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第五話 襲撃!


 そうやって見つめ合っていたのに、仁堂くんの目が不意に私から逸れた。

 どういうこと!? って、仁堂くんの視線の先を追ったら……。


 真上から、石が沈むような勢いで、なにかが降りてくる。

 「逃げろ!」

 仁堂くんの声が、私の頭の中に響く。

 「なんでよ?

 なんで逃げなくちゃいけないの」

 「話してる間なんかない。急げ!」

 「嫌よ、話してくれるのが先!」

 私、駄々をこねてみた。


 次の瞬間、落ちてきた黒い塊、仁堂くんの足の1本に噛み付いた。

 そのまま一気に噛みちぎって沈んでいく。

 「頼むから、逃げてくれ。

 このままでは共倒れになってしまう」

 「嫌、私、仁堂くんと一緒にいる!」

 今度は駄々じゃない。


 今度は浮上してきた黒い塊が、仁堂くんのもう1本の足を噛みちぎって浮上していく。

 「あおりを守りながらは戦えないんだ。

 お願いだから逃げてくれ」

 「嫌っ、嫌っ!」

 私が言っている間にも、3本目の足が仁堂くんから失われた。


 仁堂くんの目から力が失われた。

 「このバカ女ぁ」

 そうつぶやいたのが聞こえた。

 「なによっ!

 バカじゃないわ」

 言い返している間に、さらにもう1本。


 仁堂くんのカラダが沈み始めた。

 もう泳げないんだ。

 私のせいだっていうの?

 違うよね!

 そもそも噛み付いてくるあの黒いのが悪いんだし、きちんと説明してくれない仁堂くんがもっと悪い。


 それがなんでわからないのよっ!?



 仁堂くんの血の匂いを嗅ぎつけたのだろう。

 サメまでが姿を現しだした。

 私たちの周囲をぐるぐると回りだす。


 「これで最後だ。

 あおり、海底に向けて逃げてくれ。

 お願いだ」

 ……仕方ない。お願いされちゃえば、言うことを聞くしかない。


 私、大きく息を吐きだして、一気に沈み込む。

 仁堂くん、逃げられるのかなぁ。


 黒い塊が海底から浮き上がって、仁堂くんに襲いかかるのが見えた。

 すれ違った姿からして、あれはマッコウクジラってやつだと思う。

 大きな頭から、これまた大きな口がぱっくりと開く。

 サメも、仁堂くんの周りを回る輪を縮めていく。

 あああっ!

次話、仁堂くんの力強い腕♥ なのです。

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