何やら有った様だが、蟹粥美味し♪美味し♪
ノリで黒三を見張りに出したが、そもそも士が勝手に見張りをしている。
胡娘は使い勝手が良いと言うが、私には三のが使い勝手が良い。
そこら辺は分体化の相性か。
「そうね、こうして話せるのは、何時になるか解らないから何でも聞いて、マル吾子♪」
「そのマル吾子って、私の事ですよね、吾子とは愛息子の事ですよね?可狐様は私をどうしたいのですか?」
「どうって♪聞きたい?」
無意識に舌舐めずりをしてしまった。
「や、やっぱりいいです……」
「可狐殿は人ですか?その、物言いが、生々しいので、人間ではないかと?」
周勇などと会話する意味もないけど、ここ持ちだし答えてやるか。
「いいえぇ、齢千年の妖狐ですよぉ、縁有ってこの娘の体に宿っているの」
超適当に答えた。
周勇は黒三の事も有って、頷きかけたが、首をかしげた。
器用なものだ。
「狐殿、胡嬢は左道の術と言っていたが、胡嬢が狐殿を使役しているのですか?」
「そんな感じかな」
再び超適当に答える。それより、マル吾子だ。
「え?遨家のご令嬢では?旱導師の術で胡嬢に宿った方と聞きましたが」
「つれないなぁ、妖狐の可狐で良いじゃない。まあ、それより吾子には見える?」
吾朗をマル吾子の背中から剥がした。
「わっ!背中にいたのか。黒靈?でしたね、旱導師の所で見えるようになりました。さっきの大きいのは見えませんでしたが」
黒三は、黒靈と言うよりは、もう私の分体に近いからそうだろう。
生霊に同化しつつある私は、魂が目減りしない、体の成長に伴い魂の質量が増えていく。
少し欠けても時間が経てば戻るのだ。これは発見だった。
当たり前だが、だから体と魂は不分離なのだ。
少しずつ黒靈達に振り、使役魔として育てた。比重は付き合いの長い三と士が多い。
それより。
……その頃に保存されたのか……
私が一枚噛んだ事だ、導師ばかりを責められないかな。
胡娘ではないけれど、私も筋を通さないとね。
「私が、それの制御術を教えるよ。使い魔として使役すれば出来る事が増えるよ」
今の私に出来る事など、こんな事ぐらいか。
「本当ですか!この化物を使役する事が出来るのならば、是非とも」
午朗はまだ幼いから無理かな。
三が想像以上に成長していたから、三を分靈させて、新たにマル吾子用に創るかな。
午朗と相性が良いみたいだから、三を基本にして、午朗を少し混ぜよう。
三は勝手に、手当たり次第にそこらの雑靈を喰らってくるから、すぐに元の質量に戻ってくれる。
午朗は欠けた分、私を混ぜよう。もう少し成長させたい。
……しかし、導師は何をしたのだ?
マル吾子は私達と違い、人格は一つだ。
なら、どうやってマル吾子の体の生霊と、マル吾子本人の死霊を契約させたのだ。
マル吾子と同化中の生霊の意識は、どこに行った。
私は再びマル吾子を抱き締めた。贖罪の意識が強い。マルコ君にも、その体の生霊にも。
私の雰囲気の違いが分かったのか、マルコ君は抵抗も無く私に抱かれた。
良い子だ。
………本当に、間が悪いと云う事は有るものだ。
三が、給仕を認識した。蟹粥だろう。
三が認識したと云う事は、私も認識すると云う事で、つまり半同化している胡娘も認識したと云う事だ。
……今しばらく休んでおけば良い物を。
「どうした、マルコ君。わたしに甘えたくなったのか?困った事だ」
蟹粥につられて意識を戻した、酔いが戻る。
なにやら、マルコ君が抱きついている。
こうして体に戻ると、かなり満腹であると自覚する、小姐、食べ過ぎだ。
(……空気読んでよね、大姐)
折角抱きついて来ているのだ、頭を撫でておいた。
慕われるのも悪い気がしない。
さて、蟹粥。まだいける。
「胡嬢?だよな」
周兄だ、なんかやったな小姐。
(いやいやいや、いきなし人格が替われば、こんな物だって。それにね……)
「マルコ君も蟹粥を食べる?見たところ体も大きくないし、食べるが良いよ」
(話を振ったなら、最後まで聞け!)
酔いが戻って、無理!面倒。
「胡姐ですね、感じが違う」
それより蟹粥にしよう。話は後で。
「……胡殿には驚かされてばかりです。面白い方を知己を得ました」
もう良い!勝手に喰う。
適当に愛想笑いをして、蟹粥を給仕に小分けさせた。香りからして期待していたが、やはり美味い♪
「あの、胡姐。先程まで会話をしていた方なのですが、この間の御方なのでしょうか?
化物を使役する術を、教えていただく事に成りましたが、私にはその対価が払えない」
美味し♪美味し♪ 何だって?小姐、マルコ君に何を吹聴した?
(……食べたら、替わってくれる)
それは駄目。
何か三が無意味に周囲を警戒しているし、少し目を離したら、マルコ君に妙な事を吹き込んでいるし。
この間みたいに、小姐がマルコ君を襲ったら、わたしが稚児趣味変態侠女と広まっちゃう。
周大人と某は、一応ここいらね顔役だしね。
(……それじゃ伝言を)
いや、口だけ貸すから自分でね。
そう言うと、声帯関係の支配権を渡す。
「マル吾子♪対価はね、私の弟子になる事でどう?
吾子は大姐の極拳の弟子になっているから、私の左道術の弟子になれば、釣り合いが取れるよ」
「願ってもないです。お願いします」
(と、云う訳だから、マル吾子に教えている間、体を貸して貰うからね)
……なんかしてやられた感があるけど、まあ良いよ。それに考えも有るみたいだし。
何時もと逆だけど、小姐の考えも大体わたしに伝わる。
お互いに嘘は通じないのは、不便であり、便利でもある。
……だから、わたしにも分かった。マルコ君の存在の不自然さを。
小姐なりに心配しているのだ。左道関係は専門家の小姐に任せよう。




