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三原色  作者: 高ノ崎
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交じり混じりあう色

 高倉佑太は中学校生活というものに、悩んでいた。中三になってからは受験のこともあり、自分の糞編的な成績にうんざりしていた。ここの中学校はクラスが多く、年が変わってクラスが変われば名前も知らないようなクラスメートばっかになる。彼は友達を作ろうとした。しかし、思いのほかできるものだった。そうなってくると次第にクラスになじめるようになり青春というものに、時間を費やせるようになっていった。そして小学校からの幼馴染であった柴畑百美に好意を抱き始めた。百美の席は俺の後ろで、班活動となるといつも一緒に活動していた。百美の事は今までなんとも思わなかったが思春期だからだろうか。百美の顔、体は大人らしくなり女性の魅力を持つようになっていた。そして班活動を通して話している内に、なんか好きになっていた。

 「これが片想いか~。」俺は初めて感じる「恋」という現象に気分が高揚する。だがそれと同時に百美に対する嫉妬心も、少しばかりあった。なぜなら百美は自分と比にならないほど頭がいい。小六の時に偶然視界に入った彼女の通知表には、完全体と言わざるを得ないほどの◎がついていた。佑太は自分の〇ばかりの通知表を見ると自分のみじめさを、思い知らされた。中学生になってからは一、二年とクラスが違い、関係も疎遠になっていたが、中三で二年ぶりに同じクラスとなった。席の場所の関係上、喋ることもしばしばあった。

 同時に、高倉佑太は知らないが、百美は小六の頃から彼のことが好きだった。佑太ののほほんとした性格、気さくさ、優しさに少しづつ惹かれていた。そして中学生となり、思春期を迎えると次第に好きという感覚も変わってきていた。百美は幼馴染で親友の森村樹花にこのことを相談しようか迷ったが、変に思われると嫌なのでやめた。百美は大胆に佑太に近づこうと考えた。今まで自分が本でしか見たことがないようなシチュエーションなのは気が引けるが今は中三。今年で最後なんだと自分に暗示をかければやる気が出てくる。まだ先日始まったばかりの一学期。百美は決心を固め行動に移した。

 「ねえねえ、何やってるの佑太?」

 俺はびっくりした。授業が終わって寝ていたら、突然「高嶺の花」とも比喩できる百美が喋りかけてきたからだ。佑太は動揺したが持ち前ののほほんさを装って答えた。

 「寝てた。」

 百美は「え、授業中からずっと寝てたの?」とからかうように言ってきたが俺は内心、嬉しかった。それから百美と放課終わりまで何気ない会話をした。俺は授業が始まってもさっきの事を考えていた。まさか俺に近づこうとしたのか?それとも俺を騙そうとしてるのか?色々考えたがいずれにせよ嬉しいことには変わりなかった。百美に対する好意が一気に上がった。

 この放課中の一連の出来事を、森村樹花は見ていた。彼女は少し内気で自分から話しかけなさそうだった百美が、佑太に積極的に話しかけているのを見て親友としての葛藤と嫉妬を覚えた。樹花は佑太の事が好きだった。

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