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転生魔王の私はいずれ勇者に殺される  作者: 神星海月
第二章:天落星壊

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其の六十三 寿司!

 あの後、王様から人については手配するからしばらく待っていてくれと言われた。よくわかんないけどたぶんなんかいろいろあるんだろう。きっと。


「大将!おひさー!」


 そんなわけでこの前食べ損ねたお寿司を食べに店にやってきた。


「お?あんときの嬢ちゃんか!今度は金持ってきたのか?」


「持ってない!」


「ダメじゃねぇか!?」


「ふっふー!今日の私は前回とは違うのだ!なんと金持ちを連れてきた!」


 それも二人!これで金は足りる!


「あ?え、あ。いや、え!?」


「どうも、お久しぶりですね、大将」


「ご無沙汰してます」


「あ、ああ。久しぶりだな。最後に二人できたのは、もう何年前だ?」


 おや、訳アリか~?


「ま、話に花を咲かせるのもいいけど、まずは食べようぜぃ!私はおなか減ったんだ!」


「シオンちゃんは成長期だもんね~?」


「ん~?微妙!私龍の生態知らないし!というわけで大将!おすすめ一つ!」


「おう。なにがというわけかは知らねぇが、おすすめっつーと…まずはブリか!」


「ブリ!食べる!」


 いやぁ、異世界だからよくわかんないもん食べさせられたらとも思ったけど、意外となじみあるもんもあるんだなぁって、感心!


「ところでシオンちゃん。なんか幼くなってない?」


「ん?あー、さっきまともにしゃべったからねぇ。考えるのは止めにした!今の私は本能のままに生きるのだ!」


 あとはこの方が都合がいい。幼さを演じた方がヴィクトリアは私に甘くなる。


「そっかぁ。でも変な人にはついて言っちゃだめだよ?ちゃんとお姉ちゃんの傍にいなきゃ」


「わかったー」


 心配しなくても食べてる間は離れない。寿司!食べたい!


「・・・なぁ。俺はヴィクトリアの嬢ちゃんに妹がいるなんて聞いたことないんだが、どういうことだ?」

「・・・そうですね。私にもよくわかりません」

「わかんねぇのかよ。つうかお前らの子供って言われた方がよっぽどしっくりくるぞ?」

「・・・この話はやめにしましょう。大将、私もおすすめを一つ」

「はいよ。今作ってるから待っとけ」


 なんて会話が横でされてたりもするが、今は気にしない!恋バナは夜にでもするとしよう!


「よし!ブリ三人前!ご賞味あれ!」


「おー!?テカテカ!分厚!赤い!赤い?」


 あれ私ブリって赤いけど白いイメージというか、マグロみたいな赤さしてなかったような気がするんだけど?


「なに、これ?」


「なにって、ブリだが?」


「いや、え?」


「シオンちゃんどうかした?美味しいよ?」


「まあ、いっか!いただきます!」


 パクリ。うまい!久しぶりのコメ!久しぶりの寿司!うまい!

 けど…やっぱブリじゃなくね?


「ん~?まあ、おいしいしいっか!お代わり!」


「あいよ」


 ふんふ~ん。次、何頼むかな?やっぱり王道のマグロとかいっちゃう?

 寿司屋の流儀的には順番がふざけるなって言いたいくらいめちゃめちゃなんだろうけど、私は食べたいものを食べたいだけ食べるのだ。胃袋に限界感じたこともないし!


「大将!そろそろ入荷の時間ですけど…ってお客さんいるんですか!?いま休憩中ですよね!?」


 とか何とか言ってたら裏から弟子らしき人が顔を出した。


「おう!お偉いさんだぞ!」


「え、失礼しました~!?」


 と思いきや引っ込んだ。


「あれ、ここ休憩中でしたか?」


「おう。そこの嬢ちゃんはなんも気にせず入ってきたけどな」


「あれ、でも外に張り紙とか何もなかったですけど…」


「あ?つけといたはずだぞ?」


「あ、それ私が外した」


「「え?」」


「食べたかったから…」


 ごめんよ。でも仕方ないよね。食欲には抗えないもん。それにこういう時のために権力ってのはあると思うの。


「大将もなんやかんや握ってるし、問題なしってことで!」


「いや、お前さん反省してねぇだろ」


「ばれた?」


「そもそも隠す気ねぇだろ」


「まあね。それよりまだ?」


 私は早く食べたい!量が欲しい!おいしいから!


