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第四話 再会、告白

 どこまで沈んでも、海底にたどり着けない。

 私のカラダも異常を訴えてはこない、

 なんかもう、どうでも良くなって、ひたすら沈んでいく。



 不意に、私のカラダにそっと何かが触れた。

 なによっ?

 私が「痴漢っ!」て叫べば、人生終わりなんだからね。

 そう思って、目を開ける。


 暗闇の中、それでも私の目は見えた。

 白い吸盤のついた腕。

 位置的に、どう考えても私のものではない。


 足を動かし、息を吐いてカラダを回す。

 ……いた。


 ああ、私、こういうカッコしているんだぁ。

 しみじみと思う。

 これはもう、ナイスバデーは持ちようがないわー。

 細く美しい指も、長くきれいな髪も、すらっとした足も。

 伝説の美少女と呼ばれた美貌も。


 ……あのね。繰り返し言っているけど、本人が言うんだから、間違いない真実なのよ。


 で……。

 同族間だと、意思の疎通、できるんだね。イカでも。いや、クラーケンでも。


 ぴぴぴぴぴって、相手の考えていることが伝わってくる。

 で……。

 いきなりわかっちゃったんだけど、神様、私のお願いを聞き届けてくれたんだ。

 

 「もしかして、仁堂くん……」

 「ひょっとして、あおり……」

 再会は劇的だった。



 仁堂くんと私、たくさんたくさん話をした。

 だって、これを奇跡と言わずして、なにが奇跡だろう?

 死んじゃったと聞かされていた仁堂くんが生きていて、私も同じ存在になっていて、この広い海で巡り会えたんだよ!

 舞い上がって当然じゃん!


 2人で……、うーん、2匹でとは言いたくない。ましてや、2杯なんて、絶対イヤ。だから、2人っ!

 そう、だから2人で視線を合わせながらゆっくり泳ぎながら話したの。


 仁堂くんの目、大きくてとてもステキ。

 私の目も、もう自慢の長いまつげはなくなっちゃったけど、それでも綺麗だって。


 照れてしまって、つい早泳ぎになってしまう私に、仁堂くんってばらくらく追いついてきた。

 そして……。

 「人間だったときから意識していた。これからも一緒にいてくれるかい?」

 って!


 このときほど、クラーケンになったことを恨めしく思ったことはないわ。

 可愛く、うなずくこともできやしないじゃない。

 目をつぶって仰向いて、キスをねだることもできないじゃない。


 でもね、この深海では、2人を邪魔する存在なんかいるはずがない。

 それに、仁堂くんにも人間だったときの記憶があるならば、イカに浮気なんかしないよね。

 そこは、良いこととして認めなきゃね。


 「……はい」

 そう返事をして、私、仁堂くんとの泳ぐ距離をちょびっとだけ縮めたの。

書いてて、こう、恥ずかしいですねぇ。


次話、襲撃 です。

やはり、恋には障害がつきもの。

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