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転生魔王の私はいずれ勇者に殺される  作者: 神星海月
幕間1

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92/111

其の九十六 《幕間》伝説の裏側、或いは神話の始まり その三

3分の3!!


 空が軋みだした。限界が来たらしい。それも当然か。コレだけのことをしていれば妖力も尽きるというものだ。


 妖力を減らし幾分か存在力の落ちた今ならこちらの妖術も通るだろう。


 剣で眼を切り裂き、同時に視覚を消し去る。


「次」


 耳を落とし、聴覚を消す。


「次」


 腹を裂き、触覚を消す。


「ちっ」


 噴き出した血液が陣を描き、聖域を作る。


 この陣は魔術陣とも違う。ならば妖術の確からしさを高めるだけのものか。


 ちょうどいい。一度休息を入れておくか。


 一呼吸置き、剣を構え直して思考をリセットする。怒りは動きを鈍らせる。


 眼が再生され、耳が生やされ、腹が治る。


「〈其は我が強敵。新たな難敵を打ち倒すべく、力を貸し給え。死靈術(ネクロマンス)〉」


 後輩が呟き終わると同時に聖域を割り攻撃を仕掛けようとして、


 どこからか風切り音が届く。

 

「何?」


 飛んできた鞭に対処するが、後輩からの深い一撃を当てられた。


「これは、何をした?」


死靈術(ネクロマンス)。ありふれた魔王の技だろう?」


 亡霊を操るのがありふれた魔王の技?


 そんなわけが……いや、もう一人の魔王はそれが専門だったか…。だが、


「ネクロマンス? アイツをか?」


 アイツは…今の後輩に制御できるやつじゃない。そもそも関わりもないはずだ。


 ………生み出した武器をまるで消耗品のように使う。一撃ごとに武器を壊すほどの力を込めて…鬱陶しい。


「ずっと昔に死んだはずだが…あぁ、この国はあいつの故郷だったか」


 今宵は緑月亡霊や死者が訪れやすい日でもある。勇者であるアイツなら国を守るために呼びかけに応じてもおかしくはないか…?


  腕が後輩から生える尻尾に絡まれる。そのまま引き寄せられ、口元へ。


「貴様、何をしようとした」


  尾を引き千切り、喉を貫く。


「邪魔だ」


 迫る鞭を長剣で切り捨てる。しかし切り落とされた鞭が伸び、体に当たる。


「くっ、あぁ!お前はいつも、面倒くさい!」


 本当に、面倒くさい!


【正義】の勇者、ロビー・ピーターソン。

【色欲】の魔王と一対一で戦い、引き分けて戦死した。当時、僕は『終古』の命令で奴のもとに他の勇者どもが行かないよう妨害をしていたのだが…何度か奴本人と戦ったこともある。


 その特徴は、強いと言うより厄介だ。そしてウザい。


【正義】を冠する勇者である奴のもつ権能は自分の行いを正義とするためのものとして最良だった。


 その権能こそ、今僕に傷をつけられている大きな理由。


 ()()()()()()()()()()()()()()


 弱点の存在する敵には自身の攻撃にその属性を付与して攻撃。

 弱点の存在しない的にも強制的に自身の攻撃を弱点に設定する。


 故に、その攻撃はどれほど弱くとも、掠りでもすれば有効打となる。


 それがただの強者に渡るのならばどうとでもなる。全てを避け、仕留めるだけだ。


 だが、アイツは…!


 鞭が迫る。瞬間転移し位置を変えるが当然とばかりに直ぐに目の前に現れる。


 強風を吹き荒らし、霧を立ち込ませ、樹木を生やす。とてもじゃないがまともに攻撃を当てられる環境じゃない。だというのに。


 鞭の途中を枝分かれさせ、その全てを障害物を避けさせて、異なる方向から、同時に攻撃してくる。


 本当に、巫山戯ている!


「あいつも最初に戦う相手じゃねぇ」


 後輩が何やら呟いたようだが今は気にする暇が無い。どうする?既に空を落とすのは止めた。消耗が激しすぎる。完全にもとに戻したわけではないから余裕ができれば再び落とせはするが…そんな余裕、ないよね?


