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第六話 仁堂くんの力強い腕♥

 私の目は、暗闇でも見える。

 特に、海底から水面を見上げるのが一番良く見えるんだ。影絵みたいになっちゃうけどね。


 そこに見えていた仁堂くんの姿が、不意に2つに増えた。

 なんで?

 どうして?

 サメたちが、いっせいに仁堂くんに突撃した。


 サメたちが突撃しなかった方の仁堂くん、ぐいぐいと沈んで私に近づいてくる。

 さらにその後を追ってくるマッコウクジラ。

 こいつは、分身の方には見向きもしない。

 やっぱり、魚と哺乳類、アタマノデキが違うんだろう。

 って、イカはどうなんだろうね?

 脳ってあるのかな?


 仁堂くん、今度は黙って食べられていなかった。

 長くてカッコいい腕を伸ばして、マッコウクジラの尻尾と頭に吸盤を吸い付ける。

 そして、その頭の天辺に食いついた。


 途端に、大量の空気が湧き上がる。

 仁堂くんのカラダにも泡が入り、その胴体が膨れる。

 でも、それをも仁堂くんは押し出す。

 あまりの泡の多さに、仁堂くんたちの上で分身に突入していたサメたちはみんな逃げていった。


 赤い血が海水に混じりだす。

 マッコウクジラは必死に仁堂くんを振りほどこうとするけど、仁堂くんのたくましく力強い腕は決して離しはしない。

 ああ、なんてカッコいいんだろう。

 あの腕で抱きしめられたら私、きゃぁぁぁー、だよね。


 元々の体の大きさが違いすぎるから、マッコウクジラ、ついにダウンしてしまったみたい。

 たぶん、カラダに持っていた空気も、吐き出し切ってしまったのだろう。

 仁堂くんの本気ってヤバイよね。

 私、仁堂くんには逆らわないようにしよう。

 もともと可愛い女なんだしね、私。



 さくさくって音が聞こえる。

 そして、私の頭の中に仁堂くんの声。

 「あおり、美味しいから食べておけ」

 って。


 ああ、さくさくって、仁堂くんのくちばしが、マッコウクジラの肉を噛み切っている音なんだ。

 泳ぎよると、仁堂くん、マッコウクジラの尻尾を私に差し出してきた。

 

 「あおり、一番おいしいのは、尻尾の付け根だ。食べてみ」

 ええっ?

 仁堂くん、優しい。


 優しすぎるよぉ。

次話、ごめんね なのです。

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