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転生魔王の私はいずれ勇者に殺される  作者: 神星海月
第二章:天落星壊

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其の六十七 実質女子会

 ギルド内からつながる道を通ってダンジョンに入った我々だが、そこで見たのは世にも珍しい摩訶不思議な光景だった。すなわち、モンスターのいないダンジョンである。


「な、なんですかここは~!?」


「モンスターが、一匹もいない!?」


「どういうこと!?魔物は?危険は?冒険は!?私の求める冒険はどこにあるの!?」


 だとか。


「ブハハハッ!マジかよ!ほんとに全滅させたのかよっ!?」


「さっきそういったろ」


「いや、あれはさすがに誇張表現だと思うじゃないですか…」


 とか。


「これは…なるほど。問題はなさそうですね」


 とか。


「へぇ―こんな便利な通路あったんだー」


 あの大穴に落ちなくていいなら全然ダンジョン探索もやりやすくていいじゃんと思ってる私、と三者三様の反応があるわけなんだけど。


「シオンちゃん!どうしよう!これじゃ私シオンちゃんにかっこいいとこ見せれない!」


「ああ、そうだね。それ、本人に言うもんじゃないよ?」


「あ、確かに…やらかしたぁ!」


 うーん。残念勇者だなぁ。


「お前ら、もうちょい集中しろ?いくらモンスターがいないっつっても確定じゃないんだぞ?」


「いやぁ、そうはいってもジラルド。このメンツで何かあることを疑う方が無理だろ」


「む」


「そうだそうだー。私たちだけでも問題ないとこを勇者様に騎士様にあの龍までいるんだから大丈夫だって!」


「それは…そうだな。なんなら真層の探索まで可能なレベルか」


 深層の探索?ここが深層じゃないのか?


「言えてる。けどさすがに今日はいかねぇだろ?」


「ああ、当たり前だろ。今日は温泉行って帰って寝るだけだ」


「ジラルド?ここが深層じゃないの?」


「あ?あー、そういうことか。後でな後で、ここで話すとめんどくさくなる」


 面倒?視線の先にいるのは…ヴィクトリア?

 ・・・まあいっか、あとで聞けば。


「りょー」


「おう」



 ☆☆☆☆☆☆



 結局、何事もなく温泉にはたどり着いた。そんで厳正なる多数決の結果先に女湯になった。男子連中は仕切りの外で見張りだ。たぶん遊んでると思うけど。ちなみに仕切りは私が建ててあげた。土壁ならね、むかつくほど見たから…


「〈シャワー〉、〈洗浄〉っと、これで良し」


 さあて、とけるとしますかぁー。


「えっ!?シオンちゃん何それ!?」


「ん?妖術」


「そうだけど!そうじゃなくて!」


「まあまあ、落ち着いてよヴィクトリア」


「落ち着けないよ!?」


 うっわ圧強ぉ。そんでもって抱き着くな!


「どうやってるの!?私もやりたい!」


「いや、水出してかけてる」


「そっちじゃなくて!〈洗浄〉ってやつ!ほら!ほとんど洗ってないのに髪の毛サラサラになってる!」


「え!私も触りたい!」


「私も!」


 うわぁ。もみくちゃだ。


「きれー、私にも教えて!」


「教えて!」


「わ、わぁ」


「あれ?」


「シオンちゃん?」


「シオンちゃん!」


「意識、飛んじゃった」


 うわぁ。もうダメ。そんな絡まれると、むり。流石にこういうのは慣れてない。


「うーん。とりあえず一緒に温泉に入ればいいかな?」


「あーそうかも。ここの温泉すごいからたぶん大丈夫!」


「じゃあやってみるね!」


 あれ、なんか運ばれて…ちょっと待て!?強化急げ!?


「ぶぐっ!ぶぐぶぐぐぐぐ!!??」


 しずっ!沈む!?ヴィクトリア!?


「あ!ヴィクトリアちゃん!?シオンちゃんが沈んでる!」


「え!?あ!やば!?」


「し、死ぬかと思った」


 まじで。温度的に普通に死ねる。


「ごめんね」


「いや、大丈夫」


 ギリギリね。強化間に合ったから。


「ところで、ヴィクトリアは湯加減大丈夫なの?」


「大丈夫だよ!確かに熱いけど、昔行った地獄ほどじゃないから!」


 そうなんだ。勇者ってすごい。地獄ってやばい。


「私地獄の話聞きたい」


「うーん、地獄かぁ…」


「どうかしたの?」


「あれは恥ずかしいというか不甲斐ないというか…特に何もできずに撤退しちゃったから話せることがないんだよねぇ」


「まじかぁ」


『地獄』ってちゃんと地獄してるんだなぁ。ちなみにこの『地獄』っていうのは地名ね。この世界のどっかにある。詳しい場所は調べてないけど、ウードが訪ねた記憶。


「そういえばさ、二人ってどんな感じで知り合ったの?」


「私も知りたいです。シオンちゃんの話聞きたい」


「シオンンちゃんと出会った時?う~んと、話していいのかなぁ?」


「いいんじゃな~い?私はいいし、ヴィクトリアが言いたくないならあれだけどね~」


 あ~、慣れてきた。極楽~。


「むぅ~?いい、のか?いや、でも…いやぁ?国にかかわることだし…」


「あはは、言いにくいなら聞かないよ。私もまだまだ命は惜しいし」


「そうです!私も命狙われたくありません!」


「・・・そっかぁ。じゃあ、やめとくね?」


「うん!」

「はい!」


 は~、いい湯だなぁ!?


