表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/102

8.~ウェンティ視点~


「アルト……アルトは⁉」

「も、申し訳ございませんウェンティ様……まだ見つからないようで……」


 新しい執事は恭しく頭を下げ、癇癪を起されないだろうか不安だった。

 何をされるか分からないため、メイドたちは部屋に入ってこない。


 増幅しきった我儘は、この王国一番と言っても過言ではないだろう。


「早く見つけてきなさい……っ!! この無能たち!」

「は、はい……」


 執事が下がると、代わりにルーベド家の当主がやってくる。


「パパ!! あのね、あの執事たちが使えないの……もっと優秀な執事を連れて来て欲しいの!」

「ウェンティ……アルトの時も同じこと言っていたじゃないか……今の執事で10人目だぞ? ここ数日で早すぎる」

「だってみんな私のことを蔑むんだもの!!」


 男爵という地位は、貴族社会では最も階級が低く下に見られることが多い。

 幼少期に侯爵家、伯爵家の子どもたちにイジメられた過去から、誰よりも見栄を優先し性格が歪んでしまった。

 

 それを助長させたのがアルトだったのだ。

 なんでも我儘を聞いて達成してしまうアルトに甘えきっていた。


「ウェンティ、よく聞くのだ。伯爵家との縁談の話を掴んできた」

「まぁ!! パパ本当!?」

「あぁ! これで無事に結婚できれば、私たちは権力を持つことができるんだ」

「凄いわパパ! で、その方はカッコいいの?」

「あー……まぁそうだな! 体格が良くて、可愛らしい顔立ちだな……」


 ウェンティはなおのこと喜んだ。

 少年のような人なのだろう、と。


「近々、貴族の夜会があるんだ。そこにウェンティと会うことになっている」

「貴族の夜会⁉ 豪華なドレスを着て行ってもいいの⁉」


 豪華なドレス。

 それはアルトが丹精込めて作ったものだった。『王国一、美しいドレスを作りなさい』という命令を忠実にこなした結果にできたものだ。


 それを着て、自分たちを馬鹿にした貴族を見返してやろう、とウェンティは考えていた。


 そして麗しい婚約相手とダンスを踊る。


(これなら、私を馬鹿にする人間なんていないわ! ふふっ)

 

「もちろんだ! お前ならきっと何を着ても似合うだろ」

「やったわ! あとはアルトが帰ってくれば……私の人生は幸せよ……ふふふ」


 しかし、そのパーティーにはウルクも出席予定であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

となりのヤングジャンプ様より、コミカライズ連載開始!
【世界最強の執事】最強執事の英雄譚、始動!!
クリックすれば読むことができます!
― 新着の感想 ―
フラグが立つ様子が目に浮かぶようだ笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