表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武侠少女!絹之大陸交易路を往く!?  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
1章
20/156

此奴のせいで、わたしは勘当された

 金なら幸いにして、(チュァン)がかなり所持していた。


 死人が持っていても仕方ない。


 大体わたしへの慰謝料だと思えば、所有権はわたしにある。


 いや、マルコ君にも有るか。


 だから、この金でマルコ君の手付金を返済しても問題無い。


 そう思って、周とかいう周旋屋に、いや女衒か?面会を依頼していたら、黒三がやらかした。


 身内に死人が出たら、面子云々で、話にならないだろう。


 幸運な事に、()()()()()()()


 わたしが悩むのも、当然だろう。


 第一始末した方が楽だ。


 コイツらは、天下に顔も晒せない人種だ。


 殺しといた方が、世の為人の為ではなかろうか?


 隅にいることだし、往来の邪魔にはならない。

 黒士に“ガブッ”とやってもらおう。


 そうしよう。


(待って大姐、貴女は短絡的過ぎる。昨日も言ったけど、その超短気は治さないと命を縮めるよ)


「だって面倒だ。腹も空いてきたし、宿に戻りたい」


 黒士に捕まった覆面が、割って入ってきた。


「待て、親父と交渉したいのだな、ならば商取引だ、面会手配はしよう」


 ん?親父だと、やはり周とか云うのはヤクザか。それとも?


「親父とは、渡世上のか?それとも実父か?」


 それによって方針が決まる。


「両方だ、親父の元で修業中だ。別に命乞いじゃない、姐御が筋を通そうとするなら、応じるのも筋だ」


 “若”“大哥”と口々に覆面が言う所からして、本当だろう。


「お前達には分からないだろうが、この姐御は極拳の上級拳士だ、あんな武闘舞踊、初めて見た。烈火の二つ名も頷ける」


 わたしは、名前だけは売れていた。烈火の二つ名もだ。

 あまり誉められた事ではない、反省点でもある。

 ただ、わたしが極拳使いとは知られていない筈だ。

 と、言うことは、この“若”とやらは、武闘舞踊を、つまり極拳を知っている?


「俺は周勇。南遨家極拳の門下だ、一応拳士だ」



 南遨家とは、老師の兄弟弟子であり、先代遨家極拳総帥の元嫡男が興した家だ。


 遨亮順というのが、廃嫡された長男の名だ。


 彼は京馨に恨みを残したが、

 ここ広州で、武術館を建てる程に支援をしてくれた父や実家に、わだかまりは無かった。


 だから、南方の遨家という、単純な意味で南遨と名乗っていた。

 無論、先代遨家総帥たる父の了承は得ている。


 京馨が跡目を継ぎ、父が没すると、

 次第に実家と疎遠となり、ここ数年は互いにやり取りはなかった。


 まだ、黄も入門前の話で、彼女の一般教養教育下にあった小馨は、あまり詳しく知らない。


 なので、この地に訪れる際、南遨家に挨拶はしていなかった。


 最も、昨日の今日で挨拶どころでは無かったのだが。


「同門か、なら無下にも出来ない。周大人に取り次いでもらえるか?」


「分かった。縄をといてくれ、(つなぎ)を走らせる」


(小姐、頼む)


(黒士、縄()()を咬み切って)


 ブツッ、ブツッ、と自然と縄が切れてゆき、覆面一同は無言となる。


「姐御、何をした?あと別動の二人は」


(大姐、命はとりとめたよ、黒三が二人に憑依して血止めをした。……死んだ方がマシかな、代償に魂が少し喰われている)


(そうか、マルコ君は?)


(路地裏での出来事だからね、こんな事になっている事すら知らないで、宿でおやすみ中)


(なら良し)


 実際、縁も所縁も無いヤクザの三下など、どうでも良いのだ。


「なんか、大怪我で済んだみたいよ。命に別状はないかな?」


「……そうか、何者なんだ姐御は?」


「…左道拳士?…黒拳士?…外道拳士?どれも録な名称じゃないね、左道を使う遨家極拳士だよ」


「…左道か、なるほど。二人の助命を感謝するよ。

 誰か二人を診に行ってやれ、それから親父に繋げ、面会依頼だ。俺の名を出せ」


「じゃ、案内お願い。もう覆面も要らないんじゃない?」


 “そうだな” そう言うと、若とやらは覆面を外した。

 声からして分かっていたが、若い男だ。


 わたしと、同じくらいかな。




 四半刻は歩いただろうか、大通りを抜け港湾方向に向かっている。


 周とやらに面識が有るのは、死んだ全だけで、わたしは周大人という呼称しか知らない。


 洛都で燻っていたわたしは、仲介人の全の護衛として雇われたに過ぎないのだ。


 マルコ少年を西域の故郷に送ると云う、人員護送業務に仮従事する全と、マルコ少年の警護が仕事だった。


 仮従事というのは、全の生業は仲介、口利きが本業だからだ。


 まあ、実はこれも隠れ蓑で、糞導師の手下の左道士が実態だった訳だが。


 わたしと全は、何も西域まで同行する訳ではなく、

 ここ広州でマルコ君の出国手続きと、船の手配をする周某に、マルコ君を引き渡す迄が仕事だった。


 だったのだが……


 結論から言えば、この旅はわたしを殺す為の罠だった。


 いや、糞導師が噛んでいるのだ、わたしを殺すと云うより、小姐込みでわたしを回収したかったのかも知れない。


 別にわたしの意識の有無など、小姐が無事ならどうでも良いだろうから、

 殺害された方がマシだろうが。


 洛都で、すっかり腐っていたわたしは(黄姐や小姐的な意味では、断じて無い)全の持ちかけてきた話の裏も取らず、大して疑いもせずに話に乗った。


 わたしは遨家を勘当されていて、自棄になっていたのだ。


 いや、養子縁組を解消された訳では無い。


 屋敷の出入を禁止された訳でも無い。


 禁軍武術指南役として、体面的に必要な処置だったと理解している。


 しかし、しかしだ!


 わたしが仕出かした事でも無いのに、あんまりだ!


(だから、謝ったじゃない、ゴメン、ゴメン)


「軽すぎる!この戯け!」


 此奴のせいだった。



最近、突撃砲兵のpvが思い出した様にあがります。興味を持っていただいたなら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=55314453&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