 集中する。落ち着け、問題ない。こいつはどこまでいっても亡霊に過ぎない。かつてのアイツはもっと酷かった。


 何せ、これほどまでの絶技に加えて『正義』を冠する上位精霊を従えていたのだから。


「クックク、ハハハ…本当に、巫山戯ている!」


 思い出すだけでも意味がわからない。わからなすぎて笑えてくるほどだ。


「あぁ、赦してくれとは言わないさ。君を殺したのは僕と言うこともできるのだから」


 君は相打ちだった。ならばもし僕が邪魔していなければ、あと一人でも勇者の参戦を許していれば、きっと君は生き残ったのだろう。


「だが、ハッキリ言おう。その件で僕が手加減をすることはない。それと、君がどうして彼女に従っているのかは知らないが……既にこの国は滅んだ。君の護りたかったものはもうありはしない。亡霊は亡霊らしく、あるべきところに戻るといい」


 神の復活こそなされなかったが生贄として国民は死んだ。今この国に残っているのはあの命令に抵抗できたわずかな強者と、ダンジョンに潜っていた幸運な冒険者のみ。


 もし仮に、彼が民を守るためにでてきたのならもうここにいる意味はない。故に帰ってほしかった。ほんとに。


 だけど、君はそうだろうとも。誰であろうと、助けを求めるものを救おうとするのが君だった。


 そこにいるのがこの国のたちの命をすべて吸収した人でない存在だとしても、この王都を滅ぼした新しき魔王だとしても、あぁ、民がいないからこそ、か。


 今、君にとって守るべき存在は彼女らで、悪は僕だと。そう、決めたんだね。だったら…仕方ない。


「できれば、君にはさっさと帰ってもらいたかったのだがね。そうも戦意を見せられるならば仕方ない。何、僕もちょうど気が高ぶっているところでね。互いに万全とはいかないが…勇者と魔王の戦いといこうか!」


 君の正義と僕の正義、押し付け合おうじゃあないか!


