表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武侠少女!絹之大陸交易路を往く!?  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
1章
38/156

私は、そうね、妖狐の可狐

 わたし達は喜んで食事に呼ばれる事にした。

 当然マルコ君も一緒だ。

 某もくっついてきたが、想定内だ。


 老舗の料理屋に、案内されるのかと思いきや、店自体は新しい。まだ木の香りがする、新築店だな。


「古い知人の経営している店です。腕の良い料理人を揃えていて、店舗新築時に私も出資したのですよ」


 手広く商いをしている事は聞いていた。


 うん?わたしは周物品卸公司に投資したのだから、間接的にこの店にも出資したことには……


(ならない、投資はついさっき。そもそも運用は一任、大姐はあくまで周公司にだけ投資したの)


 わかっているよ、ふざけただけよ、なにさ一体、キライ!


(大姐、つまんない、全然可愛くない、やり直し)


 などと独り漫才をしつつ店内に案内された。

 勿論、最上室だ。


 わたしは母さまのお付きで、この手の店には慣れている。


 マルコ君は不安げだ。


 なに、酒でも飲めば不安なんか無くなるさ。


 と、云う訳で。


「周大人、お招き有り難く。早速でお恥ずかしいのですが、南遨家から歩きつづけていて、喉が渇きました。

 お奨めが有りましたら、まずは杯を湿らせたいのですが、いかが」


(大姐、直接的過ぎる、みっともないよ)


 うるせ!替わってやらんぞ。


「は哈哈、胡殿はいける口でしたか、お任せを。この店には銘酒を揃えさせているので、お口に合うと思います」


 この間も似た台詞を聞いたな、本歌は親の方か。


 先ずは糖黍(とうきび)酒が出てきた。広州は砂糖黍(さとうきび)の栽培に適した土地柄で、砂糖が名産だ。


 糖黍酒は甘く口当たりが良い、食前には手頃だ。これならマルコ君もいけるだろう。


 ……今更ながら、マルコ君いける口か?聞いた事も無かったな。


(当たり前でしょ、子供にする質問じゃない)


 でも、普通に呑んでるよ。


「どうだいマルコ君、酒は大丈夫みたいだけど、いける口?」


「故郷では、葡萄から作ったお酒の水割りを、老若区別なく、皆飲んでましたから。

 それに、これは甘くて美味しいです」


 呑兵衛の国だな。でも、葡萄酒か。


 何年も飲んでいないな。聞いてみよう。


「大人、こちらでは葡萄酒は置いてないのですか?」


(催促かい?)

 催促だ。小姐も味わいたいだろ


「では、次は葡萄酒にしましょうか」


 給仕を呼び葡萄酒を手配だ。前菜が来た。


 豚の煮凝りに、海老の素揚げ、青菜炒め。菜にかけられた調味料から、魚介の香りがする。


 鶏肉のほぐし身に、胡瓜の化粧飾りが添えてある。調理タレは、わたしの知らない種類だな、外国の調味料だろう。


 こちらは鮑だな、黄牛油(バター)で焼き極薄に刻んである、好みで醤を加える。


 いや、これで前菜か、わたし的に主食なのだが。

 汁物は蟹湯と鶏白湯。内陸部の洛都では海蟹は珍しく、あまり食べた事がない。殻を割り身を食べようとして笑われた。


 何でも、飲食するのは湯だけで、身は旨味の抜けた出枯らしだから、賑やかしに盛り付けてあるそうだ。


 さて、主食だが、子豚の丸焼きが出てきた。

 流石に母さまのお付きでも、食した事がない。

 広州と言えば豚肉料理だ。


 養豚が盛んである事もさることながら、絹之交易路を通して、香辛料と共に肉食文化圏からの調理法が流入してくる。


 件の丸焼きも、元は西域の調理法だと云う。


 給仕が取り分ける。主客の私に、珍味である子豚の脳味噌が饗された。目の前で、薬味と共に(なます)にされる。美味そうだ♪


 葡萄酒に合う。ついつい進む。


 某が気を利かせてくれたのか、先程の蟹の身をほぐした粥を、然り気無く給仕に手配させていた。よかよか♪


(……ねえ、そろそろ替わって。何か危なっかしい)

