其の九十 怪獣大決戦in海の国
明るく照らされた海中。明らかな異常事態にして幻想的な光景を前に立ち尽くす。
「私も龍形態で入るべきか?」
チョウチンアンコウVS餓者髑髏VS幼龍とかいうバケモン対戦になるけど。なにそれやりたい。
まぁ魔力が足りないんですけどね。多分だけどあの餓者髑髏が魔力持ってったんだろうな。というかあれ何?
ちょっと本気で調べてみることとする。精霊的な感覚を研ぎ澄ませて、世界と意識を軽く一体化する。そうすれば、ほら。
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名称: 怨念骸骨集合体(仮称)
情報:多くの冒険者、騎士、魔物、無辜の民の屍体より【魔王】キリアン・デュプイにより生み出された。
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なんだって?
眼をこすってもう一度。
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名称: 怨念骸骨集合体(仮称)
情報:多くの冒険者、騎士、魔物、無辜の民の屍体より【魔王】キリアン・デュプイにより生み出された。
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【魔王】キリアン・デュプイにより生み出された。
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【魔王】キリアン・デュプイにより。
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【魔王】キリアン・デュプイ。
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【魔王】
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「・・・・・」
あぁ、うん。そっかぁ。
「第三の魔王がここで登場するかぁ」
個人的にこういうのは自分で知っていくべきだと思ってるからウードの記憶はあまり覗き見ていないのだけど。
「こうも名前出されるとさすがに気になるよね?」
うん。だからみよう。あの餓者髑髏の作成者とかいう魔王について。
「の前にもう一回」
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名称: 餓者髑髏
情報:多くの冒険者、騎士、魔物、無辜の民の屍体より【魔王】キリアン・デュプイにより生み出された。
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やっぱり魔王関係なんだなぁ。
「・・・なんか名前変わってない?」
まあいいか。あんなん怨霊だろうと、餓者髑髏だろうとなんだろうと大事なのはそこじゃないし。大事なのは製作者、魔王が作ったってことだけなのだ。
というわけで。
現在進行形で争い続ける怪物たちを横目にキリアン・デュプイとかいう魔王について探っていく。そうして分かったのは、
「重い。とにかく重い。愛が深すぎるよこいつ」
軽く見た感じではゲームの設定かってくらいには現実味の無い内容だった。
「・・・ついた二つ名が【狂愛】なのも当然すぎるわ」
まず初めに、とある国の何の変哲もない一般家系に生まれた。近所に住んでいて幼馴染であり、とりわけ仲良くしていた少女に恋し、共に成長していきゆくゆく結婚。順風満帆な生活も送るもなかなか子宝には恵まれなかった。それでも彼らは互いを愛していたため問題はなく年を重ねていく。しかし。
国が戦争を起こし従軍。二人は離れ離れになってしまう。しかし必ずもう一度会おうと誓い、少しでも早く帰るためにと彼は体を鍛え、妖術を学び、一切の躊躇なく敵軍を殺していく。殺していくことができてしまった。
結果として本国は彼を徴用し予定より戦場に長くとどまらせ、それに気づくことなく彼は戦い続けた。そして数年が経ち、勝負を決めに来た敵軍は目下有数の問題であった彼に対処するべく身元を洗い出し、彼の妻を町ごと爆撃、全てを灰燼に帰した。しかしそれを知らされることなく彼は戦い、全てが片付いた後でその事実を知ることとなる。
敵を討つべき敵は既に滅ぼし、残されたものは年を重ね殺戮に勤しんだその肉体だけ。故に彼は狂い、暴れ、大罪人として重要指名手配されることとなる。しばらくの時を経て、少しの理性を取り戻した彼は失った妻を取り戻すべく研究を始めた。
それは禁忌とされることであろうと関係なく行われ、生贄や代償として多くの者が犠牲になった。しかし、いくら人を殺し、その存在の格をあげ、寿命を延ばした彼であって死者の蘇生には研究のための時間が不足していた。故、その研究は実を結ぶことなく死に至ると思われた。それは当然彼本人も知るところであり、その生涯を終えようとしたとき、彼は人生最期の賭けに出た。
結論から言えば、彼のその賭けは成功した。彼は生まれ育った国を、彼と妻を引き裂いたその国を滅ぼした。そして、その国に住まう全ての生物の命を消費することにより自身のアンデット化を行った。それは死者蘇生のための研究の副産物であり、成功率の低い賭けであった。
彼は、国を滅ぼすという賭けと、自身のアンデット化という限りなく低い可能性をつかみ取ったのだ。
と、いうのが彼、【狂愛の魔王】キリアン・デュプイの素性である。
「で、気になるのはなんでそんな奴がこんな場所に来てるのかってところ」
まあ本人が来てるとも限らんけど。どうやらこの魔王は自分の国持ってるらしいし。というか、彼の無法な研究姿勢に憧れたマッドサイエンティストどもが集ってできた国だけど。だからこそあそこは無法の、『喜悦の街』なんだよなぁ。
「と、まあ結局あいつの行動指針は妻の復活。則ち死者蘇生の秘術の確立。何があるかわからん大罪ダンジョン攻略にも当然顔を出すか」
にしては諜報じゃなくて暴動に重きを置きすぎな気もするけど。あれかな?『衛兵』とかいうチョウチンアンコウがちょっかいかけて戦い始まったのかな?
