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86.火種の作り方

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https://seiga.nicovideo.jp/comic/58854



 魔法騎士学園にある会議室で、学園内でも有力な女子生徒たちが集められていた。


 これまでファンクラブはフレイ派とヴェイン派の党派が存在し、当初の二つは非常に仲が悪かった。その原因はフレイとヴェインの不仲によるところが大きく、ファン同士も親の仇の如く苛烈な争いがあったという。


 しかし、二人の仲が突然改善したことにより、その戦争は自然と消滅していった。争いなど醜い、好きな物同士を一緒に称え、見守っていこうとファンクラブは手を取り合い、魔法騎士学園の歴史において最も平和な時代が続くこととなる。


 だが、謎の貴族、はたまた平民の英雄と呼ばれるアルトの登場により、その平和は崩されることとなった……。


 生徒会書記を務める生徒が、会議室でそう書き記していく────。


「それで、なんですの? 話によると、アルト様の党派に反対だとか」


 レアが扇子を開き、口元を隠す。

 女子生徒たちが息を飲む。最も身長が低いはずのレアが、どことなく大きく見える。


 それでも、自分たちの平和を揺るがそうとする王女に挑まなければならない。


 フレイ派、フレイファンクラブ当主の女子生徒……ジュラが口を開く。

 

「レ、レア王女殿下……ファンクラブの党派はフレイ様とヴェイン様の二つのみです。均衡が保たれていたからこそ、学園は平和でした。もしもアルト様の党派を作るとなれば、新たな争いの火種になるかと……」

「あら、あらあら! 争いを気にしていらっしゃいますの? 本当に?」


 ヴェイン派当主のサニーが言う。


「ジュラの言う通り、本当です。私たちが争う事を、きっとヴェイン様も望んでないはず……平和が一番なのです」


 サニーに向かって、レアが視線を鋭くする。

 あまりの威圧に、サニーが背筋を伸ばした。


(こ、これが天才王女と名高いレア様の威圧……!)


「争わない? 平和? あなた、それでも本当にヴェインファンクラブの当主なのですか?」


 レアが扇子をパチンッと閉じる。


「ファンクラブの意義とはなんですか?」

「……推しの人を応援するクラブです」


 レアがサニーの言葉を聞いて、鼻で笑う。


「馬鹿をおっしゃい。ファンクラブとは、推しをナンバーワンにするための物でしょう!?」

「っ!!」


 サニーが目を見開く。


「争いをやめた時点で……サニー、あなたはヴェインを応援していないのです」

「そんなつもりじゃ……」

「いいえ。では、今の魔法騎士学園でのナンバーワンは誰ですか?」

「……フレイ様、です」


 レアが目をつぶって、「そうでしょう、そうでしょう」と何度も頷く。

 この事実は、ヴェイン派である生徒たちも認めていた。


 ヴェインは常にナンバーツーであり、先頭にはフレイがいる。

 自分たちの王子様は2番手。それに甘んじている。


 その事実を、レアによって叩きつけられていた。


「自分の推しをナンバーワンにできない方が、当主を名乗らないで欲しいですわ!」

「うぐっ……」


 大ダメージを受けたことにより、サニーは押し黙る。

 ヴェイン様への気持ちは本物だ。自分たちの気持ちを侮辱されたも同然、そのことに怒りを覚えないヴェイン派の生徒たちではない。だが、レアの言っていることは正しかった。


 自分たちは、ファンとして失格だ。


 フレイ派当主のジュラが小声で言う。


「くっ……サニーがやられた……! こうもあっさりと倒されるとは……」


 化け物め……というような眼でレアを見る。

 すると、レアと目が合った。


「おや……あなたもですよ?」

「へっ!?」


 自分に火の粉が飛んで来るとは思っていなかったのか、ジュラから裏返った声が出る。


「学園でナンバーワンのファンクラブ当主というのならば、まさか、()()()()()()()()()()などしていませんわよね?」


 その言葉を聞いて、ジュラが目を泳がせた。

 