 迫るいくつもの鞭、その全てを弾き、転移で離脱。用意した環境の全てを消し去りフラットな空中戦へ移行。


「ククッ、さぁ!小細工無しにやり合おうじゃないか!」


 思考の深度が格段に上がる。世界の速度が遅くなる。分かたれた鞭、そのすべての軌道が手に取るように分かる。


 できうる限り鞭同士が絡み合い、邪魔し合う位置取りをし、接近。


 明らかに他の鞭とぶつかる軌道。しかし途端にその鞭が消え去り、予想だにしない角度から迫る。が、


「その鞭、いくらでも伸びるんだろう? 知ってるよ」


 知っている。その鞭の怖さは、恐ろしいほどに。


「伸縮自在、故に目の前に伸びた鞭が消え、届かないはずのものが迫る」


 それは蛇の如くうねり、敵を捕らえ、叩き、切り裂き、絞め落とす。


「その絶技、恐ろしいよ」


 目の前に鞭の大群が迫る。当たれば、死ぬ。


「回避不可とも言える攻撃、その全てが、僕への特攻を持つ。少々理不尽が過ぎると思わないかい?」


 降り注ぐ月光を用いて鞭の全てを切断。抹消。


「その上、近づけば近づくほどにその絶技はさらに高まり、超至近距離でさえ短くなった鞭により対処される」


 速度を増し、迫る鞭の量がさらに増え、動きが複雑化する。


「本当に、面倒だ」


 その一切が消えていく。


「君の怖さはその生命力と、逃走力。守るために動かない君じゃ、まるで足りない」


 あの頃は精霊がいた。だから、攻撃しながらも防御をこなしていた。

 あの時は誰もいなかった。だから逃げ回りながら攻撃ができた。


 でも、今は。


「所詮亡霊にすぎない君に、僕が負けるわけがないだろう?」


 彼の唯一の攻撃手段。その戦闘力の要である鞭を手元に転移させた。たったコレだけで、今の君は勝機を失う。


「いつかまた会う日があれば、その時は」


 拳が伸びる。それを切り落とす。

 蹴りが出る。切り落とす。

 心臓を貫くと、噴き出した血にすら僕への特効を帯びている。


「謝らせておくれよ」


 噛みつこうと迫るその首を切り捨てその体を払い捨てる。


 さぁ、これで、僕の勝ちだ。


「ぁァァぁぁぁぁああああああ!!」


 つんざくような悲鳴が響く。急いでそちらを振り向く。


 瞬間、自分が失敗したことを悟った。


 僕は、こんなにもゆっくりと戦うべきじゃなかった。多少の傷は覚悟で早期決着を目指すべきだった。


「っ! 待ってて、いつか、どれだけ時間がかかっても、絶対に、また、会いに来るから!」


 後輩が逃げていくのが見える。


 それでいい。間に合うかは分からないが、それが最良だ。


「うっぐゔぅっっ!!?」


 神が、復活する。


 なぜだ。なぜ?


 復活に必要なエネルギーはもうなかったはず。可能性など、何一つ、ありはしなかったはずだ!


「〈ああ、世界よ。間違った世界よ。もしも、私の願いを叶えるというのなら、願おう〉」


 絶叫がうるさい。少女が叫ぶ。だというのに。


「〈クソッタレな神に、小さな命を嘲笑うあの神に、顔が歪む屈辱をよこせ〉」


 その声は、ヤケにハッキリと聞こえてきた。


「〈お前は、私を救えるか? 不滅(ウード)の愛盾(・クラルヴァイン)〉」


 瞬間、世界が白に包まれた。熱すら感じぬ間に、一瞬で世界が燃え尽きていく。


 自身に張った絶対的な障壁が、次第に焼け落ち、体を燃やす。


 大地が液体と化すほどの熱量。それを至近距離で浴びて、身体の肉が溶け落ち骨が露出しだした。


 それでも、必死に耐える。問題ない。僕に熱は効かない。そう決めた。


 僕は骨だけでも動けるし、身体がなくなろうと死にはしない。そう決めたのだ。


 既に喉は既に焼け、言葉を発することはできない。だが、それでも。


「僕は、世界で最も美しい」


 幾度となくついてきた嘘。だが、この身は嘘で成り立っているが故に、嘘は、真実となる。


 遅れてきた衝撃が体を浮かし、空を舞う。全身は痛み、まともに動くこともできない。だが、僕の体に何一つ傷はない。


 当然だ、世界で最も美しいのだから、僕に傷などあり得ない。


「あぁ…美しい」


 墜とした夜空を、昼が侵食している。

 元通り天高くに戻った快晴の空。

 雲一つない青空と、地上に残るに天変地異の痕跡が酷く矛盾しているように見える。


 幻でも見ているのだろうか。


 大地は消え去り、山が溶けてそこへと流れ込む。絶対に溶けないとされた氷で包まれた氷山も姿を消した。だというのに、ただ一つ、焦げて煤にまみれた巨大な塔は変わらずその存在を主張している。


