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武侠少女!絹之大陸交易路を往く!?  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
2章
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可小姐はけったいな事をするね?

(大姐、凄い事が分かった。魂は増える、今大姐の魂は凄く濃い。体に納まりきれない魂は足元から零れ落ちてる、凄いよ大姐!)


 ふーんそうなの?足が生えたってのは?


(いや、凄い事なんだよ、何で感動しない)


 ごめん、話が飛びすぎていて、凄いのか、どうでも良いのか、判断がつかない。

 それより、可小姐、足が無かったの?白子と云う病気で、体が弱いとしか聞いていなかったから。


(いや、足の部分の魂は黒三に注いで無くなっただけだから。その部分が戻った)


 ?何でそんなけったいな事した?


(けったい言うな、黒三はそれで落ち着いたんだから、それより黒士が見える?)


 あれが黒士?まるきり普通の黒狗だよね。


(うん、黒士はほとんど動物靈、犬や狗やらが多い。大姐、手を伸ばして。零れた魂?を三や士に注いだから、大姐にも士が見える様になったけど、どうやら支配率は別物みたい)


 何か難しい事言って、煙に巻こうとしてない?


(まあ、手を伸ばせば分かるよ)


 言われるままに手を伸ばすと、士がやって来た。形としたら頭を撫でている格好になる。


 ()()が手を伝わり士に注がれたのが分かる。


 今のは?


(三にやったのと同様に、私の足の魂を注いだ。………うん、分かった)


 何が?


(……小三の時もそうだったけど、大姐には士の意識は伝わらないみたいだね、やはり、私の魂だからかな?)


 そんなに気前よく魂をやって大丈夫なの?可小姐が消えたら嫌だよ。


(あら嬉し♪こういう所は大姐は可愛いね♪大丈夫、魂は増える事が分かった。……本当に凄いね、もう元通り……?魂って何なの)


 何かまた難しい事考えてる。まあ、可小姐が大丈夫なら良いや。


「どうした小馨。そこに何か有るのか?可馨か?」


 黒士だけれど、どうしたものか。取り合えず手は下ろす。


 可小姐、わたしには難しくて説明出来ない、替わって。


(了♪)


「母上、黄、凄い事が分かりました。今胡大姐が踏んだ兎歩経絡で、私達の魂が増大しました。どうやら絡と魂は相関関係に有るようです」


「うん?記憶にあるぞ、誰からだったのか、または書籍からの知識だったのかは定かではないが、内絡と寿命の関係について、聞いた覚えが有る」


「本当ですか母上。もし書籍、資料の類いでしたら読んでみたいのですが」


「済まないな、可馨。出来る事ならそうしてやりたいが、多分当主資料だ。読ませる事は出来ない。口頭で答える事は出来るから調べておこう」


「有難う母上。今の私は手探り状態で仮説実証をしているだけだから、不安が大きいのです。先達の考察だけでも助かるのです」


「可馨様、大層賢く成られました。読書をせがまれた頃が大昔に感じます」


 そこに霍家宰がやってきた、伝言だ。毋様が来客と出掛ける事と、文楽堂なる書籍店主が商品を持ってきた内容だ。


 最初わたしには関係ない事だと思っていたが、文楽堂とは、黄学習学問所の門前市でわたしが目敏く見つけた任侠冊子の扱い店で、黄姐が届ける様に指示していた。


 本来なら届けて終わりだけど、似た様な冊子が有れば一緒に届ける様にと指示していたので、そちらも持参したようだ。


 わたしが兎歩経絡を面白がって踏んだため、時刻はかなり過ぎており、区切りよく終練とした。


 わたしが商品を検分するため、文楽堂は応接室に通されていた。出入りの商人は小門脇の玄関内室に通されて、内容により、用人、下人が対応する。


 本宅応接室に通すなど、よほどの大口取引で無い限りまず無い


 なので文楽堂の店主は、緊張気味だ。

 黄姐が先払いで入室する、次いで用人、霍家宰、母さま用人、わたし、母さまだ。


 まさか当主自らが検分するとは思わなかったのだろう。文楽堂は跪いて、挨拶だ。


「文楽堂と言ったな、何でも黄家と付き合いが古いとか。書籍を扱うと聞いたが、娯楽本が主体なのか?」


 本宅応接室に通した商人だ、対話に家宰、用人を挟む事はしない。


「はい、黄家だけでなく、複数の版元とも昵懇にさせて頂いておりますので、人気の娯楽本は多数取り揃えております。勿論同業の伝が有りますので、およそ出版された書籍ならば大概の物が入手可能です」


「そうか。文楽堂、娘が気に入った冊子が有ると聞いたが、それらか?」


「いえ、お嬢様がお気に召されたのは、こちらの冊子です、先日出版されたばかりの新本です。ここからの冊子は、同作家の物や、同系の活劇物、任侠物となります」


 ざっと目を通した、連続物の長編冊子が目に付く


「どうだ、小馨、気に入った物は有るか」


 有る。連続物の冊子は先々王朝を舞台とした武侠?物だ。黄姐が持ち込んだ私物にも有った物で二、三回読み返した。


 黄姐は三巻しか所持しておらず、続きが気になっていた。

 ただ、二十冊近くあり、躊躇われる。


「小馨様、こちらの水塞虎伝は、愛読されていた様でしたが、如何ですか。

 あれ?後伝も、文楽堂、これは水塞虎後伝、稀覯本ではないのか?」


「お目が高い黄様。ただこれは写しを版に起こした物で原本ではありません」


 興味が引かれる。わたしの感覚では水塞虎伝は任侠、武侠とは言いがたいが、展開が大胆不敵で面白いのだ、黄叔叔からは、実在した盗賊団を模した話だと聞いた。


「はは哈、小馨、目移りしているのか。文楽堂、全て買い上げる」


 驚いた、黄姐から紙製冊子は高価と聞いている、母さまを見上げた。


「驚く事か小馨?読んでみてお勧めを教えてくれ、俺も読んでみよう」


「有難うございます母さま、どれも面白そうで迷っていたのです。今の所の一押しは、この新版本なのですが、これは連続物でして、前巻は手元に無いのですよ」


「実家の書庫です、明日持ってきましょう」


「いや、それでは小馨が読み返したくなった時に不便だ。文楽堂、前巻の在庫が有ればそれも持ってきてくれ、俺も読みたくなった」


(鶴の一声ね、それより大姐、随分流暢に話せたね)


 それがね、集中と言うか言葉の繋がりが即座に浮かんでね、考えが直ぐに出てくる。兎歩経絡の効果かな?


(だとしたら凄く汎用効果がある。うん、真面目に研究する事にするから、大姐も手伝って)


 分かった。


「文楽堂、当家の出入り許可を出そう。黄、小馨の学習状況に見有った書籍選定を頼む、文楽堂の窓口となれ。俺からも注文するかも知れんから丁度良い」


 “分かりました”と“有難うございます”の返事が聞こえた。


「どれ、小馨。湧水池に睡蓮が咲いていた、鑑賞しながら休息をとろう。霍、手配を頼む、小馨は甘物を好むから一緒にな。では行くか、文楽堂、大儀であった」


 そう言うと、母さまはわたしの手をとる。

 皆の送礼を受けながら、わたし達は応接室を後にした。


 本当に母さまはわたしに激甘なのだ。


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