ホームルーム
「で、あの美人さんとはどこで知り合ったんだ」
入学式のプログラムがすべて終わり教室にお戻ってくると予想通り遼平は質問してきた。
「絶対聞いてくると思ったよ」
「そりゃ気になるんだから聞くしかないだろ。俺の知らないところで女子しかも美人な人と関わっているだなんて気にならないわけないだろう」
正直こうなるは予想していたがどうこたえるかまだ決めていなかった。もういっそのこと本当のことを言うか?。
どうするかを悩み、そして決めて口を開く。
「…別に知り合いってわけではないぞ公園で寝てたところ起こしただけだ」
結局俺は正直に答えることにした。
ここでごまかそうとすればこの後さらに深掘りしてきそうだ。そんな面倒なことは御免だ。下手したらあいつト協力して聞いてきそうだ。
「公園で寝てた?」
なにを言っているんだといわんばかりの表情でこちらを見てくる。俺も逆の立場だったら頭に疑問符を浮かべたに違いない。
「お前の気持ちもわかるけど本当のことだぞ」
「そ、そんなこともあるんだな」
「公園でだれか寝ているなんて特殊なこと普通はないだろうしな。聞きたいことは十分か」
「正直予想外の答えが返ってきたけど十分だ。なんだお前にもとうとう春が来たのかと思ったが気のせいだったか」
遼平はがっかりといった様子だった。
もしかしてさっきにやにやしていたのは俺に彼女ができたと思って面白がっていたのか。まったくこいつは…。
話が終わるとちょうどよく先生が入ってくる。
「それでは皆さん席に座ってください」
先生の指示に従って立っていた自分の席に戻っていく。
「それではホームルームを始めます。この時間では皆さん自己紹介をしてもらいます。自分の名前を言った後に好きなもの、ことなど何か自分のことをについて話してください。では番号順にお願いします」
先生の合図とともに次々と自己紹介が回っていく。そして鈴原さんの番になる。
「えっと私の名前は鈴原茜です。好きなように呼んでください。好きなことは飼っている犬と走り回ることです。嫌いなことは基本的にないですが虫が少し苦手です。これからよろしくお願いします」
自己紹介が終わると席につく。
俺も鈴原さんみたいに無難な感じていくか。うーん好きなことね。
特に趣味をつくって来なかったので俺にとって難題だ。
(無難でいいんじゃないか無難で)
俺の心境を読み取ったのかアドバイスをくれる。
無難、無難にか。うーん。
悩んでいると前の遼平が立ち上がる。いつの間にかここまで回ってたみたいだ。
「俺の名前は東良遼平だ。好きな食べ物は肉系で、嫌いな食べ物は甘いもの。これから1年間よろしくな」
凄くざっくりした内容だったが無難というのはこういう感じなんだろうな。俺もお手本にさせてもらおう。
遼平が席に座ったところで立ち上がる。
「俺は藤川春斗だ。趣味ははそうだな、料理をすることだな。これからよろしく」
なんの面白みのない自己紹介だったがまぁこんなもんだろ。
その後も問題なく進み最後の人の自己紹介が終わった。
「今日はこのホームルームが終わったらそのまま解散です。明日から授業が始まりますが本格的に始まるのは来週からです。なのでこの一週間で慣れて来週から頑張ってください」
先生が話し終わるとそれでホームルームが終わり解散となった。
あれ?もしかして昨日ノートを買いに行かなくてよかったか。
プリントの持ってくるものに書いてあったがどうやら今日は必要なかったみたいだ。
まぁ、備えあれば憂いなしという言葉があるしまぁいいか。
そう考え俺は帰る準備を進めていく。すると遼平がこちらに近づいてくる。
「これから綾乃と待ち合わせをして昼飯を食べて帰ろうと思うがお前はどうする」
綾乃とはこいつの幼馴染のことで名字は佐倉という。
始業式の時に紡久と話していた佐倉という名前を出したが、そいつのことだ。
今日はもう疲れているので帰ろうと思ったが、今日は両親ともに仕事だ。
昼飯を食べるってことならついていこうかな。
「なら俺もついていく」
遼平の提案に頷き荷物をもつ。
「了解、ならさっさ集合して食べに行こうか。俺もうおなかすいてきたわ」
「そうだな。さっさと行こうか」
俺は遼平と一緒に桜のもとに向かうのだった。




