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桜の似合う女性

(そういえば、何を買うように頼まれたんだ?)


 のんびりとお店に向かう途中紡久が聞いてくる。

 

「これだってさ」


 そう言って俺は渡されたメモを見る。


 俺と紡久の視覚は共有されている。基本的に俺が見ているものをこいつも見ている。 

 こいつがいうにはゲームのように誰かの視点に立って、そいつの見ているものしか見えないらしい。

 なので、基本的に口にするよりも見て伝えている。


 他にも味覚も共有している。記憶とか感情とかは別みたいだけどな。


(えっと、牛乳とパンか。明日の朝食用かな)

「そうだろうな」


 何を買うか紡久と情報を共有して俺はメモをポケットの中に入れ周りを見る。


「それにしてもすごいな」


 俺は公園に咲いている桜の木を見る。ほとんどの木が満開で、見るところすべてピンク色で染まっていた。


 桜を見ながら歩いていると公園の中央で桜を見ながら立っている人がいた。


 きれいな人だな…。 


 ついそう思っていしまうほどの女性がいた。桜が散っているのも相まって一つの絵のようになっている。


(見惚れたのか?)

「そんなわけないだろ」


 俺が女性を見てぼーっとしていたせいでそんなことを言ってきたのだろうが、この気持ちが恋ではないことははっきりとわかる。


「だた、あそこまで似合う人もいないだろうなと思ってな」

(ふーん)


 なんか信じてなさそうだが気にしないようにしよう。


「とりあえず、早くお店に向かうか」


 これ以上何か言われる前に俺は公園離れる。


「あと、そろそろ話すなら携帯のほうにするぞ」

(わかった、なら静かにしておくとする)

「そうしてくれ」


 俺たちは外で話すときはなるべく携帯を使って会話をするようにしている。

 外で話すように独り言をつぶやいているのは俺たちから見てもかなりの不審者だ。

 別に言葉にせずとも心の中で話すことはできるが少しずつ倦怠感がたまる。それだけではなく、話し続けていると頭痛も出てくる。

 それを限界まで耐えていると最終的に倒れてしまう。


 なので幼い頃から外で話すならこの方法にしている。

 基本的には必要なこと以外は話さないんだけどな。


 俺はイヤフォンを取り出し携帯とつなげて音楽を聴く。

 とりあえずさっさと買い物を終わらせるか。


 そして俺は、足早に歩を進めていった。


☆★☆


 必要なものを購入し帰る途中俺は公園によっていた。

 なぜかって。それは…


「……すぅ……すぅ」


さっきの女性が、公園で規則正しく寝息を立てていたからだ。


(…すごいなここまでぐっすりと眠っているなんて)


 それは俺も思う。とりあえず、このままここで寝かしておくわけにもいかないため声をかける。


「こんなところで寝てないで起きろ」


 女性の体を揺らしながら声をかける。しかし、眠ったままだ。

 どうしたものか。正直知らない女性だしこのまま帰るのも一つの手か…。


(それは普通に最低だと思うぞ)

「…何がだ」

(いや、俺にはこのまま帰ろうか迷っているよな気がしたから注意しただけだ)

「そんなひどいことするわけないだろう」


 こいつ心で会話していないのによくわかったな。しょうがない起こしてから帰るか。


「こんなところで寝てると危ないぞ」


 さっきより体を大きく揺らして起こそうとする。


「……ぅん…」


 すると少しだけ反応があったのでしばらく待ってみると瞼が開いた。

 状況が把握できていないのか体を起こし周りを見渡していた。


「一応先に言っておくが何もしてないからな。ここで眠っていたから危ないと思って起こしただけだ」


 少し説明したことで状況が理解できたのか一旦自分の体を見てそれからこちらに目を向ける。


「確かに何もしていないみたいですね。起こしてくれてありがとうございます」


 彼女は特に疑うことなくお礼を言ってきた。


「簡単に信じて大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。大抵目を見れば嘘かわかりますしそれにこんなところで寝ている方が悪いですから」


 彼女は特に気にした様子もなく言った。


「まぁ、そんなに眠たかったんならさっさと家に帰って寝るんだな」  


 先程までは影ができて顔を見ることが難しかったが、よく見てみると目の下にくまができていた。


「そうですね、そろそろ帰らないと行けませんね」


 少し顔を曇らせていたような気がしたが気の所為だろうと思い俺は公園を立ち去ろうとする。


「俺はもう帰るから、そっちも気をつけて帰れよ」


 そう言って俺はその場を立ち去る。


(見送らなくていいのか)

「知らない女性にそんな事する義理なんてないだろ。」


 それにしても、本当に桜が似合う女性だったな。

 もう合うことのない女性のことを思い出しながら帰路についた。

 

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