「嬢ちゃん…はぁ、いいけどよ。握るのだって大変なんだぞ?一個一個丁寧に、気を付けてだな」


「喋りながら作ってるのに?」


「それは慣れだ。これでもこの道百年のベテランだぞ?」


「え」


 ベテランだ。すごいベテランだ。前世でいえば並ぶものがいないくらいにはベテランだ。


「でも魚人の寿命的にはまだ若くない?」


「それは確かにそうだが。つっても時間は時間。手際も腕も、何もかも違うさ」


「確かに。じゃあそんな大将にお願い。もう少し早くできない?」


「いや、これでも早くやってるんだが?」


「もっと早く」


 確かに今も十秒に一個くらいのペースで握ってるよ?でも私たち三人だから。三十秒に一貫じゃ足らないのよ。


「んなこと言いてもよぉ。弟子共はこのあと捌かせねぇと出し、残りも休ませてやりてぇ、これ以上はなぁ?」


「ちなみに何の工程が遅くなるのさ?」


「単純に腕の数が足らん」


「確かに!腕って少ないよね」


「片腕ねぇ嬢ちゃんが言うと説得力ますな…それ、どうしたんだよ?」


 確かに!私生物的に他より腕少なかった!


「とけた!」


「マジかよ。治さねぇのか?そこの二人と知り合いならどうとでもなるだろ?」


「それが、治らなくて…」


「マジで?」


「はい。私の方でも何人も知り合いに当たってみましたが成果はなく」


「は~、そりゃ大変だ。勇者の嬢ちゃんでも、近衛の腕利きでも治せないとなりゃ諦めるしかねぇか」


 いつの間にそんなことしてたんだ。やっぱり私が寝てる間に?

 でもそれ、近衛としてどうなん?王様に真っ向から反抗してない?

 あ、でもヴィクトリアも王女だし無しじゃないのか?


「諦めはしてないけどね!たぶん時間たてば生えてくるし」


「マジかよ。そんな非人間的なことあるのか」


「ま、私人じゃないし」


「そうなのか」


「はい。シオンちゃんは『龍』ですから」


「・・・・・・・え?」


「より詳しく言えば、『精霊龍』、ですね」


 あ、驚きすぎて動き止まった。


「ほら!早く動いて!作って!頂戴!」


「あ、ああ。すまん。ちょっと放心してた」


「気持ちはわかります。シオンちゃんは可愛いですもん」


「・・・大将。受け入れてください。そういうものです」


 うんうん。わかる。いきなり目の前の奴が上位種族カミングアウトしてきたら驚くよね。私もそうだった。あとヴィクトリアはシスコン。


「あ、ああ。そうだな。そうだ。龍だろうと何だろうと、客は客。満足させてやらねぇとだめだよな。おし!任せとけ!腕生やせねぇか試してやらぁ!」


「おぉ!」


 すっごい!職人魂!こういう時、上位種族ならどうするかって言ったら、アレだよね!


「大将。いいかい。腕を生やそうってときに大事なのはまずイメージだ。まずは蜘蛛の脚をイメージして、そこからその足を人の腕に変えていく」


「ほう!なるほど?できたぞ?この後は?」


「この後は…気合いだ」


「気合いか!・・・できないが?」


 だめか。


「ありゃ?私はそれでできるのに…」


 試しに腕を…はなぜか生やせないから尻尾を大量に作る。かつての魔九尾を妖術で再現した形だ。


「おお、できてる」


「かわいい!」


「これは…!すごいですね」


「でしょ?でもなぁ、これイメージ以外特別なことしてないんだけどなぁ?」


 なんで大将はできないんだろ?


