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転生魔王の私はいずれ勇者に殺される  作者: 神星海月
第三章 神獣激突

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其の百四 神と身の振り

 

 長い長いお話の後。一つの疑問が残った。それは私の存在であり、あの神のことである。だから、ものは試しと竜王様に聞いてみることにした。


『ふむ…話を聞く限りでは、異世界から新たにやって来た神なのだろう』 


「外から来た神?」


『そうだ。創造神による規則を知らない…或いは知っていてそれを破るとすればそれは起源を外に持つ神だろう。この世界に根付いた神は例外なく創造神の影響下に置かれることになるからな』


 なるほど。この世界の神話体系のトップは創造神で、すべての神はその下にいる、と。だからそれに従わないとしたら他所の神話体系の神だってわけだ。


「意外と神様って自由に世界間移動してる?」


『いや、基本はないはずだ』


 あれぇ?


『神が地上で生きるためには信仰によってその存在を保つ必要がある。故にわざわざ信仰を稼いだその地を離れることは滅多にない。信仰する者は有限である以上、他の神と奪い合うことにもなるからな』


 なるほど。


「つまり神が引っ越すことがあるとすれば自分を信仰する者が消えた時。あるいはその地の神の力を削ぐため」


『………そうだな』


 なんだろ、今の間。なんかおかしなこと言ったかな?


『だが、信仰が失われたなら力が失われる前に神界に帰るはずだ。神界であれば信仰などなくとも少なくとも生きていくことはできる。ゆっくりと力を回復させ、余裕ができたならば再び…といったところか』


 なるほど?つまり神様にとって地上はハイリスクハイリターン。力を失う可能性もある一方で一気に信仰を稼ぎ力を手にすることも可能というわけだ。ただ、そうなると尚更変な話だ。


「あのクソ神がわざわざ世界間を移動したのはなぜだ?信仰を稼ぐためにこの世界に来たのだとして、アイツは私を呼び寄せこそすれ信仰を稼ごうとなんてしてなかった。名前も教えず、そもそも会った記憶もない。やったことと言えばせいぜい手紙を寄越したことと私に嫌われることだけ。なんのためにこんなリスクを?」


 わからない。わからない。あの神の考えることがわからない。私を呼んだのは確か世界をメチャメチャにさせるため。人類種族を滅亡の危機にさらすことで底からの大逆転を楽しみたがってたはず。そう、私はアレにとって世界に刺激を与えるためのコマ。だとしたら…


「アレに神らしい思考はない?」


『ぬぅ?』


「私は魔王になれと言われた。人類を殺せと、大虐殺をしろと言われた。それはアイツが楽しむ為で、世界に刺激を与えるため」


 あぁ、そうか。理解した。


「アレは自分の繁栄はどうでもいい。ただ自分の存在を維持できればそれでいい。ただ、そこそこの力を持って、退屈を凌げる位の介入ができればそれでいいんだ」


『ならば尚更この世界に来る必要はないだろう?そんなリスクを冒さずとも──』


「だからだよ」


『ぬ、』


「リスクがあるからここに来た」


『なに?』


「アレは飽きたんだ。元の世界での生活に。だからこの世界に来た。世界間移動なんてリスク、面白そうじゃん」


『はぁ?』


 竜王様には理解できないかな?そうかも。マトモな感性してたらたぶん理解できないもん。


「新たな世界、今まで積み重ねたすべてを失う。もしかしたら向こうの世界じゃ他の神の支配が強すぎて生きてくこともままならないかもしれない。そもそもその世界が面白いかも分からない。けど、確実に今の環境は変わる。そんな…博打。暇に暇を持て余した神様にとっては、それすら愛おしいってことだ」


 もしかしたら、生粋のゲーマーならわかるかもしれない。積み重ねてきた努力の結晶。ゲームの全要素をクリアし、コンプした時。きっととてつもない充実感を感じると同時に虚無を得るはずだ。そんなとき、セーブデータを失う代わりに新たな物語が手に入るとすれば…きっと、彼らはそれを望む。いつかそのことを後悔する時が来るとしても。


『………』


「アイツはその賭けに勝った。移動してきたこの世界では魔王がいて、勇者がいて、封鍵生物なんてのもいて、ダンジョンもある。面白かったはずだ。暫くは介入もしないで遊んだはず。だけど飽きた。暇になった。だから刺激を求めた。禁止されているはずの転生者の召喚。やっちゃだめって言われたなら尚更やりたくなったはずだから」


 そしたら、私はあいつの思惑通りに行動した。力を蓄え、勇者の残影と戦い、魔王と争った。もしかしたら、あの時奇跡的に生き残ったのはアイツの介入があったのかもしれない。


「テコ入れして、鑑賞して、楽しんで、上手く言った。だから、二度目の介入をした。復活に失敗した太陽神に力を分け与え、世界に脅威をもたらした。さぞ愉快だったろうね?ほんのちょっと、自分の力を削っただけで世界は想像以上に変化したんだから」


『・・・ぬぅ…少しは理解できたような気がするぞ。言うなれば、その神は混沌とした世界を望んでいるのだな?』


「たぶんね。結局は私の想像でしかないけど。そう遠くないはず」


 あぁ、そもそもこの世界に来たのはあれか。元の世界で遊びすぎて壊したのかもしれないな。それこそ、子供が想定外の使用用途で玩具を壊すみたいに。


「まぁ、だから私はある意味では世界に破滅をもたらしてるのかもね?」


『そうとも言える…のか?』


「そうでしょ?だってソラの、太陽神の復活は私も手伝った。太陽神を殺そうとするアムルの邪魔をしたわけだし」


『だが、それは主がいなくともそうなる運命ではあっただろう?その神が混沌を望むなら、主がいなくとも太陽神の復活に手を貸すだろう?』


「あー、そーかも」


『だろう?』


 確かに。なんて思ったけど…


「でもねぇ?もう一つ、最大の爆弾はそっちじゃないしねぇ?」


『……あれがどうなるのかは我にもわからん。主の言う通り世界に仇なす者となるかもしれぬし、今のままでいるのかもしれぬ。だが、どちらにせよ主がそう気にするものでもないだろう?』


 気にするものでもない、ねぇ?