 会議室の生徒たちがジュラを見る。

 

「いえ! 違いますよ!? 私はフレイ様一筋です! 信じてください!」

「往生際が悪いですわね……これでどうです?」


 長机に、数枚の絵写真を置く。

 そこには、学園の校舎裏で密会している男女の絵があった。


「なっ……! なぜこんなリアルな物が……!」

「美術部に作らせましたわ。証拠が必要だろう、と思いまして。あなたと彼氏さんは否定するでしょうから」

「でも、まさか見られていたなんて……!」

「学園に耳あれば目あり、特に私の知らないことなんて、ありはしませんもの」


 ホッホッホッと高笑いするレアはさながら悪女のようであった。

 既に敗北し、声に元気のないサニーが言う。

 

「ジュラさん……? この絵写真は本当なんですね?」

「い、いやその……これは……」


 ジュラが言い淀む。

 そこにレアが追撃する。


「確か、ジュラさんの彼氏さんも白髪の学生ですわね……王子様が手に入らぬからと妥協する女なんて、彼氏さんも可哀想でしょう」

「そ、そんなつもりじゃなくて! 彼は良い人なんです!」

「恋愛がしたい気持ちはよく分かりますとも。まぁ、私はアルト様以外など、絶対にありえませんが」


 魔法騎士学園のファンクラブの掟において、彼氏を作ることはご法度である。自分たちの推しである王子様一筋であることが、入隊の条件だ。


 それを、当主であるジュラは破っていた。


 しかも、フレイと同じ白髪の学生だ。


 レアは扇子で静かにトントンと机をたたく。


「さて、では問いましょう。今日は、なんの集まりですの?」


 ヴェイン派、サニーが言う。


「……レア王女殿下、今日はもうお開きに致します。私たちはまず、ファンクラブ内の規律を正す必要があるようです」

「よろしい。ジュラさんも同じですわよね?」

「は、はい……」


 フレイ派から怖い眼で見られているジュラは、肩を震わせていた。

 ファンクラブの掟を破った報復をこれから受けるのだろう。


「まぁ、ファンクラブの争いなど、私がアルト様をナンバーワンにするために作るのですが。まずは潰し合ってもらいましょう」

 

 レアが軽く笑う。

 

 完璧にレアの空気に飲まれた会議室は、本題である『アルトファンクラブ創設に対する反対』に対する意見はなかった。


 これからファンクラブ戦争が起こる。

 フレイ派は粛清が始まり、ヴェイン派は規律が正される。

 

 血のファンクラブ戦争の幕開けであった。


 その出来事を、セシリアはドアの隙間から覗いていた。


「は、はわわ……! レア王女殿下にだけは、私の秘密バレないようにしよう……こ、殺される……!」


 自分がBL本を書いているとか、しかもアルトも加えようとしているとか……バレる訳にはいかない。

 何をされるか分かったものではない……。


 そうセシリアが思うと、ふとレアと目が合う。


「あら……セシリアさん……ふふっ」


 セシリアがその不敵な笑みを見て思う。


(えっ……なに、なんで笑ってるの!? もしかしてBL書いてるって気付かれてるの!? 気付かれてないの!? どっち!?)

 

第七話が更新されております!

宜しくお願い致します!


https://seiga.nicovideo.jp/comic/58854


【とても大事なお願い】


「面白い!」

「楽しみ!」


 そう思って頂けるよう頑張っています!

 ちょっとでも応援していだたけるのなら【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】から【★★★★★】にぜひお願いします!


 それほど読者様一人の10ポイントはめちゃくちゃデカいです……!

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― 新着の感想 ―
[一言] 気付いてて、書いたら没収して家宝にしそう(笑)
[良い点] ここでレア様投下(笑) 言っている事が正論だけど 今までの行いのせいで素直に頷けない [一言] 聖女様の腐ったパワーで 派閥が1つになりそうなw
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