(しばし待て、蟹粥まで。うん?粥まで交代すればいいのか。それじゃ)


 わたしは目を閉じ、意識を沈めた。食休みに丁度いい、外部とも遮断しとこう。


「何だかんだで、精神的に疲れていたのかな。このまま寝そうね」


 言葉の発音の違いに気がついたのは、愛しのマル吾子だ♪


「この感じはこの間の……」


 私は遠慮なくマル吾子を抱き締めた。


 だって実体だよ、私の自由に動けるんだよ、久しぶりなんだよ、ならやりたいようにやる。


 邪魔する奴は“ガブッ”だ。


 ……ん、この感じって。


 私はマル吾子の目を見た。


「ど、どうした胡嬢、いきなり?」


 外野、うるさい。


 ……ああ、やはりか。午朗が懐く訳だ。


 当然と言えば当然か。マル吾子も私と同じで、()()()()()()しまっている。


 輪廻から外れてしまっている。


 私は胡娘(フゥニャン)と、いずれ同魂するだろうから輪廻の輪に戻る。


 けど、この子は…………良い匂いがするなぁ、このまま持ち帰ろうかな♪


「離してください、中の人」


 おっと、いけない、嫌われては元も子もない。

 でも、手くらいは繋いでおこう。


「中の人?胡嬢は、たまに突飛な声を上げていたけど、そっち関係か?」


「そっち関係とは、失礼ですね周勇殿。

 今()()()()()()ので、正式礼法はご容赦を、周大人」


「胡殿?いや、雰囲気が全然違う、狐付き?」


「あ哈哈哈哈哈哈、狐付きは良い、そうね、気に入ったわ。私は狐、可狐(クゥフゥ)とでも呼んで」


 そう言うと、私は葡萄酒を口にする。美味し♪


「狐様?胡姐はどうしたのです?無事なんですか?」


 うん♪やはり肉声は良いなぁ、頭撫でとこ。


「今、食休み中。

 でもこのまま寝るかも、何せ今日は無茶をしたから。

 この()、筆頭師範と立合ったのよ」


「え!南遨師範と!一族として招待されたのに何故?」


「全然そぶりも無かったのに?そんな事が」


「誠ですか狐殿?胡殿は本家の令嬢で、南遨様の姪御と聞きます。いささかあり得ません」


 三者三様じゃ無く一様かな。


「そこは、色々としがらみがね。

 でも遺恨絡みじゃなく、交流仕合みたいな物だから、清々しい物よ。

 そうね、この娘高師範を買っていて、立会人に指名したから、詳細はそちらで聞いて」


 私は腸詰めを摘むと、口にした。

 肉類と葡萄酒は合うなぁ♪ 美味し♪


「狐様?胡姐とは、どのような関係なのですか?あの夜に胡姐から聞いた方なのでしょう」


「そうよ、賢い子ね♪私の事を覚えていてくれたのね、有難う♪」


「狐殿、我々は退席した方が良い話か?」


 邪推されかねない発言ね。


 私は指を鳴らして、黒三を可視化した。


 別に指を鳴らす必要はないが、ノリで。


 三人は息を飲んだ。悲鳴を上げないのは流石か。

 驚いた顔のマル吾子も中々♪


 しかし、三も成長したなぁ。


 可視化した黒三は、まるで熊の様な虎だ。

 闇の様に漆黒の体躯に異様に大きな牙。

 黒目しかない瞳。


 正に化物。



「黒三に部屋周辺を見張らせるから、外部に話は漏れないわ」


 再び指を鳴らす、黒三は霧散して見えなくなった。


 やはり指を鳴らす必要はないが、ノリだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=55314453&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