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違和感

「二人ともそろそろ上がってもらって大丈夫だよ」


 途中から一人で接客するようになりミスをしないように集中しているといつの間にか時間が過ぎていたようだ。


「「わかりました」」


 そういって休憩室に向かう。


(お前ら一緒に着替える気なのか)

『…あ』


 紡久に言われるまで気が付かなかったが確かにそうだ。そんなことにも気づかないとか馬鹿だろ俺。思わず息を吐く。


「初めてのバイトで疲れましたか?」


 俺が疲れてため息を出していると思ったのか心配してくる。


 もしかして望月さんも気づいていないのか。女子として危機感は持っとくべきだろうと呆れてしまう。


「確かに疲れたがそれ以前に望月さんはどこで着替えるつもりなんだ」

「普通に休憩室で着替えようと思っていますが…。…あ」


 自分で口にして気づいたのか思わず声が出ていた。


「お先にどうぞ」

「ありがとうございます」


 俺はお礼を聞くと一旦ホールへと戻ってくる。今はほとんどお客さんはいないようで店長はなにか仕込んでいた。


「忘れ物でもしたのかい」


 俺一人だけ着替えずに戻ってきたことに気づくと不思議そうに聞いてきた。


「望月さんが着替えるのを待っているんですよ」

「あぁ、なるほど」


 納得したようにうなずいていた。気になったことを聞き終わると元の作業へと戻っていた。


「そういえば店長一つ聞いていいですか」


 俺はバイトする前に聞いていなかったことがあったことを思いだしちょうどよかったので質問することにした。


「なんだい」

「このお店9時まで営業って書いてあったんですけどこれから一人で大丈夫なんですか」

「…もしかして僕前来た時に説明し忘れてた?」

「何をですか」


 店長は作業している手を止め、やってしまったという顔をしながら手で顔を覆っていた。。


「ごめんね。まだこのお店のことちゃんと説明してなかったみたいだね」


 申し訳なさそうな顔をしながら謝ってくる。別に気にしてはいなかったため説明してもらうように言うと前に伝え忘れていた説明を話し出す。


 

「このお店は1時から9時まであるんだけど5時から6時ぐらいになったら交代するような形で入ってもらっているんだよ。だから春斗くんも今度からこの時間に入ってもらうんだけど大丈夫かな」

「問題ないですよ」


 心配そうに言っていたためすぐに問題がないことを言う。俺にとってその時間に入れるほうがありがたい。


 あの日聞けなかった説明を聞き終わるとちょうどよく望月さんが帰ってくる。


「お先ありがとうございます」

「どういたしまして」


 律儀だなと思いながらもお礼の言葉を受け取る。


 そうして交代するように休憩室に入る。そしてすぐに着替えを済ませ、ヘアピンとメガネも外しカバンの中に入れる。


(お前携帯忘れていないか)


 休憩室から出ようとすると注意される。もしかして入れ忘れていたか。そう思いポケットの中を確認すると普通に入っていた。


『ちゃんとポケットに入っているぞ』

(だったら机の上にある携帯って誰のだ)


 机の上を確認すると俺のではない携帯が置いてあった。俺は机を見た覚えはないのだがそこ目に映っていたものを紡久は見つけたのだろう。


 俺はその携帯を手に取る。きっとこの携帯は着替えるときにおいてそのまま忘れたのだろう。

 望月さんの元へもっていこうとするとと連絡が来たのか振動し画面にメッセージが映る。


【稲穂とご飯食べに行くから、いつも通り自分で作って勝手に食べといて】


 つい読んでいしまったがこの文章に違和感を感じた。


『この文章おかしくないか』

(いつも通り作ってというところにか)


 紡久も違和感を持ったのか同じところに疑問を持ったみたいだ。


『そうだ。これじゃあまるで同じ家にいるのに別々に食べているみたいだ』

(実際そうなのかもな。この前買い物をしていた時も一人暮らしのような買い物をしていただろう)


 確かに。そしてあの時一人暮らしに似たようなものと言っていた。もしかして…。


 俺は首を振りその考えを取り払う。


(いいのか)

『あぁ、気にしてもしょうがないだろう。本当に苦しかったら誰かに相談ぐらいするだろ』


 人の家のことに踏み込むわけにもいかないしこんなことを考えても仕方がない。


 俺はその携帯をもってホームに向かう。そしてそのまま望月さんに近づき携帯を見せる。


「望月さんこれ忘れ物」


 そう言って望月さんに携帯を手渡す。


「ありがとうございます」


 俺の予想通り望月さんのものだったらしく頭を下げてお礼を言い携帯を受け取る。


「さっきなにか連絡が来ていたみたいだから確認していたほうがいいかもな」

「わかりました」


 俺は見たことを言わないように連絡が来たことをいった。

 望月さんは携帯の電源をつけさっき来ていたメッセージを確認する。そして読んでいる途中悲しそうな顔をしていた。


「大丈夫か?」

「…はい、大丈夫です」


 首を横に振り悲しそうな顔が消え去るといつもの雰囲気に戻っていた。


 俺たちは帰る準備を終えると店長に「お疲れ様でした」とあいさつをして店を出た。

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