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武侠少女!絹之大陸交易路を往く!?  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
1章
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健啖な事で何よりだ、蟹粥は気に入ったぞ

 昨夜は、すっかりご馳走になった。


 今日は旅支度の買い物だ。

 とはいえ、広州まで陸路旅をしてきたのだから、買い足しだ。


 衣類は揃っている、予備の馬革の沓は(なめ)し終えた。


 外傷膏薬、打ち身薬、熱冷まし丸薬、解毒丸薬二種(水当たり用、食当たり用)、包帯。これは買い足したい。


 それから、日持ちのする保存食。

 海路だから湿気に強い塩漬けの乾物と、砂糖漬けの乾物を、某の店で購入しよう。


 折角の砂糖の産地だ、甘物乾物は外せない


 あと、街中を散策して目に付けていたのだが、

 胡人の商人が纏う外套が気に入った。

 生地はおそらく綿だが、目が詰まっており、多分乾性油で染めてある。


 適当に話かけてみると、幸い言葉が通じた。


 何でも、外国船の帆布から作られており、油によって、多少の雨なら防水するらしい。


 蝋を塗れば更に効果的だそうで、胡人経営の衣服店に大体売られているらしい。


 周物品卸では、まだ扱っておらず適当に購入しておこう。


 朝食を済ませて、客用応接室でマルコ君とゆったりと緑茶を飲んでいると、某がやって来た。


 某には、胡人の衣料店を案内してもらう事になっている。


「周兄、昨夜は世話になった。広州料理をすっかり堪能した。有難う」


 本気で堪能した。件の子豚の丸焼きだが、何でも専用の炉で時間をかけてじっくり焼き上げるそうで、本来なら予約制料理だ。


 別の予約客の物を先に回して貰ったそうで、そちらの分の代金も周家で持ったらしい。


 美味かった、ただ焼くだけではなく、専属の料理人が付ききりで火加減を調整し、皮まで香ばしく焼き上げるのだ。絶品だ。


 また、蟹粥だが……


(はいはい、そこまで。大姐、貴女蝉の脱殻をオヤツ感覚でバリバリ食べる癖に、美食家気取りはしない)


 ?蝉の脱け殻は、薬の材料にもなる食材だぞ。

 夏場は簡単に入手できる、オヤツだが?


(……もう馴れたけど、貴女の悪食が理解出来ない。態々選んで食べなくても)


 ?そうか?まあ、良い。


「喜んでもらえたなら何よりだ。しかし胡嬢は健啖だな、そんな小さな体のどこに入るんだ?」


「そうか?普通だと思うが」

(いやいやいや、それはない、もう、本当に)


「周勇さん、ご馳走になりました」


 なんだかんだで、マルコ君も葡萄酒を飲んでいたからな、皆、健啖家だ。


「やはり西域の血筋は酒精に強いな、俺は少し酒が残ったよ」


「兎歩経絡で抜けるよ、試してごらん」


「それは良い事を聞いた、早速やってみよう」


 南遨老師に聞いたが、こちらで強兎歩をやらないのは、兎歩経絡を徹底するからだそうな。


 経寄りの経絡を下手に癖にするより、基本経絡を覚えさせる為だそうだ。


 多分、南遨老師は練経比べの経験から、経絡を重視したのだろう。


 成る程、同流派でも指導者如何によって、癖の違いは有るものだ。


「胡嬢。これが公司証だ、確認してくれ」


 木札を渡された。偽造防止の為、文面は焼き印だ、手形とそれは同じである。


 名前の所が墨書きで、被る様に周公司の朱印が捺されている。


 名前を削り落として、成り代わりを防止する為だ。これも手形と同じだ。


「手数を掛ける。これは推薦状だ」


 今度は、わたしが周兄に書状を渡した。


 南遨老師宛ての入門推薦状だ。周某の一番下の妹で、昨夜あれから面会したのだ。


 本来ならあり得ない無礼なのだが、何せ大人もわたしも、すっかり酔いが回り意気投合したのだ。


(貴女が、“推薦するからには、本人を見たい”って騒ぎはじめて、大人も“それは道理だ”となったからね、可哀想に、朱華娘々睡眠中だったのに)


 いや、名前が朱華だったからね、遨家二華としては、同名だったら会わねば嘘だ。


(貴女は赤華で、朱華じゃないでしょが)


 細かい事は良いんだよ!


 周大人に渡すべきなのだろうが、何せ某は高師範の門弟だ。


 大人から南遨老師に、直接面談依頼して娘の入門となると、高師範と周某の面子が潰れてしまう。


 周某から高師範へ、それから南遨老師へ話が通らないとまずい。


 いや、本来ならこの流れもおかしい。老師に直接入門依頼する事自体が、無礼とも云えるのだ。


 一度高師範の門下に入り、高師範から老師に推薦されるのが筋なのだが、


 そこは、すでにわたしが名乗ってしまっている。


 元とは云え、本家次席師範で有り、舅々(ヂィウヂィウ)(ヂィー)の間柄が周知なのだから、わたしの推薦状を軽く見る事は出来ない。


 見られた場合、わたしは遨家の面子にかけて、当事者と果たし合いをしなければならない。


 この様に、武門、武林一門の総帥、当主に弟子入りする事は重いのだ。


 幼少期に聞かされた、黄姐の言葉を実感する。

 老師個人の門弟とは、深い意味が有ったのだ。


「一度高師範に目通ししてもらい、できたら高師範の推薦状ももらってくれ、何処にも角が立たない」


「ああ、感謝するよ。いや、俺が言うのも何だけど、武林は面子面子で面倒だな」


「全くだ。特に遨家、南遨家はややこしいからな」


 これでも、わたしはかなり大雑把な方だ。

 王兄にどれだけ小言を聞かされた事か。


(王師兄が、武門武林関係の教育担当だったからね。

 黄と仲良く小言を聞いていたのは、高弟にとっては日常風景だったのよ)


 まあ、お陰で何とかやっていけるのだ、王兄に感謝だな。

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