「それはなかなか戦犯級の活躍だけど。まあどっちかというと『衛兵』が気になった【狂愛】がちょっかいかけてそう」
ま、そんな感じ。如何しよっかなぁ。私は如何すりゃいいんだ?この国助けてってヴィクトリアには言われてるけど、どうしたって壊れるよね。
戦闘の被害がでかくなりすぎる。ここはどうにか話し合いで穏便に解決したいところ。
「そのためにはこっちに意識を向けなきゃだけど…」
そもそも会話通じるのか?あのガシャドクロどう見ても理性ないけど。遠隔操作ならともかく自律型だったりしたらもう無理よ?
「・・・あれ、てかなんか汚染してない?」
よく見ればあのガシャドクロ付近の建物というか、巨大サンゴの根っこが枯れてるように見える。まあ見るからに毒々しいというか、体に悪そうだもんな。そもそも怨念の集合体らしいし。
「・・・これ、ぶっ壊したら骨飛び散るよね?」
そしたら…
「やばぁ…生物兵器かよ。禁止されろぉ?」
あ、あの国は無法だったわ。面白けりゃそれでいいとかいう。研究したいからしてそれがどう利用されようが気にしない無責任な科学者の国でした。そもそも倫理観無い奴らだし。
「全部滅す…無理だ。消し飛ばす…無理よ?」
粉々にしても…だなぁ?
「あー。やばいこと思いついちゃった」
ほんと、やばすぎるなぁ。絶対やっちゃだめだなぁ。問題起こること確定してるなぁ。
でもそうするしかなくねぇ?
だって、問題の先送りで今が解決するならそうするしかないじゃん?
「題して!ゴミはゴミ箱に!魔物はダンジョンに返しましょ〜!」
と、いうことでね。あんなんもはや魔物でしょって感じなんでね。ダンジョンの奥まで押し込んで、封印ということで。あるいはダンジョンの中で斃すでもいい。
けど私としてはあんなヤバそうなの現状でやり合いたくないんで放置が安定かなぁ。せめて妖力回復しきってからがいい。どうしたら妖力回復するかあんまり知らないけど。
・・・だって普段限界感じるほど使わないし。でも妖力は世界改変の権限みたいな感じだし一週間一ヶ月普通にしときゃマックスになりそうではある。流石に一日は早すぎる気がするし。
「形態変化 龍人 職業 龍盾士」
よくよく見ればなんかやばい強さしてそうな騎士が一人とセバスが建物の影から時を待ってる。
なら、やるでしょ。
シミュレーションは簡単。
私が突撃、ダンジョン大穴方面まで運ぶ。そんで、落ちてる最中にあの二人がバラす。そんで小分けにした奴らを別々の場所で粉々にする。
あれ?これじゃ討伐か。ま、倒せるなら倒したほうがいいでしょ。
ちなみに小分けにするのは何となく。環境に悪いゴミって細かくして捨てたりするじゃん?
「ってなわけで!レッツゴー!」
魔王VS魔王の配下VS龍王の眷属。いざ開戦!
本当はこの章最後まで頑張りたかったんだけど…毎日投稿はここでおしまい。残りは随時更新という形で許してください。(今回ちょっと短いのは昨日急いで作成したためと限りをよくするためです)
あ、初めての活動報告書きました。時間があれば見てみてください。