「おそらく種族の違いでしょう」


「え?」


「シオン様は龍という種族柄莫大な妖力をお持ちです。そのため、イメージするだけで世界に干渉が可能なのでしょう」


「なるほど」


「んじゃ、俺にはできないってことか?」


「いえ、難易度は上がりますが…似たようなことはできるかと。少々お待ちください」


 そういってセバスは立ち上がって眼を瞑り集中したかと思うと…


「できました」


「おお!?」


「セバスに!尻尾が!?」


「三本?」


 数えてみると三本だ。それに、質感は診た感じあんまりよくない。でもできてはいる。才能あるのかな?それとも妖力が多いから?たぶん両方だな。


「今の私ではこれが限度といったところでしょうか。練度を上げれば増やせそうではありますが…」


「さっすがセバス!」


「ありがとうございます。それで、先ほどの続きですが大体わかりました。先ほどシオン様が言っていたのは恒久的な腕の展開方法なのでしょう」


 こうきゅうてき?


「恒久的?つまりどういうことだ?」


「シオン様に確認したいのですが、尾は一度展開した後は消そうとしない限り形作られたままではありませんか?」


「あ、そういうこと。うん。恒久的だね」


「ありがとうございます。では話を戻しまして、イメージを変えてみましょう」


「イメージを変える?どう変えればいい?」


 ふむ。恒久的だと発動しないのはやはり持ち前の妖力の差だろうし、なら持続型に変えればいい。


「先ほどのイメージに加え、その変化は一時的であると考えてください、それであるいは…」


「・・・ん?なんか、うまくいきそうな気はするんだが…ダメだな」


 へぇ。それでもだめなら…根本から変える?骨格から変えるんじゃなくて、後付けのアタッチメントみたいなイメージ?いや、難しいか?


「じゃ、自分に変化の術を掛けるイメージにしてみたら?」


「術を掛けるイメージ?やってみよう」


「術、ですか。なるほどさすがは姫様です」


「もう。セバスも今くらい名前で呼んでもいいのに」


 術…あ、そうか。私がウードにやらせてるのと似たようなことか。

 体の構造を世界に変えさせるより、体の構造を変える術を作らせて使わせる方が楽って訳だ。


「さすがは勇者。頭良い」


「えへへー!シオンちゃんも可愛いよ!」


 シスコンはこれでいいのだろうか。見なよ。あのセバスの顔。感情ぐちゃってるよ?・・・なんかごめん。


「お、おお?これで、できたのか?」


「あ、うまくいってる」


「できてるのか。確かに変な感覚があるな。でもこれ、慣れるまでまともに握れねぇな。どころか動かすのも大変だ」


「あー。じゃあダメかぁ」


 残念。これで三倍の速度で握れるとか期待したのに。


「ま、気長に練習するさ。1年もすりゃ使えるだろ。とりあえず今のところは待っててくれや」


「はーい」


 仕方ないね。でも美味しいし十分待つ価値はあるし、のんびりと…って、思ったんだけどね。


「大将!依頼の魚持ってきた、ぞ・・・?」


 入り口から顔を出したのは見知った顔。なんなら昨日もあった。


「うぇ!?なんでこんなとこにお前がいんだよ!?ってかその尻尾何!?増えてんじゃん!?」


 あーあー質問攻めかい。そういや尻尾減らしてなかった。龍の尻尾が九本ってのも違和感あるか?いや、ヒュドラみたいな感じで無きにしもあらず?

 なんて横道にそれてる間に大将が返事を返した。


「おう!魚は裏に持ってってくれや!弟子に案内させる!」


 そう行って弟子を呼ぶのだが…


「え?大将も腕増えてね?どゆこと?はっ?」


 ジラルドはさらに混乱している。


「まぁまぁ、一旦落ち着けって。仕事終わらせてこい」


「あっ、まぁそうだな」


 私の一言で意識を戻し、弟子について魚を運びに行った。


「さて、と…大将、そろそろ帰るね」


「あ?いや、まあいいか。んじゃ、会計はそこの二人にさせればいいんだよな?」


「うん。よろしく〜」


「あっ!シオンちゃん待って!私も行く!あっ、セバスあとお願い!」


「承知しました。では会計を」


「おう、お前さんもだいぶ苦労してんな」


「いえ、元気なのは良いことですから」


「おう…お前さんも働きすぎないようにな?」


 なんて会話が後ろでなされた気がするけど…気にしない!


 ・・・セバスってなんでこんなにヴィクトリアのために動くんだろ、やっぱ執事だから?


 じゃなくて!


 気づかれないうちに逃げましょ!説明めんどいもん!

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