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21 謎の助っ人

「カッアアアア!」


 4体に分裂したスカルマーダーのうち1体の大きな爪が伸び、某の心臓を狙った。

 それを躱し、相手の懐へ飛び込もうとした。


「!?」


 後ろから殺気を感じた。

 振り向きざま、後ろから襲った鎌を弾き横へ飛び退いた。


「ケカカカカカ、よくぞ防いだ。ゆっくりと殺してやろう」


 1体に攻撃しようとすると、別の1体が背後を襲ってくる。


「えい!」


 武蔵も恐怖で若干腰が引けているが、レイどのを守ろうと必死になっている。

 その武蔵の背後を別のスカルマーダーが攻撃しようとしてもエントが防ぎ、枝を伸ばして武蔵を守っていた。


「雷よ・・・その光を持って敵を貫け・・・」


 目の前で虎吉が2体のスカルマーダーと戦っている最中、安全な場所でルナが呪文を唱えた。


「【雷矢ライトニングアロウ】!」


 杖の先から【雷矢ライトニングアロウ】が飛び、上空から虎吉の脳天に鎌を突き刺そうとしたスカルマーダーの胸に刺さった。


「カァアア、お前の首を飛ばしてやろう」


 スカルマーダーはルナに突進して、ルナの首を飛ばそうとした。


 ザス!


「お主ら・・・ルナどのの首を飛ばしたら、某が死んで後もお前らを襲ってやる」


 ルナどのを襲おうとした、スカルーマーダーを肩から脇腹にかけて切り裂き、もう一体のスカルマーダーの爪を弾いた。


 切り裂かれたスカルマーダーの胴体はすぐに胴体に戻った。


「どうして?スカルーマーダーは霊的モンスターだけども、ある程度の強い物理攻撃や魔法攻撃で消滅するはずなのに」


 ルナがこの状況を不思議がった。


「「「「ククク・・・俺達はそんなものでは消滅しない」」」」


 スカルーマーダーが着ているローブを開けた。


「あれは、【無効インヴァイルド】!」


 スカルーマーダーの胸骨に描かれた魔方陣を見たルナが叫んだ。


「強力な防御魔法でしてこの呪文をかけると魔法攻撃も物理攻撃も全くきかなくなります」


「それじゃ、こいつらは倒せねぇじゃねぇか!?」


「方法はあります!わたしは、あの魔法を解除する魔法は持っていませんが、どこか近くに彼らを召喚した魔術師がいるはずです。その者を見つければ!」


「それならば、おい武蔵。某がこいつらを食い止める。お前はレイどのと一緒にここから逃げて、魔術師の首を討ち取れ!」


「は、はい!」


「「「「そうはさせん!」」」」


 武蔵がレイと一緒にここから離脱しようとした時、4体のスカルーマーダーがそれぞれ右へ左へと飛び回って我らを囲った。


「ルナどの伏せろ!」


 背後からルナどのを爪で串刺しにしようとしたスカルマーダーを斬った。

 斬られたスカルーマーダーはまた元通りくっついた。


「キャアアア」


 何とかして逃げようとする武蔵とレイに、2体のスカルーマーダーが襲った。


「レイさんに手を出すな!」


 レイを狙ったスカルーマーダーは、武蔵の一撃で胸を深々と斬られ、

もう一体のスカルーマーダーもエントが弾き飛ばした。


 エントが鎧となり、武蔵を守り、武蔵が剣となり、レイを守った。


 だが、スカルーマーダーはまた元に戻ると我らの周りを飛び回り逃がそうとしなかった。


「「「「この国には反逆者(逆臣)共らが集まっている。そいつらを見つけ全員を狩る。それが我らを召喚した者の依頼だ。だが、お前たちは我らの嗜好で殺してやろう」」」」


「逆臣?」


 そういえば、ギルドハウスで出会った老人が申すには、こいつらの背後に何かいると。


「・・・お主らの主君など知らぬ。だた、お主らの愉悦で我らを殺すというわけか?」


「「「「その通り、我らは恐怖に怯えた戦士の顔を見るのが楽しい」」」」


「恐怖に怯える?」


 聞き捨てならん。

 戦こそ武士にとって未来をつかめる絶好の好機。

 故に戦は命をかけて挑まねばならぬ。


(臆したら、良い未来などないのだ!)


 深く呼吸をして感情を整え、身体の奥から真の力をみなぎらせた。


「某の首を討ち取って確かめてみろ。某の顔が怯えていたか!」


 スカルーマーダーに突進した。

 4体のスカルマーダーが某を囲み爪を長く伸ばし、鎌を振って切り裂こうとした。

 

 バキィ、ザン!


