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珍しいこと

 目を開けるといつの間にか日が暮れていた。

 どうやら今日はだいぶ疲れていたみたいでベットに横になってからすぐに寝てしまったようだ。


(お、やっと起きたか)


 起きた俺のことに気づき声をかけてくる。


「今何時ぐらいだ」

(俺がわかるわけないだろ)

そういえばそうだった。


 とりあえず体を起こし電気をつける。

 そういえば電気消したっけ。寝る前は電気をつけていたような気がしたが…。


 とりあえず時間を確認すると7時を過ぎていた。最後に覚えている時間は2時ぐらいだったので約5時間ぐらい寝ていたことになる。


 さすがに寝すぎた。俺今日中に寝れるかな、さっきのこともあるし。


 そんなことを気にしながらリビングに行くと携帯をいじっている妹の陽菜がいた。


「…おはよーお兄ちゃん」


 降りてきた俺に気づいた妹は笑顔で挨拶をしてくる。


「おはよう」

「今日はだいぶ疲れてたみたいだね」

「そうだな。紡久とも話してたしいろいろあったからな」


 最後のあれが一気に体力を減らしてきたように感じるが今は置いておこう。


「…お兄ちゃん外で話すのは危ないよ。変な人に見られちゃう」


 俺が人前で普通に話していると勘違いしているのか心配そうにしてきた。


「安心しろ。口頭では話してない」

「そっちで話してたんだ。けどそれでも危ないよ。また倒れるところ見るのいやだから気を付けてね」

「わかってる。心配させないようにほどほどにするよ」


 一度妹の前で倒れたことがあるから心配なのだろう。俺は妹に近づき頭をなでる。すると陽菜は気持ちよさそう目を細める。

 相変わらずかわいいな。さっきのことがどうでもよく感じる。


(ずっと思ってたんだが妹との距離感近くないか)

「そうか?これぐらい普通じゃないか」


 いつもこんな感じなので気にしたことがなかった。普通だと思うんだけどどうなんだ。


「…?紡久さんと何を話しているの」

「いや、俺たちの距離感が近いって言っているんだが近いと思うか」

「…どうなんだろ」


 俺と陽菜は考え始めるが答えを知っているわけではないから途中であきらめた。


「そんなことより父さんと母さんはまだ帰ってきてないのか」

「今日は遅くなるみたい」

「そうなのか。なら夕飯はどうするか」

「それならもう作ったよ」

「そうなのか」

(お前が寝ているときに呼びに来ていたぞ。俺も声をかけたんだが起きる気配が全くなかった)


 どうやら深く眠っていて二人の声に気づかなかったよう。


「それはすまん。ご飯作ってくれてありがとう」


 俺はお礼を言うともう一度頭をなでる。「別に大丈夫だよ」と妹は言うが、役に立ててうれしいのか「むふぅー」と自慢げにそれでいて気持ちよさそうにしていた。


「じゃあ今から食べようかな。陽菜はもう食べたのか」

「まだ。家で一人で食べるの寂しいから」

「それは本当にすまん。お腹すいただろ」

「別に大丈夫」

「気にしてないならいいんだが…。とりあえず俺も準備手伝うよ」


 二人というのもあってすぐに準備を終える。


「「いただきます」」


 妹が造ってくれた料理はカレーだった。俺はそのカレーを口に運ぶ。


 うん、おいしい。

(おいしいな。最近さらに腕をあげたんじゃないか)


 確かに前よりもおいしくなっている気がする…ん。

 視線を感じそちらのほうを見てみると、じーっと感想を求めるような目でこちらを見てくる。


「おいしいよ。紡久も腕を上げたんじゃないかって驚いているほどだ」

「ほめすぎだよ。それに腕を上げたんならお兄ちゃんのおかげ」

「それなら教えた甲斐があるってものだ」


 俺は両親が共働きということもありよく料理をしてい。わからないことがあればなぜか料理にも詳しい紡久にきけばいいから困らなかった。

 そこで教えてもらったことを教えたら陽菜も料理ができるようになった。

 本当にこいつは何でもできるしいったい何者なんだ。

 …そんなこと気にしても仕方がないので料理を食べ続ける。


「それにしても珍しいね」

「何がだ」

「何か悩んでいるみたいだから」


 俺の異変に気付いていたのか不思議そうに聞いてくる。それにしても…


「俺が悩むのって珍しいか?」

「だってお兄ちゃんが悩むときはあの二人が関わっているときだけだから」


 え…。そうなのか。


(そうだな大抵あいつらが関わっているときだけだ)


 まるで俺の考えがわかっているかのような受け答えをする。

 そんなことよりも俺があいつらのことを無意識的に考えていたことにという事実に驚きを隠せない。


(いつものお前なら自分のことが嫌いなだけでは何とも思わないはずだ)


 …確かにそうだ。いつもの俺なら他人にどう思われようがどうでもいいと思っていたし周りを気にしないような行動もしていた。


(今回はあいつらのことが少しだけ関わっていたからこそそんなに悩んでいたんだろうがいつも通りでいいだろ)


 確かに考えすぎていたかもしれない。望月さんに嫌いと言われようがどうでもいい。

 そう考えた瞬間本当にどうでもよくなった。


「ありがとうな、陽菜」

「私何もしてないけど悩み事はなくなったんだね」

「なくなったっていうよりもどうでもよくなった」

「確かにいつものお兄ちゃんだ」


 取り合えずこれで普通に寝られそうだ。

 やっぱり家族っていうのは意外と見ているもんなんだなって思う。


 今日の夜いつものように寝るとまだ疲れが残っていたのか普通に寝られいつもの時間に起きた。

 

 …紡久と話すだけでこんなに眠ってしまうとは。やっぱり体力をつけようとそう決めるのだった。


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