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20 切り裂きモンスター

 バサァアアア。


 ホリー国の首都、ウェンディの城門の手前で降り立った。真っ白な城壁の青い扉の前に2名の兵が驚いた顔で立っていた。


 某はギルドハウスでもらった、真っ黒なパーセを見せた。兵は一瞥するとパーセを返した。

 ルナどのには会釈しながらルナどのの豪華なパーセを返した。


 この態度の違いは何だ。


「まずはシャドと同じようにギルドハウスに行きましょう!」


 ルナどのの言うとおり我らはホリー国のギルドハウスへ向かった。


「いらっしゃ~い」


 背の高い赤髪の女の主が立っていた。


「あの、よかったら一緒にやらない?お互いに協力してやると依頼をより確実にこなせると思うんだ・・・」


 イーミーの森から一緒にいる武蔵どのが力添えを申し出てきた。

 エルフの村でロベルトと共に盗賊を退治したが、今度は武蔵と一緒になるというわけか。

 この者は某やロベルトと違って勇敢さはない。


 だが某やロベルトが持っていないものを、持っているので、その力を借りるとしよう。


「・・・よいだろう」


「ありがとう虎吉君!」


「でルナどの。どんな依頼を選べば、そのサハリどのに会えるのだ?」


「国以外にも協力を得るために、依頼を出す人もいます。有名な魔術師の依頼を受ければサハリさまに会わせてくれるかもしれません!」


「それならば切り裂きモンスターの依頼などは・・・」


 後ろに茶髪の1人の男が立っていた。

 杖を持っているが魔術師ではない。見たところ足を悪くして杖をついているようだった。


「何者だ?」


「これは失礼。わたしもかつては冒険者でして。しかしモンスターと戦ってこの通り足を負傷して冒険者をやめたんですよ。でも、懐かしくてギルドハウスに時々来て、冒険者にアドバイスしてしまうんですよ。あなた方はこういった依頼はどうですか?」


 杖をつく男が一枚の依頼書を見せた。


 切り裂きモンスター討伐。

 報酬240万エルー。

依頼主 ホリー国。


 壁には同じような依頼がたくさん貼られていた。

 報酬はばらばらだが、内容は同じだった。


「最近、この町で物騒なモンスターが出てきましてね。そいつは真夜中に人間や別の種族を切り刻んでいくんですよ。それで依頼もたくさん出て、国までもがスカルーマーダーを倒そうと100名衛士を毎晩巡回させて国直々に依頼まで出して、そしてみんな殺されましたね」


「なんか怖いな・・・もっと安全なものを・・・」


 話を聞いて武蔵どのは怖じ気づいた。


「噂ではホリー国は大魔術師サハリにも依頼を頼んだとか」


「本当ですか!」


 武蔵どのとは対照的にルナの目が輝きだした。


「あくまでも噂ですが。ですがこの依頼を受ければサハリに会えるかもしれません。少々長話をしてしまいました。わたしはこれで・・・」


 そう言って男は杖をつきながら右足を引きずって去って行った。

 どんな奴かは知らないが目つきが気に入らない。


「虎吉さま、この依頼をやりましょう!」


「まずは、その魔物について知ってる者はおらぬか?」


 某はラウンジにいる大勢の冒険者たちに一人一人尋ねた。


「いや、知らねぇな。俺は別の依頼を引き受けてるんでね」


「その依頼を引き受けた奴はみんな死んだからな、情報持ってる奴は、みんな遙か遠い世界へ旅立っちまったよ」


 誰一人、情報を持っていない。

 敵が全く分からなければ、こちらもどうすれば良いのか分からぬ。


「ちょっと待って、虎吉君」


 武蔵どのが主のほうへ行った。


「マスター。この依頼は国も出しているのならば、その情報を国そのものが教えてくれると思うんです。その人達に会えませんか?」


「そうね~、政府の調査官が・・・あっちょうどあそこに座っている人がそうね。あの人に聞けばわかるわ」


 ラウンジの隅に冒険者とも普通の民とも思えない立派な着物を着た老人が座っていた。


「モンスターを倒してくれるのであれば喜んで教えましょう」


 老人は話してくれた。

 魔物は丑ノ刻(午前1時~3時)に出歩いている者を襲う。襲われるのは街の人間だけではなく、旅人やロード商人、冒険者も襲われ、そしてポリティシャン(政治家)までも襲われた。


 ポリティシャン(政治家)とは何だ。

 尋ねようと思ったが、老人は話をすすめた。


「殺された政治家達の中には重要な政策を任されている者達も今してね。この事件は、どうも何者が裏に潜んでいるような気がしてましてね。それで国としても黙っていられないのです。切り裂きモンスターは何者かが放った刺客なのではないかと」