 こんな光景を観るのは、これで2度目だろうか。




 しばし呆けた後、アムルは神の下へと近づいていく。


「残念だ…」


 言葉とは裏腹に、その手には剣が握られている。


「さぁ、神殺しといこう」



 ────────────



 そうして、【幻星】と【太陽神】の戦いは始まり、冒頭に戻る。


 常に太陽が照らし、夜がなかった。だからどれほどの時間が過ぎたかは分からない。既に時間の感覚は消えていた。


「いつ、終わるのか」


 互いに有効打はなく、まさに千日手と言ったところか。


 もう何度かも分からないほどに灰すら残らず消えた右腕を無言で治し、肩を竦める。


「もう十分か」


『終古』に頼まれたのは異変の調査であり、解決ではない。その後に神殺しを命じられはしたが、そもそもそんなものはいち魔王に押し付けていいものではない。


 依頼達成のために努力したという結果を残すためにここまで戦ったが、もういいだろう。


 自身の後輩である新参魔王シオンと太陽神の依代であった少女ソラ。


 二人に試練と称して無理難題を仕掛け、本人たちにも予期せぬところではあっただろうが結果としてそれは達成された。


 故に、その褒美になるものはないかと考え、太陽神を正気に戻そうとした。


 だが、どれほど時間をかけようと無駄だった。

 もう十分に努力したはずだ。だからもう、逃げたって構わないはずだ。


 正気こそ失っていても世界を滅ぼそうとしているわけでもない。放っておけばずっとここで辺りを燃やし続けるだけですむ。


 やはり、僕がここでこうしていることに意味はない。


 何度も、そう考えた。そう考えて…


「太陽神、お前がいくら喚こうと、時は戻らない」


 格段と焔の勢いが上がる。


「過去は変わらない。妖術にも、不可能はある」


 焔が迫る。


「それに、どうせアイツは死んでいない」


 焔が自身を燃やす。その勢いは強く、瞬時に骨が露出していく。


 だが。


「その程度の炎で僕を掻き消せるだなどと思い上がるな」


 燃えながら、肉体が補完され、無傷の状態が維持される。


「思い出せ。お前は誰を心配している?アイツは僕が認めた。アレは魔王だ。お前が心配するほど弱くなどない。この僕すら葬れないお前に、アイツを葬れるなどと思うな。お前は何を見ていた?アイツはお前を守るために。大して関わりもないだろうお前を守るためだけにこの僕に喧嘩を売ったのだ。それがどれほどのことか分かっているのか?アイツは、死んでもお前を護り尽くすつもりだったぞ。お前がいくら諦めようと、お前がいくら喚こうと、その間もアイツは僕と戦い、苦しんだ。首を刎ねた。心臓を潰した。四肢を切り捨てた。ねじ切り、消し去り、潰し、燃やし、凍らせ、奴を護る精霊すら殺した。だが、アイツは生き延びた。その全てを生き永らえ、僕に手痛い反撃さえしてみせた。その何処に、死を疑う理由がある?ありとあらゆる苦難を受け、その全てを乗り越えた。僕の試練を、友人を守るためだけに乗り越えたのだ。アイツは、それほどまでにお前を信じていた。問おう。お前は何を見た?何を感じた?何を託した? お前は!アイツを信じると!シオン・セレスティンに護ってくれと頼んだのだろう!?なぜ!信じない!?お前は、どう生きてきた!?馬鹿な民衆どもに好きなように祀られ捨てられた!ならっ!お前はアイツを信じて待つべきだろうがっ!一度信じたのなら!最後まで曲げるなよ!その悲しさは!お前が一番知っているんじゃないのか!?」


 焔は、未だ消えない。


「あぁ、そうか。お前は、中途半端に神なのだな」


 焔が強くなる。否定したいのか?


「黙れよ。お前に何かを言う権利はない」


 あぁ、感情が高ぶる。頭がおかしくなってきている。嘘をつきすぎた。自分への酔いが覚めない。このままでは、戻れなくなる。


「ハハッ」


 もう、なんでもいいか。


「俺は、魔王だ」


 完全に、理性が飛んだ。感情のままに、身体が動く。不思議な気分だ。うるさいくらいに心臓が叫ぶのに、心が騒ぐのに、頭は酷く冷静だ。自分が自分じゃない。まるで自分が二人いて、もう一人の自分が動いているのをみているかのような…


「ハァ〜」


 息を吐く、それだけで自分を燃やす焔は消えた。


「太陽神、俺は今からお前を殺す。一回死んで弱さを知れ。そうすりゃわかる。お前が心配している相手が、どんだけ凄かったか。そんで、黙って待っとけ。友を信じれなかったお前に会いに行く資格はない」


