の獣】は満腹となった。


 満腹となり、攻撃を受けだした身体は傷つき始めたが、既にその存在は成長しすぎていた。

 世界の八割を喰らったそれは膨大で、傷を受けた側からそのサイズと引き換えに再生していった。


 それでも彼らは攻撃を続け、そのサイズを島一つ分にまで縮めた時、【暴食の獣】は再び動き出した。


 彼らはそれを見て、疲労困憊となった今の自分達ではもう一度止めるだけの力は残されていないと悟り、【暴食の獣】を封印することとした。


【勇者】と『魔王』、二人の命と引き換えの封印は成功し、【暴食の獣】はその力を失い、何重にもわたる拘束の末、氷山の中に埋められた。


 斯くて、世界は広さと、数え切れぬほどの生命と引き換えに滅びを免れた。


 それから暫く、【創造神】は目覚め、僅かに残る生命と零落神を回収し、世界の修復を始めた。


 もう二度と世界が魔に飲まれないようにと、魔を封印する封牢ダンジョンを作成し、堕天しなくて済むようにと天使だけが住む天界、魔を助長させる悪魔を隔離する魔界、死者の行き着く冥界の三つの系統世界を創造し、各世界を支えるものとして【世界樹】ウェルゲストを創造した。


 また、神界への扉を開く鍵として、4種の封鍵生物を用意した。それこそが、【龍王】【精霊王】【神獣王】【封天使】である。


 また、過去二名の【魔王】が大罪ダンジョンの攻略により誕生していることを受け、大罪に対する耐性を持つもののみに攻略が可能となるように改良。


 これにより、各大罪は権能化され、大罪の権能を持つもの──大罪への耐性を持つものがいるときにのみダンジョンボスが現れるように設計、対応する権能を持つものがいないときの攻略を不可能とした。


 同様に、ダンジョンボスを倒しても魔に堕ちなかった【勇者】の存在を受け、美徳とされるものの権能化を実施。美徳の権能を持つものへの各大罪ダンジョンの表ボスの討伐の許可を与えた。


 つまるところ、大罪の権能は対応するダンジョンの完全攻略を可能とし、美徳の権能は全ダンジョンの簡易攻略を可能とする、というわけだ。


 そうしてさまざまな改良改善を加えられ、世界は生まれ変わった。


 その後、【創造神】は封鍵生物などの例外を除き神代の記憶を生命から消去し、この世界、ウィルウェルへと回収した生命を戻した。


 この際、一部の零落神には力の回復も兼ね、大罪ダンジョンの管理を任せるために地上へと降ろしたそうだ。そのうちの一柱がソラであり、太陽神ソルラースなのだろう。


 最後に、また寝てる間に滅茶苦茶にされてたまるかと他の神へと世界ウィルウェルへの過干渉の禁止、顕現の禁止を伝達し、もし再び世界が滅ぶようなことがあればと、観察や保護のための干渉は認めるとしたそうだ。


 そのような経緯を経て、【創造神】は再び休眠。文明のリセットこそあれ、世界消滅の危機に陥ることはなく、今に至る。



 というのが、私が竜王様から聞いた内容のあらましである。




 ただ、強いて疑問を挙げるとするならば…



「世界への過干渉の禁止…妙だな?」



 他ならぬ私の存在こそ、間違いなく世界への過干渉であり、あり得てはいけない禁則事項であるということだろう。









長かったね。読了お疲れ様でした。いつもありがとうございます。ですが……まだしばらくお話し合いですよ。許してね。

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