放課後に会議室で
俺だけに理由を話したいということで遼平と一緒に空き教室に来ていた。そこでどうして体育祭実行委員を押し付けたのか理由を聞く。
「わかった。どっちみち決まったことだ。やってやるよ」
「助かる」
理由を聞き引き受けることにした。ほとんど遼平がしたいことのために押し付けられているが納得することにする。
しかし、さすがに俺にメリットがなさすぎる。何か一つぐらいはお願いすることにしよう。
「俺が困っていたら絶対に助けろよ」
「そんなこと当たり前だろ。なんだって引き受けるさ」
俺は遼平が笑顔で言った言葉を聞き逃さなかった。
今こいつ自分からなんでもするって言ったよな。
(その言葉に反応するのはいいが顔に出さないようにな)
紡久の忠告を聞き思わずにやけそうになっていた顔を抑える。
「…やっぱり、ほどほどのものにしてくれ」
しかし、表情を隠すのが遅かったようで訂正が入る。
「なんでだよ」
「お前の笑みを見てたら寒気がしたから」
地味にひどいことを言われる。正直そこまでひどいことは頼むつもりはなかったが考えを改める必要があるな。
とりあえず話が終わったので教室に戻る。
(会議に行かなくていいのか)
『もうすぐ昼休みが終わるから行っても意味がないだろう』
あと数分もすれば昼休みは終わってしまう。今向かったとしても締めに入っているかもう終わっているかのどちらかだろう。
それに放課後ぐらいに先生から実行委員になったことについて説明されるだろう。なので今日は向かうつもりがなかった。
「なんか人少なくないか?」
「トイレにでも行ってるんじゃないか」
そんな一斉にトイレに向かうことってあるのか。人がいないのが気になるがとりあえず自分の席に戻る。
「おかえりー。で理由は何だったの」
席に戻ると早速遼平が話した内容を聞こうとしてくる。
「内緒だ」
「まぁ、そうだよねぇ」
ばらすようなことはせず佐倉もそのことがわかっていたようで簡単に引き下がってくれる。
「そういえば望月さんは?」
遼平がそういったことで俺も望月さんがいないことに気づく。
「先に自クラスに帰っちゃった。私もそろそろ戻るね」
そういうとじゃーねーと挨拶をし佐倉も自分の教室に帰っていく。佐倉も理由が聞きたくて待っていたのだろう。
聞けなくて残念だったと思うが俺の口からは言えない内容だったためこればかりはしょうがない。
「そういえば…」
佐倉は何か思いだしたのか入口付近で立ち止まる。
「次の時間体育になったらしいから急いでグラウンドに向かったほうがいいよ」
「「そういうことは早く言え!!」」
それだったら確かに人がいないのは納得だ。
俺たちは急いで体操着を持ちすぐに更衣室へと向かった。到着したのは最後だったが何とか授業には間に合った。
☆★☆
『本当に面倒くさい』
(気持ちはわかるがやると決めたんだ頑張れよ)
他人事のように言いやがって。
予想通りホームルームに千桐先生から実行委員になったことを報告された。そこで放課後にも会議が行われるということで現在会議室へと向かっていた。
『実行委員で集まって何を話し合うと思う?』
昼の会議には参加せず、高校に入ってから初めての体育祭のためどういったことをするのか全く知らなかった。実行委員ということが分かっていれば情報を集めることもできたがいきなり過ぎてそんなことできるはずもなかった。
(それ俺に聞くのか?)
本当にその通りである。俺と持っている情報は一緒のはずなのについ聞いてしまった。
(はぁー、やっぱり一般的には何の種目をやるのかとかスローガンを決めたりだとか体育祭に関するいろいろなことだろうな)
ため息をつきながらもどういったことをやるのかを予想だが答えてくれる。
『へぇー、そういうのって実行委員がやってたんだな』
一般的なものですら知らないのだから俺がどれだけ体育祭に興味がないのかこの発言だけでわかるだろう。
そんな話をしていると会議室に着く。ドアは開いておりそのまま会議室内に入るがまだ誰も来ていなかった。
ホームルームが終わりすぐにこちらへと向かったのだがどうやら早く来すぎたみたいだ。
とりあえず端の真ん中ぐらいの席に座り本を広げる。
「君来るのが早いねぇ」
そうして時間をつぶしていると女性の声が聞こえてきた。入口のほうへ目線を向けると男女が一人ずついた。
男性のほうは180センチはありそうな身長をしておりかなりがたいがよかった。そして女性のほうは女性にしては低い身長をしていた。
「こんにちは」
「こんにちは、いい挨拶だね」
「……ん」
挨拶をすると女性のほうは元気よく男性のほうはあまり話さない性格なのかぺこりと軽く頭を下げるぐらいで挨拶を返してくれる。
「ごめんね一年生、琢磨はいつもこんな感じだから気にしないでくれ。それより君、ここは僕たち実行委員が今から使うからほかのところで本を読んでくれないかい?」
昼休みの会議に参加しなかったため俺が実行委員だということに気づいていないのだろう。優しい声色で注意してくる。
「自分も実行委員です」
「あれ、そうなの。昼休み参加してたっけ」
「それについては…」
ほぼ強制的に実行委員になったというところは隠し昼休みに参加しなかった理由を簡単に伝える。
「なるほどね、通りで見覚えがないわけだ」
納得したようにうんうんと頷いていた。
「じゃあ軽く挨拶しておくね。僕は小池ましろ。リボンからわかる通り三年生だよ。年上だけど気軽にましろんって呼んでね。そしてこっちが井上琢磨で二年生だよ」
「……よろしく」
「俺は藤川春斗です。よろしくお願いします。琢磨さん、井上さ…」
「ましろん」
「ましろさ…」
「ならせめてちゃん付けにして」
「…ましろちゃん」
いきなりあだ名は難易度が高かったので名字で呼ぼうとしたが、結局押し切られちゃん付けで呼ぶことになった。
「よろしくね藤春くん」
この人さらっと俺のことをあだ名で呼んだよな。しかも呼ばれたことないあだ名を作って。
(もう疲れ気味だな)
『そうだな、引き受けたこと早速後悔してきたよ』
別にあだ名で呼ばれるのは嫌ではないため止めはしないがこういうタイプを相手にするのは疲れる。俺は心の中でため息をつく。
「本当はもっと気軽にしてほいんだけどね」
そういわれるが年上を相手に対して気軽に話すのは苦手であるためそれは難しそうだ。
「とりあえず時間あるし、昼休みどういったことを話したのかこれからどういったことをするのか軽く話そうか?」
「お願いします」
「任せといて」
俺にとって有難い申し出だったためお願いする。すると自信満々に話してくれるのだった。