 恐怖を感じた。ソレをしているのは自分のはずなのに、どうしても自分がしているとは思えない。


「火遊びはもう飽きた」


 アレほどまでに痛手を負っていた焔は何も燃やすことなく掻き消され、むしろこちらの焔が少女を燃やす。


「なんだ、殴り慣れてないのか?」


 少女が懸命に拳を振るい、蹴りを出す。


 速く、重い。神としての身体能力は伊達じゃない。


 だが、その一切は避けられ、戯れに受け止められて…


「あっぐぁ!?」


 その何倍の威力の反撃を受ける。


「何を叫ぶ?どうせ治るだろう?アイツは何一つ叫ばなかったぞ?」


 腹を貫き、腕をもぎ、目を潰し、首を絞め、細切れにし、ねじ切り、切り捨て、圧縮する。


「神だからか、血は出ないな?」


 凄惨な現場ではあるが、身体が炎で構成されているかのように瞬時に再生し、一切の血は噴き出さない。だが、見ているだけで胸が痛む。


 やはり、これが自分のしていることだとは思えなかった。





「はぁ、困った。ここまでしてもなお理解しないとは…」


 数時間か、数日か。あるいはそれ以上か。短いのか。少なくとも、ひどく濃密で苦しい時間が過ぎた。


「アッ…ァ…」


 幾度となく甚振られ、殺された少女は既に放心状態だ。これ以上はもう、耐えられないだろう。


「もう一度やるべきか?」


 恐ろしいことをもう一人の自分は言っている。早く、身体の主導権を手に入れなければ。そう思うのだが…


「うるさい…お前は見ていろ。俺の邪魔をするな」


 と、完全に譲ってもらえない。というか、完全に人格が分離している。これだから、はやく逃げようとしたんだ。


 あの時点でだいぶ無理をしていた。それなのにああして嘘をつき続けたから、自分を乗っ取られた。自業自得とも言えるな…。


「……、ォ…」


 声が聞こえた。その内容は聞き取れなかったが、理解はできる。


 ・・・一瞬でいい。一瞬でも自分を取り戻せれば、もう一度嘘をつける。


「今度は…地下にでも埋めてみるか?」


 ()は少女を掴んで地面に向かい、加速して投げ捨てる。


 瞬時に追いつき、その身体へと踏みつけ大地に押し込もうとして…


 少女の身体に穴が空いた。


「ふむ?」


 人一人が通れるようなサイズだ。一直線に穴をすり抜け、大地を貫いて地面に突き刺さる。


 しかしそこは高温により液体と化した大地の中であり、マグマのように絡みつき、動きにくい。


「邪魔だ」


 一言告げるだけで液体は自身に触れることなく、何か膜があるかのように触れない。泳ぐようにしてスイスイと地上へと戻っていく。


 そして、地上に出て即座に影を見た。巨大な影。光を隠す巨大な何かが堕ちてきている。


「これは…!」


 巨大な隕石が落ちてきて、それが直撃する。太陽神の力を多く加えられたそれは確かに俺の嘘を貫いてダメージを与え…


「僕は魔王。ビューティー・アムルだ」


 一瞬意識を取り戻し、本当の自分を()だと告げる。そうすれば先ほどまでの自分に酔っていた自分は姿を消し、僕は僕に戻る。


 力を使い果たし、落ちてきた少女を抱きとめる。その表情は険しく、随分とうなされているようだった。


「………暫くは介抱するとしよう」


 体力を取り戻したら……後輩の元に届けるとしようか。だからそれまでは…


「はぁ……」


 あいつらの反応を考えると思わずため息をついてしまった。


 少し休んだあと、月の国へと帰還する。


 久々の自国。何処か安心を覚えた。しかし一方では。


少女を連れ帰ってきたことに対し予想通りに大騒ぎをする部下に頭を悩ませたのだった。






はい、お読みいただきありがとうございます。海月です。思ったより長くなりましたが、これにて幕間はおしまい。次は本編に戻りますね。たぶん。

それと、以下はおまけです。



[太陽神の復活についての当時の各人の思考について] 〈シオン初期〉 アムルと敵対中。勝つには自分だけではなくソラの、神の力が必要。だから復活させて一緒に戦う。復活時の爆発に関しては気合で耐える!


〈シオン復活失敗後〉 頼みの綱は消えた。ソラは戦えない。自分でやらなきゃ。一か八かにかけてなんか気合でいい感じに逃げ延びる!


〈シオン結末〉 神の干渉が入った。なぜ?巫山戯るな。死ぬわけには行かない、ソラを助けなきゃ、どうすればいい?