 鎌を弾き、爪をたたき折り、滅多斬りにした。

 スカルーマーダーはバラバラになった骨をつなぎ合わせ復活した。


 そいつらを再び、滅多斬りにした。


「この、やろう!」


 何度斬っても、こいつらは消えない。


「【消去エリミネーション】!」


 声と共に、ノム国の地下で出会ったローブを深々とかぶった、あの魔術師が立っていた。


「スカルーマーダーや。自分の胸を見てごらん。」


「「「「なに!?」」」」


 スカルマーダーは自分の胸を見た。

 【無効】(インヴァイルド)の魔方陣が無くなっていた。


「そこの武士。助太刀を感謝するんだよ。そこの・・・騎士の格好をしたあんた。そこの武士を援護するんだよ!」


 魔術師の助太刀で、勝機が舞い込んできた。


「いくぞ武蔵どの!」


「はい!」


 某は武蔵どのと共にスカルマーダーに突撃した。


「カァアア!」


 怒り狂ったかのように一体の、スカルマーダーが鎌を振り上げ、おもいっきり振り下ろした。


 それを躱し、スカルマーダーの首を飛ばした。

 スカルマーダーは消滅した。


「むん!」


 武蔵もスカルマーダーの爪を弾き、スカルマーダーの胸に深々と剣を刺した。


 2体目のスカルマーダーが消滅した。


「「我らの勝ちだ!」」


 3体のスカルマーダーを太刀と剣で倒した。


「ウオオオ」


 残りのスカルマーダーが攻撃を仕掛けた。


「【雷矢ライトニングアロウ】!」


 残りの1体もルナどのの攻撃魔法で倒された。

 スカルーマーダーは全て黒い染みのある灰色の素石となった。


「これは高く売れるのか?」


「はい、スカルーマーダーは凶悪なので、召喚できる召喚師が限られているんです。だからけっこう価値があります」


「そうか・・・あれ、あの魔術師は何処に消えた?」


 助けてくれた魔術師はどこかに消えていた。


「くっ、倒されたか」


 遠くで虎吉達の戦いを見ていた茶髪の男がいた。

 男は杖の先端に加工された魔石がついた杖に蓋をかぶせて普通の杖に戻した。


「とりあえず、撤退・・・!?」


 歩き出そうとしたとき、足が石のように硬くなった。

 虎吉達を助けた魔術師が男に杖を向けていた。

 魔術師は男にフードで隠していたレッドワインの瞳を見せた。


「お、お前は!?」


「あ~あたしを知ってるの?そんなことよりあんたの黒幕は誰だい?」


 魔術師は人差し指を男の顎から胸元まで下ろし指先に魔力を込めた。


「何のことだ?」


「ふーん、まぁこれだけは言っとくよ。あんたは召喚士としては腕も品も2流だね!」


 魔術師は男を魔術で吹き飛ばした。吹き飛ばされた男は慌てて立ち去った。


「あの武士・・・4代目が知ったらどうなるだろうね」


*       *       *


「ルナどの、ロベルトはこの国にいるのか?まさか、あのスカルマーダーに殺されたなんて事はないだろうな?」


「そんなことあったらだめですよ。ロベルトさまにはアイネさまだっているんですから!」


 朝食の時、飯を食べながら周りを見回していた。大勢の冒険者がいたが、その中にロベルトはいなかった。


「おはよう。昨夜はありがとう。やっぱり本物の武士は僕なんかと違って強いね」


 武蔵どのがラウンジに現れ、朝食を持って隣の椅子に座った。


「お主も最後まで戦ったではないか」


「いや、必死だったよ。・・・僕も虎吉君のようにはなれないけど、自分なりに立派な冒険者になってみるよ」


「お主、武士のように強くなりたいのか?」


「武士のようにはなるつもりはないけど・・・。と言うのもこの武蔵って名前、父親があの剣豪、宮本武蔵みたいになれって名付けて、ちょっと抵抗感あるんで」


「宮本武蔵?」


「あ、虎吉君は宮本武蔵を知らないか。宮本武蔵って後の時代に生まれるんだけど日本はおろか世界中の人々が知っている強くて有名な武士なんだ」


「世界中?」


「この世界ではなくて僕たちがいた世界で」


 なんと、某が生まれた時代から後の時代に海を越えて名が知れ渡る武士が生まれるのか。

 某も武術ならそれなりの自身はある。それで戦にでたが、某は周りの武士たちにも名は知れ渡ることがなかった。


「宮本武蔵は生まれつき才能がある人で、僕の才能は・・・」


 武蔵どのはそこで黙り込んだ。


 某は少し考え込んだ。この世界は来て魔術の力で分からぬ言葉も分かるようになる。


 だが、全て分かるわけでは無く某より遙か先の時代の我が国から来たこの者の言葉が分からぬ。

 しかしこの者が申していた”ガチャ”なる言葉が頭から離れぬ。


 この者が先ほどまで遠くに感じていたのが近くに感じている。

 郎党の親に育てられ、自身も郎党になった某はあの戦で精一杯戦った。


 そういうことか。

最後までお読みいただきありがとうございます。


下にある☆☆☆☆☆から、作品への評価お願いいたします。

星1つなど、正直な感想でも構いません。


よろしくお願いします!

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