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転生魔王の私はいずれ勇者に殺される  作者: 神星海月
第二章:天落星壊

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其の六十八 災厄はいつも転移と共に

 突然だが、私は今猛烈に暇している。なにせできることがなさすぎるのだ。初めての温泉旅行以来、ギルマス直々にダンジョンに行くなって言われたから。なんでも冒険者の狩場を消されるわけにはいかないんだとか。

 私そんな非常識なことしないようにするのに。


 と、そんなわけでせっかくなら初めての海中都市を探索をしようとぶらぶら巡ってたのが昨日までであり、ついに町巡りにも飽きたという訳だ。


「という訳で。ジラ~~ルドッ!!あ~そ~び~ましょっ!!!」


「嫌だが?」


「なんでぇ!?」


 最近教わった稼ぎの多い冒険者御用達の酒場に叫び入ったら即否定されてしまった。


「これから仕事だっての」


「何の仕事!?」


「・・・狩り」


「私も行く!」


「はぁ、一時間後ギルドな?」


「わかった!」


 一狩り行こうぜっ!


 前世ではよく金策目的に宝亀の群れに飛び込んだ記憶。

 あいつ防御力高いうえにでかいし再生能力あるしで殺し切るのがものすごい面倒なんだよね。探索フィールド判定にもなってたから殺さなくてもある程度は採取できたんだけど、やっぱり殺した方がいいもん落ちるんだよね。腹の中に気に入った宝をしまっとくみたいな習性だったはず。






「武装確認!荷物良し!忘れ物なし!ご飯も食べた!準備完了れっつらごー!」


 ヴィクトリアに貰った剣は手入れしたうえで腰にある。ほかに必要そうなものはないから手ぶら。ご飯はさっきジラルド泣かせるくらいには食べた。だから大丈夫!


「なんでそんなテンション高いの…」


「女の子だからじゃねー?」


「関係あるぅ?」


「ほらそこっ!もっとシャキシャキしなさい!」


「はいっ!」


 うんうん。シュリヴァンはいい返事だ。それに比べてジラルドは…。


「なんだよ」


「はぁ~」


「つれねーなぁ~」


「お前がノリ良すぎなんだよ」


 それはそう。


「そうかぁ?」


「そうだっての。で、準備いいならもういくぞ?」


「あ、うんダイジョブ」


「俺も~」


 改めて確認。問題なし!


「んじゃ、依頼目的はブリの狩猟ってことで、目的地は下層だ。探索してくぞー」


「「おー!」」


 ギルド内のダンジョンに続く道を歩く。下層となると…


「どんくらいかかる?」


「ん?五分」


「早くね?」


「おい口調どうした」


「あ、まあそういう日もある」


 私、男勝りだからさ。


「そうそう、あんまり気にしすぎるとモテないヨ?」


「オラモテ男、前歩けや。そんでもってアルノルトに刺されて焦げやがれ」


「ひっど!?助けて!シオンちゃん!」


「アルノルト?何それ」


 モンスの名前か何か?


「アルノルトは~、アレだよ!アレ!キラキラしてて、透明?虹色?なアレ。触手たくさんあって電気と毒打ち込んでくる。あと群れでいるせいでめっちゃめんどい!」


 透明、触手、毒・・・クラゲ?


「ふ~ん、じゃあ全部殺せば?」


「そうしたいとこだけどね~?」


「あそこは上位冒険者の狩場だからな、巻き込む範囲技は使えない。あとアイツラあの空洞の明かりになってっから殺しちゃダメなんだよ」


「うえぇ~めんどぉ」


「だろ?しかもいくら触手切手も数分足らずで生え直すからだるい」


 う~む。完全にフィールドギミックの一部だな。毒と電気複合とか厄介すぎるけど。


「そういや、空洞ってことは水無いの?」


「無いよー、でも普通に空飛んでるからあんま関係ないね~」


「う~んゴミぃ」


 こっち空飛べないが?


