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武侠少女!絹之大陸交易路を往く!?  作者: 蟹江カニオ 改め 蟹ノ江カニオ
1章
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わたしが老師の導師?

(あれ!体が動きそう?)


 母上達と会話中、何気に体の姿勢を調整したとき、そう思った。

 と、言うより黄に助けてもらい上体を起こした時から、無意識に体重移動をしていた。

 基本動作は意識に関係無いようだ。


(どういうっって、胡娘(フゥニャン)寝てる!やけに静かだと思ったら。

 ……体は寝てたけど、魂は一晩中ケンカしてたからね、お子様には仕方ないか)


「どうした、可馨?」


「母上、体が動きそうです。胡姐が深い睡眠に入ったみたいです」


「小馨様は一昼夜休まれていましたが、まだ睡眠が足りていないのですか?やはり調子が悪いのでは?」


「いや、黄。私達は一昼夜対話していて、魂は休んでいないのだ。

 うん?つまり睡眠には二種類ある?発見だ」


「それより可馨、体が動くとは?さっきから視点や体幹は動いていたが?」


「これも発見ですね、条件反射的な反応や、自然反応動作は、体が勝手にするみたいです。

 胡姐には、口だけを借りたつもりだったのですが、目は見えるし、耳も聞こえる。

 クッ体が重い」


 私は立ち上がった。貧血みたいにクラッとしたが、約三年振りに自力で立った。


「………小馨。どれ程感謝しても足りぬ」


「可馨様、背丈が同じくらいなので、本当に可馨様がそこに立たれている様です」


「あっ胡娘が驚いて起きた…………………?なんで立ってる?母さまごめんなさい、話の途中から寝ていたみたい」


 老師に抱きしめられた、動きが速くて驚いた。


「小馨、感謝する。この恩に報いるには、俺の娘とするだけでは足りぬ。

 どうだ、俺の直弟にならんか、俺の人生で習得した全てを伝える。俺の人生の全てを教える。どうだ?」


 この一言に黄はさすがに驚く。

 直弟とは、つまり老師の兄弟弟子になるという事だ。

 先代に師事した訳でない小馨は、本来なら老師の弟子にはなれても、兄弟弟子にはなれない。

 だが、他流派や門派が違う場合、稀にあり得る。

 互いに認め合い、流派を越えて切磋琢磨を希望する場合だ。

 師につく訳ではなく、年齢や技量、状況などで兄弟順がきまる。

 どちらかというと、小馨が口にする“侠”の世界の義兄弟がそれに近い。


 遨京馨は遨家極拳の総帥にして遨家の当主だ。

 やろうと思えば、小馨を兄弟子(きょうだいし)として迎える事は可能だ。


「老師!それはいけません。実績の無い者が過分な地位につくと、最悪一門が割れます。

 更に小馨さまに、腕試しと称して、直接危害を加えようとする者も現れるでしょう。

 武術の世界は、完全に実力による縦社会です、お考え直しを」


「か呵呵呵呵。黄、それほど慌てる事ではない。何も遨家極拳総帥として兄弟子に迎えるのではない。

 遨京馨、いや、ただの京馨が小馨に武術を伝えるだけだ。

 小馨の極拳内の立場は、あくまで黄の弟子、俺の孫弟子だ」


「しかし、老師……」


「黄にとっても悪くない話だと思うぞ。

 俺が小馨に伝える。小馨が鍛練する、黄がそれを盗む。

 小馨から盗まれた武技に関して、俺は何も言わぬよ」


「小馨様、大変結構なお話です。お勧めします」


「か呵呵呵呵呵!皆して笑わせてくれる。

 どうだ、小馨。嫌ならそれでも構わないぞ、その場合は、俺の人脈、財貨、知識、経験を全て譲る。

 いや、まだ足りぬか」


「母さま?いくら何でも大げさだよ、わたしを養女にしてくれただけでも、大恩なのに」


「それだ、小馨」


 老師は姿勢を正し、差手にて礼をとる。むろん小馨に対してだ。


「最初は小馨の親から、その身を買い取ろうと思った。だが、孤児だと云う。

 ならば、その身に釣り合うだけの待遇で、可馨の魂を、受け入れてもらおうとした。

 導師から、受け入れ後の小馨の魂の有り様など聞いていなかった、その必要も感じなかった。

 ただ、対価を払い、その身をもらい受ける事に腐心した」


 老師は深く頭を下げた


「まだまだ、その対価は足りない。人生を差し出せと言うのだ。小馨が得心するまで、俺は歓待するつもりだった。

 だが、小馨は、俺にとっては、ほんの些細な歓待に感謝し、外道な俺の養女となった事に大恩を感じ、命を差し出そうとした。

 “恩に対して筋を通す”と……………」


「俺は恥じた。老師よ、当主よ、と言われ続け慢心していた、心が歪に肥大していた。

 年端もいかない子供に、恩を売り付けその身を受けようなど、言語道断。正に外道」


「それを小馨に命掛けで正された。

 俺自らが間違いに気が付かねばならぬのに、教わり、ようやく気が付いた。

 小馨こそが俺の()()よ」


「だから、俺はその命掛けの恩に対して、俺の命で報いなければならない。

 俺の命に等しい物。

 生涯を掛けて習得した武技の数々。

 俺が生きたすべての証。

 それらを対価に報いたい」




 中途半端な返事では駄目だ。


 わたしはそう思った、母さまは命を掛けてわたしに言っている。


 けど、答えは決まっている。


 わたしは、母さまの強さに魅入られた。


 怖気が走る黒靈とかいう怪物を、全く歯牙にもかけない。

 全て一撃だ。


 あの蛇みたいな糞導師も、母さまに敵わなかった。


 強くなりたい。


 もう、奪われるのは嫌だ。力づくでは、非力なわたしに成す術もない。


 戦う方法を身に付けたい。


 だから、母さまにこう答えた。


「母さまみたいになりたい。強くなりたいよ」


 母さまは嬉しそうに、頷いた。

不定期投稿でごめんなさい、当分様子見で不定期になります。

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