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67.大物メンバー


 レフィーエ先生の授業を受けてもらうため、俺はサロンにフレイたちを呼んでいた。

 事情を説明すると、フレイが悩んだ素振りを見せる。


「礼儀は必須だね。特に魔法騎士学園の卒業生は社交場に出ることが多い。礼儀や権威を重んじるのが貴族だからね」

 

 フレイが厄介なしがらみだ、と呟く。

 ヴェインが言う。

 

「僕とかは幼い頃から家庭教師とか付けられて、体に教え込まれるから嫌って感覚は少し分かるかな」

「あら、そうですか? 私は一度も受けたことがないのですが……」


 扇をパタパタと揺らしながら、レア王女殿下が優雅に言う。


「そ、それはそれで凄いですね……僕は凄い苦労しましたよ」

「身の回りの人たちと王族の姿を見てましたので、それにアルト様の前で恥をかく訳にも行きませんから」

 

 レアが自慢げに胸を張る。

 

「俺もこの学園の生徒が恥ずかしい目に合うのは見たくないかな」


 フレイは考えがまとまったようで、俺の方へ向いた。


「俺も協力させてもらうよ、アルトくん」

「ありがとう! フレイ!」

「お安い御用さ。いいですよね、レフィーエ先生」


 レフィーエが僅かに顔を沈める。

 どうしたのか、と様子を伺っていると、どこかレフィーエ先生は感動しているようだ。

 

「この学園の問題児フレイ様とヴェイン様、それにレア王女殿下にお力添えいただけるとは……」


 その言葉を聞いたフレイとヴェインが咄嗟に顔を背ける。

 どうやら問題児という言葉に心当たりがあるようだ。


「学園祭では他学園の生徒たちもやってきて執事姿のフレイ様とヴェイン様を見たいと……さらに、バレンタインデーでは大暴動……剣術大会では全男子生徒を二人で倒してしまって……」


 さぞ大変だったのか、喋るたびにレフィーエ先生はため息をついていた。


 フレイが言う。

 

「し、執事姿なのはアルトくんから着想をもらってね!? 売れるかなーって思ってつい……」

「僕はバレンタインデーにもらったチョコの中に、下剤入りのチョコがあったよ……おそらく男子が混ぜたんだろうけど、妬みが多すぎて判別できなかった……」


 ヴェインに関しては可哀想だと思うけど、フレイの場合は故意だ……。


 もしかして、協力したいっていうのはある種の罪滅ぼしがあるのかもしれない。


「アルトくん、どうやるかは決まってるのかい?」

「うん。俺とフレイ、ヴェインが指導役になれば良いかなって」


 たぶん、レフィーエ先生を怖がって指導を受けたがらないのなら、同じ生徒なら気楽なはずだ。

 

「補助にレフィーエ先生が居てくれると助かります」


 すると、それを聞いていたレアが言う。


「あら、アルト様? 私たちもお手伝いしますよ?」

「レア王女殿下とウルクにまで迷惑はかけられないかなって思いまして」


 座ってクッキーを食べていたウルクがキョトンとする。

 レアが首を横に振る。


「アルト様が大変な時こそ、私がいるのです。男子陣から嫉妬の多いフレイとヴェインたちでは、来るのは女性ばかりでしょう? それでは偏ってしまいます」

「確かに……」

「私なら男子生徒たちをまとめられます。逆らえる男性がこの学園にいるのなら、それはそれで聞いてみたいものですね」


 レアは扇をパタパタと揺らしながら、妖艶に微笑む。

 俺は平然としていたが、フレイとヴェインは息を飲んでいた。


 ヴェインがつぶやく。


「……学園の女王」

「はい? ヴェイン、何かおっしゃいましたか?」

「い、いえ! 僕は何も言ってません!」


 「ふふ……」とレアが言うと、言葉を続けた。


「それに、礼儀は相手がいなければ成立しません」

「相手……ですか?」

「はい、アルト様。そこにもう一人、ちょうど暇そうなのがいるではありませんか」


 扇をパタン、と閉めて先端をウルクへ向ける。

 クッキーを食べていたウルクは、パチパチと瞬きすると首を傾げた。

 

「なぜ私を見るんだ?」


 


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