「そうそう、あそこはもちろんアルノルトだけじゃないからね?」


「何いるの?」


「ん~とねー、今回の狩猟対象のブリと~、アレ!あの白黒!」


「キリールな」


「そうそう!それ!」


 ブリはわかる。鰤だろ?・・・あれ、クラゲの名前違うしもしかして別のだったりする?


「それぞれの情報くれない?」


「いいけど、見た方が速いかな」


「ん?」


「・・・ついたぞ、下層:ツクーケル大空洞だ」


 突然視界が広がった。今のは…転移?ちょっと違うよう──な?


「ハハ、こりゃ、すっご…!」


「ヴァン!戦闘態勢!」


「リョーカイッ!」


 瞬間、目の前に飛び込んできた()が斬り飛ばされる。


「ハハッ!」


 いいね、しばらくぶりに暴れたい気分だ。っでも、今はパーティ。リーダーは──


「シオン!」


 ──ジラルド。


「なに!?」


「よく視とけ、あいつもただの馬鹿な酔っぱらいじゃねぇぞ?」


 ふふっ、そう。そうだろうね。金級、それは乃ち。


()()()の力、見せてもらうよ」


 人間を止めたもの達のことである。


 再度、視界全体に広がった()。瞬き一つ、その間に残された斬光。男が駆け、それに従って()が色を失う。


 三度、()が煌めき、斬光と共に散る。奥より迫る白と黒、シャチが大口を開けて迫り、


「解体じゃい!」


 切断、からの分割。瞬時に手のひらサイズにまでバラされた。


「らいっ!」


 背後より迫る()の触手の群れが、先から刻まれる。


「ハッハァ!こんなもんかぁ!?」


 触手の群れから出てきた小魚の群れが眼前に迫る。


「ハッ、朝飯前よ!」


 軽口をたたきながらその全てを三枚におろす。


「おいおい、今日はやけに多いな。けど、稼ぎ時か!」


 ジラルドがバックから風呂敷を取り出し、卸された魚をしまっていく。何あれほしい。


「これで、ラストォ!」


 下から地面を突き破って出てきたウナギ…ウナギ!?


「フィ~、いっちょ上がり!」


 ウナギ、が、首を斬り落とされて…


「食べたい。ウナギ、いいなぁ…蒲焼がいいなぁ…」


 このサイズだと串がない、か…。


「食べた~い」


 前世だとそんなだったのに。どうして、こんな食いしん坊になったのか。絶対初期の絶食期間のせいだろ。


「シオンちゃん?ちゃんと見てた?」


「見てた診てた。早かったし、綺麗に斬ってた」


「わーい褒められたー。って、俺の頑張りって食気に負けるの!?」


 それは仕方ない事。ウナギにイワシ、食べたいよね。クラゲとシャチとイソギンチャクはちょっと…でも意外とゲテモノ料理でイケるかも?


「シュリヴァン、回収手伝え」


「えぇ~、労いは?」


「ねぇよ、んなもん」


「は~い、やるかぁ~」


 私、高みの見物。しかもあれが私の食費になるのである。


「ガンバレ~」


「お前もやれ!」


「やだ」


「クソガキが!」


 投げつけられたバッグをヒョイとかわす。


「あ…」


 過ぎ去るバッグが瞬時に虹に包まれようとして、


「バッカ野郎!?これたけぇんだぞ!?」


 ジラルドに回収された。相変わらずの強さ。本気になったらどんだけ強いのか試してみたい気持ちももちろんあるが…今じゃないな。うん。我慢我慢。


「聞いてんのか」


「なにが?」


「コイツッ!このバックたけぇんだぞ!空間収納付きは貴重!もっと大切にしろ!」


 最初に投げたのそっちですし。


「はいはーい」


「ッ!オーケーわかった。俺が間違ってたよ。それでいいとも」


 あ? これって、もしかしてちょっとヤバいやつ?


「ハハッ、次に会う時、お互い無事だといいな?」


「え、ちょっと待ってお前何する気!?」


「ハハ、なんだろうな?」


 ヤバい。絶対ヤバい。眼が笑ってない。これ、マジの奴だ。


「じゃ、ガンバレヨ」


 腕を掴まれた。外れない。どんな力してんの!?