⇛今は無理だ。生き残れ。いつかまた戻ってくるために。


と、いった感じでいつも通り愛と勇気と根性に生きてました。生き残ったのは愛の力ですね。よかったね。



アムルの思考は…基本は本文中の通りです。ただ、神の復活と殺害について補足しておきます。


前提として、神は信仰心で成り立ちます。信仰があれば強くその存在を証明でき神の御業も使える。だけど信仰が一切無ければその存在を証明できず消えます。

また、神は下界での活動用の肉体を作り、その中で生きていますが、それを殺しても力ある神ならすぐに新しい肉体を用意できます。そのため神界にいる本体を殺さなければなりません。


だからこそ、それを知っていたアムルは落ちぶれたとは言え神を殺すならば最低でもある程度神の力を割いた分体を殺すべき、と考えました。そうすれば最低限暫くは外界に来る器が用意できないので。

といっても、それはあくまで最低限ですから、きちんと神を殺すべく、復活後の確実に神本体が中にいるソラを殺そうとしたわけですね。

⇚神の復活を自分でしようとしていたのはこのため。(ちなみにアムルのプランでは龍玉によってゆっくりと力を貯めさせるためエネルギーの暴発による国破壊は無いです。)


まあ、結局は試練を与えたいという最優先事項によって与えた試練の内容が「神の復活を成功させる」になってしまったので、いつの間にか、ただ神の復活を阻止するために(依代であるソラを殺すために)戦ってました。遊びに夢中になって本来の役割を忘れてしまったわけですね!


が、太陽神であるソルラースはそもそも本体が外界にいるソラなのでソラとして実体を取り戻した時点でソラを殺せばそれでおしまいでした。結果的には最善最短の道でしたね。例の別の神からの干渉がなければ。


あとはまとめて見ると、普段の気取った感じは演技なので、シオンにあてられて子供心というか、精神年齢が若くて夢見がちな青年的な思考が増えてますね。それでも演技はしますけど。

でも下剤は許せなかったらしいです。



あとは、ソラ。


〈完全最初〉 民を殺してまで復活したくない。周りの幸せを消し去ってまで自分の夢を叶えたくなんてない。こんな姿、誰にも見られたくない。シオンちゃんには…絶対嫌われたくない…!


〈シオン一時離脱時〉 シオンちゃんが死んだ。まだ生きてるらしいけど、あれじゃもう死ぬ。どうすればいい。どうすれば助けられる?試練だから死ぬのも仕方ない?そんなわけない。死んだらだめだ。約束はどうなるの?また遊ぼうよ。今度は太陽の下で…………なら、殺さなきゃ。邪魔するのは消さなくちゃ。シオンちゃん、待っててね。今、コイツを殺して助けるから。


〈シオン再参戦時〉 戻ってきた。やった。私は何もできなかった。けどなんでも良い。シオンちゃんがいるから。シオンちゃんには死んでほしくない。私のことは見捨てて逃げても良い。悲しいけど、死なれる方が嫌だから………今度は絶対助けてみせる。


〈シオンに護られている時〉 シオンちゃんが頑張ってくれてる。でも一人じゃ勝てそうにない。なら、私も頑張らなくちゃ。私が、ちゃんと 起きられればエネルギーの爆発は起こらない。苦しくても、ちゃんと、全部飲み込んでみせるから。だから、待っててね。


〈復活失敗後〉 復活に失敗した?てことは、どういうこと?シオンちゃんがいっぱい話しかけてくれる。安心させようとしてくれる。うれしい。信じて、良いよね。もう、神様なんて疲れたよ。でも、いつか。いつかシオンちゃんも連れて故郷を観てみたい。だから、今はお願いします。全部任せちゃうけど、私を連れ出してください。


〈神の介入後〉 あ、ア、ァァアアァアアア!? アッ、タマ…イ!タイ! クルシイクルシイクルジイクルジッ! あっ、ごめn────




と、いったところかな?

総じてシオン大好きっ娘になった感じはする。仕方ないよね。久々(数十年ぶり)に話した人で、似たような年代?で、名前をくれて、自分の存在を肯定してくれる、親代わりが消えた今唯一の仲間である友達だもの。

だからこそ、最後は可哀想。どうして神は酷く悲劇的な結末を好むのだろう。絶望が足りないって言っても十分すぎるほどに絶望的状況ではあったのに…


なんて、長くなったけれども個人的な感想でした。

改めて、次回からは本編に戻るはずです。ちなみに次回投稿日時は未定。実は全然書けてないので半年以上空く気がしたり?

はい。努力はします。

では、また次回お会いしましょう。

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