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入学式前日

 明日は高校の入学式。

 そのため、俺は藤川春斗ふじかわはるとは入学式に向けて準備をしていた。


「あ、しまった…。」


 しかし準備をしていると、必要なものが足りないことに気づく。

 昼に買い物に出たがどうやら、買い忘れがあったらしい。


 幸い夕方に始めたから買いに行く時間はまだある。


 どうするか…。


 現在の時刻は、6時過ぎだ。家の夕飯は7時ぐらいで晩飯まで時間はあるが正直微妙な時間である。


 今から買いに行くか、それとも食べてから行くか。

 

 そんなことを悩んでいると頭の中で声が響く。


(どうしたんだ?)


 頭の中で響く声の正体は幼い頃から俺の体に住み着いている紡久つむぐだ。

 俺が生まれた時から一緒にいたわけではなく、突如頭痛と一緒にやってきた。


 あれは本当に痛かった。頭が割れると思うぐらいに。


 そして、少し不思議なのは紡久は、幼い頃から頭がいい。

 こいつのおかげで勉強で困ることはないが、教科書もないのにどこで知識を身に着けているのやら…。

 まぁ、とりあえず謎な奴である。


「買い忘れをしてたみたいでな、今から行くべきか悩んでいるんだ」

(買い忘れ…?)


少し考えるような雰囲気がすると、何か思い出したかのようにあぁ…とつぶやく。


(そういえば、今日の買い物でノートを買い足すのを忘れていたな)


 紡久は俺が何を買い忘れていたのか言い当てた。


「お前もしかして、俺が買い忘れしていること気づいていたのか?」

(気づいていた。でも買わなくてよくなったのかと思って伝えなかったけどな)

「言って確認してくれよ」

(いや、別にいいかと思って、それよりも忘れるほうが悪いと思うぞ)


 なんてひどい奴なんだ…。

 教えてくれたらまた外に出らずに済んだのに。


(まぁ、とりあえず先に買い物行ったほうがいいんじゃないか。まだ夕飯には時間があるみたいだし、後になるほうが面倒になるだろ) 

「はぁ…。それもそうだな。だけど、面倒になるのわかっているならさっきの買い物の途中で言ってほしかったよ、まったく」


 文句を言いながら出かける準備をしていく。


 準備が終わり玄関に行くと、リビングのほうから藤川哀ふじかわあい、俺の母さんがやってくる。


「あら、またどこかに出かけるの?」


 少し首をかしげながら聞いてくる。


「買い忘れをしたから近くの店に行ってくる」

「あら、二人そろって忘れてたの」

「まぁ…ね」


 本当は紡久はおぼえていたんだがな…。


 この会話から分かる通り、母さんは紡久のことを知っている。というよりも家族には知らせている。妹と父にも。 

 最初の頃は驚いていたがそれでも普通に受け入れてくれた。

 普通なら気味悪がるような目でも向けられそうなものだが、全くそんなことはなく紡久を迎え入れてくれた。

 流石に親からそんな目て見られるのは辛いものがあるからな。だから、家族には俺も紡久も感謝している。

 

 ただ友人には話してはいない。正直こういうことは家族ぐらいの縁がないとただの頭がおかしい奴だと思われてしまうだろう。

 まぁ、二人ほどなんとも思わなそうな奴はいるが…。


「出かけるならついでにこれも買ってきてくれる?」


 そう言うと母さんは必要なものが書かれたメモを渡してきた。

 

「了解、ついでに買ってくるよ」


 書いているものを見ても行く場所が変わるわけではなかったのでで断らなかった。

 

 そして靴を履き、扉を開ける。


「それじゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい。紡久も春斗の面倒お願いね」


 俺は面倒を見られる側なのか…。


(わかった、行ってきます)

「わかった、だってさ」


 紡久の声は俺以外には聞こえないので、俺が代わりに答えそのまま家を出て買い物に向かうのだった。

 

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