「ちょ~い!?ジラルド!?お前何してぇ!?」


 嗚呼、シュリヴァンよ。一足先に私は逝くよ。さようなら。


「バッ!?それ俺ら以外も巻き込まれる奴!?全員死ぬぞォ!?」


「大丈夫さ、こいつがどうにかする」


「私ぃ!?」


 ふっざけんな!?せめて何するか言え!?


「じゃあな」


 あ、なんか、こんな感覚前にもあったような・・・!?


「~~~~ッ! どうして!?どうしていつも転移なのっ!?」


 視界が入れ替わる。見える世界は一面カラフルで。


「抜剣!からの斬る!」


()()()()()』と思い込み、足場を確保。からの抜剣と同時の乱れ斬り。第一の()の対処は完了。


「嗚呼、本当に!あいつ何してんのかなぁ!?」


 思わず口元が緩みつつ。迫る白黒を殴り破裂させ、小魚の群れを吹き飛ばす。


「まずは、デカブツ!」


 シャチを殴り、ウナギを締める。時折手を出してくるクラゲの触手を根元から斬り捨て、次はイソギンチャク──といいたいところだがっ!


「いいねぇ!龍、いや蛇か!」


 悠然と宙を泳ぐ海蛇を睨みつけ、正面から剣を構える。


「ククッ、最高っ!」


 感じる重圧はかつての龍ほどではない。おそらく余裕。でもそれでも、強者であると感じさせるものがある。


「いざ、挑もうか!」


 剣を一振り。同時に発生させた斬撃により生じる刹那のシングルマッチ。


 勝者は、私。


「ハッハァ!勝ちぃ!」


 水レーザーが放たれると同時、首をねじり暴発、からの断頭。


「次ィ!」


 残されたのはイソギンチャクとクラゲ。クラゲは殺すなって言われてるから…!?


「いいね、いいねぇ!そういうことねぇ!?」


 さっきのシュリヴァンの言葉。『俺らだけじゃ済まない。全員死ぬ。』その意味が、今、わかった。


「────!!!」


 耳を通って脳をも揺らす超音波のような鳴き声。


「クジラ風情が良く吠えるッ!」


 殺してないはずの小魚がいない。だからおそらく出現条件は小魚の群れが一定量を超えたら。

 そんでイソギンチャクは小魚を無限に生み出してる気がする。


「つまり、自分で処理しきれない量の敵と戦うのはこの狩場における御法度!マナー違反って訳だ!」


「正解」


「絶対怒られる。俺嫌なんだけど、ジラルドとシオンちゃんで責任とってね?」


「連帯責任に決まってるだろ?」


「そうだそうだ!止めなかったやつが悪い!」


 転移直後に小魚を排除するのを手伝えばよかったんだ。あるいはこいつの存在と出現条件。


「へいへい、んじゃ、少しでも情状酌量求めに行きましょか?」


「あいよぉ!」


「やっぱなんでお前らそんなテンション高いの?」


「「ノリ!」」


 突如降り注ぐ水。それを傘を生み出し防御して、


「あっれぇ?これってもしかして全体守るか速攻排除しないとまずい奴?」


「当たり前だろ」


「俺先行く!救護頼んだ!」


「あ、ずるぅ!」


 行っちゃった。


「おとなしくタンクしとけ、俺はほかの奴ら助けてくる」


「・・・は~い」


 訪れる超音波に干渉してかき消しつつ、改めて現状を考える。


 一、あいつの攻撃は敵味方全体に効果がある。

 二、ここに存在するクラゲは灯りであり、殺せば毒が降り注ぐ。

 三、ここにはあのクラゲと戦うには()()()力不足の上級冒険者がたくさんいる。

 四、イソギンチャクは防御、再生能力が高い。

 五、小魚はクジラを回復、強化する。


 六、クジラは・・・()鹿()()()


 ここから導き出される答えは…


「クラゲを守り、イソギンチャクと小魚を殺し、あのクジラをぶち殺す」


 さぁ、久しぶりの()()()と行こうか!

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