表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武侠少女!絹之大陸交易路を往く!?  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
2章
65/156

ありがとう、胡姐……大姐。

 黄学習学問所を路なりに南に下ると、東西に抜ける遨大道りに出る。


 そこから西に進めば遨家に着く。目印は必要無い、敷地は広大だ、前方に目につく塀は遨家の物だ。


 瓦積の目立つ境界塀だから見間違え様がない、町割区画と云う広大さで瓦積塀が続いているのだ。


(こうして見ると、三って愛敬がある顔だねぇ)

(そうかな?不細工な虎みたいな狗?適当な動物が居ないから比較にならないけど、この子はブスだよ)


(三ってメスなの?)


()()()の主格は、歳老いて餓死した動物靈だね性別は分からない)


(何?その主格って。それに今現在ってどういう事、ブスってのは可小姐の感覚からするとって事?)


(士もそうだけど、芯になる靈に沢山の靈や霊が纏わり憑いているのが黒靈だからね、その芯がたまに替わるみたい。この数日で分かった。それより、胡大姐にはこれが愛敬有る様に見える事が驚きだぁ)


(そうかな?不細工だけど、顔の造形が丸っこくて可愛い感じだけど。士が見えないのは何で?)


(本来は見えない物なの。でも、後で見える様にするね)


 この娘の魂が濃い理由が大体分かった。

 この子は兎歩で歩いている。おそらくそれが原因だ。


 前を行く李や隣を歩く黄は、連経歩で歩いている。一歩枚に魂?が大地を往復しているのが見える。魂と称したけど、分からない。似てはいる。


 胡娘の兎歩は大地との魂?の往来こそ無いけれど、呼吸に合わせて魂が体を循環している。

 血流で魂が循環しといるのかと思いきや、不定期に止まる事がある。


 止まる時は、兎歩を止めていたり、私との会話に夢中になったりした時だ。


 兎歩は聖王が編み出したと伝えられている。聖王の伝説は伝え聞いている。


 三日三晩歩き続けたとも、歩みにより大地を震わせたとも、200才まで存命したとも。


 その聖王が編み出した歩法ならば、実践すれば魂が濃くなる事も頷ける。


 現に極拳使いは、皆健康で長生きだ。これは、他流には無い強みだ。実戦武道で有りながら、健康体術でもあるのだから、泰平の今日では門弟確保に大きな強みとなる。


 話が逸れたが、兎歩も研究対象とする事にしよう。今日は、収穫の多い日だ。



 しかし、母上も心配性だ。私達の護衛にざっと20人も供を付けている。


 この子は気がついていないだろうけど、前後左右に通行人に紛れて蔭供が付いている。


 士はそうした動きに敏感だ、狗、狼、だろうか、いずれ役割分担を果たす獣の靈が芯だろう。



 色々と分かった事だが、本来ならば人霊は黒靈に()()()()。昇天、と言うのか、私は輪廻の輪に戻ると理解しているが、あまり現世に留まらない。

 強い執着から現世に留まる事もある、だけど基本、霊は人に見えず相手にされない。


 だからなのか、そのうち消滅する。


 人は思考が高等過ぎるのだろうか。思考が浅い子供や動物の類いは、単純な思いからか黒靈に成りやすい。前にも考察したが、餓え、恐怖、絶望。が思考の芯に成りやすい。


 一定年齢の人は、克己、諦念、代替、など別方向から問題解決を図る、つまり頭が良いので忌避すべきは忌避し、回避すべきは回避するのだ。


 つまり、


 ………霧散する黒靈とは、現世に留まる事を諦めたのでは……


 小三の件を思い起こす。小三の意識が薄れ、他の黒靈の支配が弱まって、存在を諦めた黒靈が離脱、消滅を選択したのでは。


 小三もそうだったが、彼等は、()()()()()()()

 いや、予想は着く。現世に留まった時から、(ことわり)から外れたのだ、輪廻は無い。だからただ、消滅したのだろう。


 ………嫌だ、消えたくない………


 小三達を看取り、分かった。


 私はいずれ、彼等の様に消えるのだ。それが理から外れた者の末路だ。


 ………怖い、分からない事が怖い………


 この子の魂に紛れる事は、賭けだった。どうなるかは、分からなかった。


 予断は許さないが、今の所は賭けに勝ったと言えるだろう。


 このまま、私は()()したい。その為には………


(なんか、難しい事を考えているみたいだけど、可小姐はずっと一緒だよ。わたしは姐なんだから小姐を助けるよ。たしか(てい)と言うんだよこうゆうの、叔叔に教わった)


 驚いた、そうだった。心が繋がっているのだから、考えていることは通じてしまうのだった。


 でも……


(いや、いや、いや、悌は目下が目上にする事だから。うん、なら合っているのか)


(わたしが姐だから、合ってない。そうじゃなくて兄弟仲が良いと言いたかった)


 それは分かっている。この子は性根が優しい。


 一瞬でも浅ましい考えをした自分が恥ずかしい。


(有難う、胡姐……()()


 私の()()、やはり他を当たろう。……導師に造らせよう。




 帰宅した。大通りに面した正面門はこの時間は解放されている。


 極武館に通じているからだ。

 午後の部開始の未の初刻(午後1時)から午後の部終了の申の初刻(午後3時)までは開門している。


 因みに午前の部は巳の初刻(午前9時)から午の初刻(午前11時)だ。



 遨家の私邸にも通じているが、二ヶ所ほど敷地内関を通過しなければならないので、正式な所用で無い限り、正面門から出入りしない。


 東塀の小門の小玄関から家人は出入りする。

 当然遨家一族は小門を開門させて出入りするので、小玄関は使わない。


 妙な造りだと思うだろうが、元々は極武館側の敷地が遨家の敷地で、こちら側は当代になって買い足された居住区域だ、なので修業道場である極武館とは分離した形となる。


 この東塀、塀沿いに北に進むと下人用の勝手口があり、その脇がごみ捨て場だ。


 尤もごみ捨て場と言っても、貧民に食品提供する場でもあるので、清掃は行き届いている。


 小馨にとっては思い入れのある場所だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=55314453&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