「竜王様も随分とお優しいことで」


『何を言う。当然だろう?我は仮にも王と呼ばれていたのだぞ』


 はは、たしかに。


「でもまぁ、そんな慰められる必要もないんだけどねー」


『なに?』


「あの神が呼んだのは魔王、あるいはそれに準じた者。つまり、私の精神はもとより魔王。世界に終焉を齎すのはもともと私の本懐とも言える。だから、世界の敵だとか、あるいは神の敵だとしても。私にとっちゃ何も変わらないのさ」


 そう。何も変わらない。私がイレギュラーで、謂わばバグのような存在で、あってはいけないのだとしても。私は生きる。魔王として。むしろちょうどいいじゃないか。


「私が世界に存在しちゃいけないと言うなら、これ以上世界の運命を狂わせるなというのなら。私を殺しに来ればいい」


『お主………死にたいのか?』


「いんや、死にたいわけじゃない。ただ、それが運命ってだけ」


『運命、だと?』


「だって、いつの時代でも、どんな世界でも、魔王は勇者に殺される。それは変わらないでしょ?」


『ハッ!クハハハハ!!』


 おーう、声でかぁ!咆哮かよ。鼓膜破れるよ?


『クハハ!まさかまさかよ!なるほどのぉ?似た者同士、というやつか?』


「ん?なにが?」


『片や、混沌を望み、自身の命すらベットしてみせる異界の神。片や、魔王を望み、自分の死をもって完成させんとする者。これのどこが似ていないという?種族の差はあるかもしれぬ、だが、狂っている。願いの為に命を捨てるものの恐ろしさたるや……笑ってしまうなぁ?』


「捨てるわけじゃないんだけどなぁ…」


『わかっている。わかっているとも。だがしかし、主がその神を理解できるはずだ。なにせ似た者同士、命の使い方が似通っているのだからなぁ?』


「うげぇ…なんかヤダなぁ」


 アイツと一緒とかヤなんだけど。私アイツ嫌いだし。そんな性格悪くないし。


『自分が魔王であるために世界に破滅をもたらそうとするやつが何を言う』


「うぐっ!さっきは気にするなって慰めてたくせに に」


『クハハ、状況が変わった、というやつだ。その必要はないと言ったのもお主だろう』


「それはそう」


 まぁしゃあないかぁ。実際もう国一つ滅ぼしてるし、魔王だし。


『ところで、お主はこれからどうするつもりだ?』


「急に話のスケール変わったね?」


『仕方あるまい、それとも…我と殺りたいのか?』




 ぁ…




『なんてな…冗談だ』



「………冗談、キツイっす」



『クハハ、仕方のないやつだの。しかしもう少し堪えんか。この間みたく死ぬ気で抗って見せればいいものを』


「冗談。あれは死ぬ気じゃないので、フツーに気ィ狂っただけなんで」


『そうか。にしてもあれだの?フツーに喋るようになったの?』


「……だって気遣うの疲れますし、どうせ何言っても気分で殺されるし、逃げれないし、それこそ反抗心の表れってやつですよ」


『クハハ、そうかそうか。まあそれも良いだろう』


 良いんだ。まぁ駄目でも続けたけど。……いや、ホントにダメそうなら敬語だったかも。


「それはともかく、なんでいきなり私は殺されそうになったんですか?」


『ん?何故って…お主、転生者だろう?』


「はい」


『我は封鍵こそ任されなかったが…こうしてこの地で世界を守る一助となっているわけだしの?そりゃあお主を殺る理由もあるというものだろう?』


「確かに」


 そういやそうだわ。フツーに殺される理由しか無かった。私いま世界の敵だし、竜王様なんて神代の惨劇も観てるわけだし尚更よね。


「ちなみに…どうして生かされてるんです?」


『む?暇潰しだが?』


「え?」


『冗談だ。我がお主を気に入ったからだ』


「そうですか」


『なんだ?驚かないのか?』


「まぁ…この世界に来てから好かれることが多いんで」


 精霊だったり、王女だったり、冒険者だったり。まぁヴィクトリアに関しては私から行った部分もあるけど。


『なんだ、つまらんな』


「……さっきの今でそれは止めてください。怖いんで」


『ぬ? ク、クク…ククク、なるほどな?それは悪いことをしたなぁ?』


 あー、やだ。これアレだ。変なのに目をつけられたかもしんない。


「そ、それで、このあと私がなにするか、でしたっけ?正直なところ悩んでます。もともと力を手に入れるために『天空の国』に行って龍の力をあーだこーだしようと思ってたんですけど、ここで妖力稼ぎも悪くないですし。あとそもそもこの島に閉じ込められてたりするので」


『なに?この島に閉じ込められているだと?』


「はい、見えない壁に阻まれて」


『・・・・・』


 え、何この間。もしかして…


『そんなもの我は知らんぞ?』


「えっ」


 終わった…。

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