「あっ!シンソ───!?」


 ッ!?危ない、ヴィクトリアに気づかれるとこだった!これ知られたら絶対ヴィクトリアが行きたがるもんね。よかった、気づけて。


「どうかした?シオンちゃん」


「いや、何でもない…です」


「・・・??? 今深層って言ってたよね、どうしたの?」


「いや、何でも…」


「ふ~ん、ロゼッタ。深層って知ってる?」


 あ、ヤバッ!?


「わぁわぁあああ~~!!!」


「深層?あぁ、真層ね。この下にあるダンジョンの事よ…、ってうるさいわよ?」


「ほ~ら、シオンちゃん落ち着きましょうねぇ~」


「や、やめろドーラッ!今はダメだ!今はぁ~~!!??」


 く、口がふさがれた!?


「フガッ!フガフアググアッ!?」


「真層ってのは~、まぁ言っちゃえばこのダンジョンの本番、真の意味での『フォールシグニ』ね」


 あぁ~~!?手遅れ、か。仕方ない。もう大人しく受け入れよう。

 ・・・というか、別に真層行ったって良くね?私は行きたい。ヴィクトリアも行きたい。ならいいのでは?


「真の意味…あ!前に報告書で見ました!この深層の先に閉ざされた扉があったって!」


 何それ知らない。めちゃ気になる。


「そうそう、それの事よ」


「じゃあ、この層を完全踏破したのって皆だったの!?」


「そうよ?これでもすごいのよ、私たち」


「えぇ~~びっくりっ!!」


 そうか?割と強いのは知って…ヴィクトリアはこの四人が戦ってるとこ見たことないのか。私もジラルド以外知らないけど。


「・・・う~ん、そういわれるとなんかアレね」


「ですね。なんか弱そうだったって聞こえて…」


「あ~!?違うよ!?ええと、その、こんな近くにいるとか思ってなかったから!」


「あー、まあ、確かに?」


「私達、あってからすごいとこ見せてないですしね」


「確かに。ご飯食べて眠って温泉…って、すごい休日してるわね」


 確かに!


「それもシオンちゃんのおかげですけどね~!」


「フガフガ!」


「・・・いい加減離してあげなさいよ、ドーラ」


「あ、ごめんなさい!」


「はぁ、はぁ~!苦しかった」


 いくら息しなくても生きられるとはいえ、息苦しいものは苦しいのだ。

 ・・・実際息しなくて大丈夫かは知らないけど。短時間しか試したことないから…でもそう思い込んどけばいい感じになるでしょ。魔法も妖術もイメージが大事なのだ。


「それじゃ、そろそろ私は出るわね?」


「あ、私も出ます」


「え~?じゃあ、私も出る!シオンちゃんは?」


「まだ入る」


「う~ん、でも残りの男たちにも入らせてあげたいし…」


「いいよ、入れて。性転換するし」


 ダイジョブ。女同士がいいなら、男同士も問題ない。なんなら前世男だからそっちのが正しいまである。


「え~と、そういう問題なのかしら?」


「ダメ!」

「ダメです!」


「ぇ」


「シオンちゃんの裸を見せるのがダメなんです!性別とか関係ないです!」


「え?」


「そう!シオンちゃんは私と外で待つ!」


「ええぇ?」


 最後一名自分の欲望出てたろ絶対。ドーラ、お前だ。


「はい!出ますよ!」


「えぇ?・・・は~い」


 ここで逆らってもいい事なんて何もないのさ。実は魔王な私が勇者と戦うことになったら被害は尋常じゃないのである。


「よろしい!」


 湯から出て、妖術で()()。からの()()


「じゃ、先出てるね」


「いやちょっと待てい!?」


「何?」


「『何?』じゃないよ!?それ何!?」


「これ?妖術」


「そうじゃない!?」


 なんかデジャブ感じる。具体的にはついさっきやったばっかみたいな。強いて違う点を挙げるなら、さっきはヴィクトリアで、今度はロゼッタ、ってところか。


「その乾燥…はまだいいよ!まだわかる。けどその早着替え何!?私もやりたい!」


「あらかじめ着衣状態で登録して、それを引き出す。それだけ」


「なるほど…それなら…うん、うん。できそう!ありがと!」


「どういたしまして」


 まあ私の場合は紅玉のブローチが何とかしてるのだけども。裸の時もなぜか反応あるんだよね。つけてないのに。透明化とか、非実体化してるだけで装備してる判定なのかな?


 なんてことを考えつつ、全員が着替え終わるのを待って男子と入れ替わる。ちなみに()()はもうみんな使えてた。流石世界有数の強者である。この前聞いたけど金級って化け物らしいね。


「チェンジね」


「・・・おう。頑張れよ」


「ん?うん」


 交代の時にジラルドになんか言われたけど…なんだろ?

 モンスターでも来るのかな?

 それはそれで楽しいからいいけど。少しくらい体動かしたいし。


「ふふ。楽しみだなぁ」


「シオンちゃん?」


「んーん、何でもない」


 危ない危ない。変なのと思われるとこだった。

 ・・・手遅れ?

 そんなのは知らない。そもそも私以外が変なのだから何でもいいのだ!


「そっか、じゃあ、一緒にお話ししよ!」


「え」


「お話~!」


「女子会ね!」


「えぇ!?」


 な、なんかさっきから向こうのペースにひきづりこまれてる!?


「い、いやぁ、私は警戒しとくから、皆でしてなよ」


「だ~め」


「大丈夫」


「私が感知しとくから逃げないでいいのよ」


 なっあぁ!どうして…!どうし…て!?


「ガンバレって、このことかよぉ!?」


 結局、この女子会は男子連中が出てきて、ダンジョンを出るまで続いた。

 ヴィクトリア連れて真層行かなかったのはよかったかもだけど、モンスターのがまだ楽だった気がする。


 ・・・楽しくは、あったけど。

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