「それで、切り裂きモンスターが出やすい場所は?」


「切り裂きモンスターを見つけるためには、夜中探し続けるしかないでしょうな」


「そうですか、ありがとうございます!」


「丑ノ刻に動くか・・・」


 とりあえずは宿を取った。ちなみに部屋はさすがに武蔵どのとは別々だった。


 丑ノ刻。

 いよいよこの町に出る魔物退治をはじめた。メタルタートルの甲冑を身につけ、ルナどのに【疾風迅雷ラピッドサンダーストーム】をかけてもらい暗い夜の街を歩いた。

 だが街中をでたらめに歩いているが出てこない。


「武蔵どの。二手に分かれるか?」


 背後にレイどのが召喚したエントが浮かんでいる武蔵どのに分かれて探そうと提案した。


「でもそれだと突然現れたときにどうやってすぐにどちらかが駆けつけるか・・・」


「まぁ一理あるな・・・」


 離れれば離れるほどお互いが分からなくなり、下手すればどちらかが助けること無く死ぬことになる。


「それならばココダランプを召喚しましょう」


 レイどのが呪文を唱えた。レイどのの足下に魔方陣が現れ、白い炎に真ん中が青く光るものが現れた。


「このココダランプは分裂することが出来ます。そしてお互いの位置を把握して、何か起きたときはそれを教えてくれます」


 レイどのがそう言うとココダランプは2つに分かれ、某とルナどの、武蔵どのとレイどのの方にくっついた。


「では、これで分かれて探そう」


 東西に別れ、真夜中のこの街を歩き始めた。


 暗くてよく見えぬが、明るいときに見れば、驚かずにはいられぬであろう壁一面に細かな装飾が入ったいくつもの建物の側を歩き回った。

 しかし、その切り裂き魔物とかいうやつには出会えない。


「どこにいるのだ?」


「今日は諦めますか?」


 ルナどのも探すことに疲れたようだ。

 宙に浮いている青白く燃えるココダランプを見た。


「して、このココダランプはどうやって片方の居場所を教えてくれるのだ?」


「えっと確か・・・ドコダ!」


 ボウ!


 ルナが発するとココダランプが強く光り出し、地面に地図を出した。

 その地図に二つの光があった。


「これがわたしたち。これがレイさんたちですね!」


 突然青白く燃えていた武蔵どのとレイどのの光が真っ赤に燃えた。


「レイさまと武蔵さまに何か起きています。行きましょう!」


 某とルナどのはココダランプが教えてくれた武蔵どのとレイどのの所へ走った。


「あれか!?」


 武蔵どのが剣を抜いている。エントも鎧のように変化して武蔵どのを守っている。

 その後ろにレイどのがいた。


 武蔵どのの前に魔物がいた。その魔物は足が無く、まるでお化けのように宙に浮いていた。


「助けに参ったぞ!」


 魔物はフードをかぶり、大きな鎌をもった骸骨だった。


「あれはスカルーマーダー!」


 ルナが魔物を見て叫んだ。


「あのモンスターは誰かに召喚されて出現するモンスターです。ということは、何者かが・・・!?」


 スカルーマーダーが大鎌を振った。某が太刀で弾き、スカルーマーダーの懐に入ろうとした。


 敵は瞬時にして鎌を振り上げ某の身体を真っ二つにしようとした。


「と、虎吉君・・・」


「足を震わすな。レイどのを守れ!」


 側にいた武蔵どのが震えながらレイどのの盾となった。


 敵が某の足を狙った。

 その鎌の動きが変わり、某の首を襲った。


「むん!」


 鎌の柄を斬ってやった。


 とどめだ!


 突然スカルーマーダーの爪が伸びた。


 なんと、このような攻撃までできるとは。

 

「ならば!」


 スカルーマーダーに攻撃を仕掛けた。スカルマーダーが防戦一方になった。


「虎吉さま、援護します!」


「わ、わたしも何か、召喚を・・・」


 ルナとレイが呪文を唱え始めた。


 そのとき背後からもう一体スカルーマーダーが飛び出し、レイの頭上に大鎌を振り下ろそうとした。


「レイさん!」


 間一髪走ってきた武蔵の剣が振り下ろされたスカルーマーダーの大鎌を弾いた。

 スカルーマーダーはすぐさま次の攻撃を武蔵に与えようとした。


 ガン!


 エントがその攻撃を防いだ。


「レイさん、そのまま呪文を唱えて、敵の注意をそらして!」


「は、はい!」


 レイは呪文を唱えた。

 スカルマーダーは武蔵から、レイに意識を向けた。

 恐怖の中、相手が隙を見せた瞬間を逃すまいと武蔵はエントに強くさせてもらった力でスカルーマーダーを切り裂いた。


 同じタイミングで、虎吉が一気に間合いと詰めるとスカルーマーダーを横一文字に斬った。


「!?」


 斬られた2体のスカルーマーダーが分裂し4体になった。


「「「「我らに切り刻まれるがいい」」」」

最後までお読みいただきありがとうございます。


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