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第二十話 大騒ぎ


 翌日、同じことを繰り返した。


 釣り船に乗っている皆さんの反応から、穏田先輩の出現はネットとかで知れ渡っていたことがわかったよ。

 驚きはあるものの、皆さん、用意していた機材を取り出して、穏田先輩の撮影を始めている。

 で、船が傾くほど、穏田先輩が見える側に人が集まる。


 穏田先輩、胸鰭を上げて、ふたたび深海に戻る。

 前回は悲鳴が上がったけど、今日は歓声ばかりだ。

 2日目にして、先が明るくなってきた。



 3日目。

 船の数が増えている。

 あまつさえ、そのうちの一隻にはきれいなマイクを持った女性と、カメラクルーが乗っている。


 仁堂くんが、穏田先輩に釘を差していた。

 「先輩、まだ先輩の保護体制はできていないと思うんです。

 ということは、今日あたり、ちょっかいを出してくる馬鹿者がいるかも知れません。

 今日は長居せずに、あいさつしたらすぐに戻ってきてくださいね。

 まして、釣り船でない船がいますから、先輩のあとを追いかけてくるかもしれません。

 そうなったら、あおりと僕も魚探に映ってしまいます。

 追いかけてこられたら、すぐに深海に戻りましょうね」


 穏田先輩、素直にうなずいてくれた。

 「俺も、そろそろ怖いと思っているんだ。

 ただ、馬鹿なことをする奴がいて、そいつが炎上して、初めて俺は安全になると思うんだよね。

 だから、ちょっとしたことならば、受け止めてくるよ」

 なるほど、そういう考えもあるね。


 「先輩、その考えは良いと思いますけど、怪我だけはしないでくださいよ」

 仁堂くんがそう心配をする。

 そうだよね。

 そう大きくなくても、たくさんのサメに囲まれた恐怖が蘇る。

 私たち、大きすぎるがゆえに、危険もいっぱいなのだ。

 たくさんの魚たちに、泳いでいるのに身を少しずつ削られるように食べられてしまったら、さすがに私たちも死んでしまう。

 出血は、そのきっかけになりうるんだ。


 「おう、ありがとうな。

 気をつけて行ってくる。

 そして、なにかあったら、垂直に深海に戻るよ。

 お前たちも、見つからないように撤収してくれ」

 「はい」

 私、仁堂くんと声を揃えて返事をした。


 頑張ってきてくださいね、穏田先輩ー。

 そう言って、私と仁堂くん、手を握りあってどきどきしながら見守った。



 結果として、穏田先輩、無事に戻ってきた。

 船の上では、大変なことが起きていたけれど。


 迷惑系とか不謹慎系とかだと思うんだ。

 カメラを回しながら、釣り竿の袋から銛を出して、先輩に投げつけようとしたヤツが……。

 で、袋から銛を取り出した瞬間、周りにいたたくさんの人たちがそいつを袋叩きにしていた。

 きっと、乗船したときから態度がおかしかったんだろうね。

 危なかったのは危なかったけど、実質的に先輩にはなにも起きなくて済んだ。


 私、怖さのあまりにどきどきして、ちょっと泣いちゃったよ。

 仁堂くんも、びっくりして息を呑んでいたし。


 テレビカメラも、そいつと穏田先輩を交互に撮っていたから、今晩のニュースはもう決定だと思うんだ。


 穏田先輩は、「計画通り」って言ってたけど、もうこんなことは起きないで欲しい。

 クラーケンになってから、こんなに恐ろしいと思ったのは初めてだよ。

次話、もう大丈夫っ。

なのです。

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